基礎看護学(11)(共通基本技術) [基礎看護学]
5)効率的で安楽な動きをつくり出す技術
(1)ボデイメカニクス
・ ボデイメカニクスとは、身体の構造や機能が効率的に動くような身体の構えや使い方のことです。
・ ボデイメカニクスは、患者の安全・安楽を確保するだけでなく、看護者の疲労や負担も軽くします。
・ ボデイメカニクスでは、姿勢や体位を整えることと、身体の重心を安定させることがポイントとなります。
・ 看護者は、作業時の背部や腰部への負担を少なくするため、作業面の高さや作業域を考慮した作業スペースを確保します。
・ 作業姿勢の安定性は、支持基底面積と身体の重心が関係しますから、支持基底面を広くとり、膝を曲げて重心を低くし、重心線が支持基底面内を通るような姿勢をとるようにします。
・ 患者移動の時は、患者の四肢を身体に沿わせ重心に近づけるようにします。
・ 基本的な姿勢には、立位・座位・臥位があり、臥位には仰臥位、側臥位、腹臥位があります。エネルギー消費が少ない順序は、臥位、座位、立位の順です。
・ よい姿勢は、関節や筋肉・内臓などへの負担が少なく、エネルギー消費も少なく疲労が少なくなります。
6)観察技術
(1)身体面のアセスメント
・ 体温は、年齢や日差し、運動、食事、入浴、外気温などの影響を受けて変動します。成人の平熱の範囲は、36.0〜37.0℃未満とされています。
・ 体温の測定は、水銀体温計や電子体温計を用いて、腋窩・直腸・口腔などの部位で測定します。体温値の高い順は、直腸→口腔→腋窩となります。
・ 異常熱型には、高熱で1日の体温差が1℃以内の稽留熱(けいりゅうねつ)、1日の体温差が1℃以上の弛張熱(ちちょうねつ)、高熱と平熱が一定期間をおいて交互におこる間欠熱があります。
・ 脈拍は心臓の収縮によって血液が押し出される際に、体表近くの動脈で触知できる拍動です。
・ 脈拍数の正常値は、成人で60〜80回/分、学童で70〜90回/分、新生児で120〜140回/分の範囲です。
・ 血圧は血液が血管壁に作用する圧力であり、左心室の収縮時に受ける圧力を収縮期血圧(最高血圧、最大血圧)、拡張時を拡張期血圧(最低血圧、最小血圧)といいます。
・ 血圧は運動・食事・精神的興奮などによって変動することから、患者の状況を確認し、安静をとらせた後で測定することが必要です。
・ 呼吸は、生体が体内に酸素を取り入れ、代謝産物の二酸化炭素を体外へ排出することです。
・ 呼吸筋は随意筋であり、意識的に呼吸を変化させることが可能である。呼吸測定時、測定していることを患者に気づかれないようにします。
・ 呼吸数の正常値は、成人で15〜20回/分、学童で20〜30回/分、新生児で40〜55回/分の範囲であるが、個人差です。
・ 呼吸の異常
・ 意識レベル評価には、JCSの3−3−9度分類が広く用いられ、患者把握の指標となっています。
・ 身体計測は、発育状態や栄養状態を把握するために、身長・座高・体重・胸囲・腹囲などの体格と肺活量や握力などの体力を計測するものです。
(2)精神面のアセスメント
・ 人間は一時的あるいは不可逆的な健康障害をおこすと、病気や治療、生活などについて様々な不安や恐怖を抱きます。患者や家族のおかれた立場を理解し、精神状態について観察し評価することが必要です。
[設問] ボディメカニクスについて正しい説明文を一つ選べ。
イ ボディメカニクスを取り入れると、患者の安全や安楽にはよいが、看護者の負担は減らない。
ロ 作業姿勢を安定させるためには、支持面積を狭くする。
ハ 作業では重心を高くする。
ニ ボディメカニクスとは、身体の構造や機能が効率的に動くような身体の構えや使い方のことである。
正解 (ニ)
[設問] 一日の体温差が1℃以内の高熱を何というか?
イ 稽留熱 ロ 弛張熱 ハ 間欠熱 ニ 安定高熱 正解 (イ)
[設問] 新生児の脈拍の範囲で正しいものを選べ。
イ 80~90/分 ロ 90~100/分 ハ 100~120/分 ニ 120~140/分 ホ 140~160/分
正解 (ニ)
[設問] 成人の呼吸数の範囲はどれか?
イ 10~15/分 ロ 15~20/分 ハ 20~25/分 ニ 25~30/分
正解 (ロ)
[設問] 糖尿病性昏睡などでみられる連続する深い呼吸は何というか?
イ チェーンストークス呼吸
ロ ビオー呼吸
ハ クスマウル呼吸
ニ 過呼吸 正解 (ハ)
[設問] JCSの意識レベル評価で、大声または身体を揺さぶると開眼する意識レベルは次のどれか?
イ 2 ロ 20 ハ 30 ニ 100 正解 (ロ)
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