疾病の成りたちと回復の促進 第27回(薬剤) [疾病の成り立ちと回復の促進]
4)薬剤
(1) 薬剤による治療の概念
A)薬剤治療の目的
・ 薬剤の投与によって疾病の原因を除いたり、症状を緩和する目的で薬物治療は行われます。
B)薬剤の作用と効果
・ 薬剤の作用は生体の構成単位である細胞に働き、その機能を強めたり(促進、亢進、興奮)弱めたり(抑制、麻痺)します。その結果が効果ということになるのです。
・ 薬剤の投与により、生体の持つ機能を量的に変えることはできますが、質的に新たな機能を生じさせることはできません。
・ 薬剤の作用は、一定の量までは細胞の機能を促進しても、それを過ぎるとかえって抑制する場合もあります。
C)薬剤の作用機序
・ 薬剤が結合して効果を生じる部位を作用部位といいます。 作用部位の大半は生体細胞の受容体(じゅようたい)です。
・ 受容体を刺激するものを作動薬(さどうやく)(アゴニスト)、作動薬の作用を遮断するものを拮抗薬(きっこうやく)(アンタゴニスト)と呼びます。
D)薬剤の主作用と有害作用(副作用)
・ 薬剤の望ましい作用は主作用(しゅさよう)または薬効(やっこう)といいます。
・ 薬剤の有害な作用は、一般に副作用(ふくさよう)と呼ばれます。
・ 副作用の原因としては、量が多すぎる(過量(かりょう))、投与される人の感受性が何らかの要因で高まっている(感受性亢進(かんじゅせいこうしん))、遺伝的に感受性が高い(遺伝的素因)、薬剤の作用臓器に選択性がない(薬剤の特異性の欠如(とくいせいのけつじょ))などがあります。
E)薬剤アレルギー(薬剤過敏症)
[設問] 薬剤の作用に関する以下の文で、正しいものを一つ選べ。
イ 薬剤の投与により、生体に、質的に新たな機能を生じさせることができる。
ロ 薬剤は、投与量を増やせば増やすほど、細胞の機能を促進できる。
ハ 薬剤の作用部位である受容体を刺激するものを作動薬、作動薬の作用を遮断するものを拮抗薬という。
ニ 薬剤の作用は、望ましいものも有害なものも含めて薬効という。
正解 (ハ)
疾病の成り立ちと回復の促進 第56回(リハビリテーション)へ ⇒ http://shiratorik-kango.blog.so-net.ne.jp/2013-05-10
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