基礎看護学(22)(診療に伴う技術) [基礎看護学]
4)生命の危機に関わる技術
(1)生命徴候のアセスメントと援助方法
・ 客観的意識レベルの評価にはJCSの3-3-9度方式とグラスゴー・コーマ・スケール(GCS)の2つがよく用いられます。(既述)
・ 瞳孔は、大きさ、形、左右差に注意する。対光反射は、健常であれば一側に光を当てると両眼に縮瞳がおこり、光を当てた方におこるものを直接反射、もう一方におこるのを間接反射といいます。
・ 脳圧亢進の一症状として、徐脈がみられることがあります。
・ 呼気の延長は、慢性閉塞性肺疾患である肺気腫、慢性気管支炎、気管支喘息の増悪時にみられます。
・ クスマウル呼吸(既述)は、糖尿病性昏睡などのアシドーシスでみられます。
・ 循環血液量減少によるショックでは、血圧下降、脈拍微頻脈、呼吸速拍、皮膚蒼白などの症状が出現します。
・ チアノーゼは低酸素血症で出現しますが(還元型ヘモグロビン3〜5g/dL以上)、貧血があると出現しにくので注意が必要です。
・ 意識障害患者の観察では、意識レベル、バイタルサインの他、頭痛、嘔吐、けいれん、麻痺、尿・便失禁などの随伴症状のチェックも必要です。
・ 重度外傷患者の救急処置として、気道確保、血管確保が行われます。
(2)呼吸を楽にする姿勢・呼吸法
・ 体動や会話は酸素消費量が増えるため、呼吸困難時には配慮が必要です。
・ 主に横隔膜の運動による腹式呼吸の方が、主に肋間筋の運動による胸式呼吸より換気効率はよくなります。
・ 高度の気胸,無気肺、胸水などがあると、患者肺を下にした側臥位をとることが多くなります。
・ 呼吸理学療法の目的は、肺の換気とガス交換を改善させることで、呼吸訓練、排痰法、リラクゼーションの援助と指導を行います。
・ 腹式呼吸と口すぼめ呼吸を組み合わせると、効率的な呼吸が可能となります。 口すぼめ呼吸は、吸気は鼻から行い、呼気は口をすぼめてゆっくりと少しずつ吐き出す方法で、吸気と呼気の比は、1:2〜5程度とします。
・ 体位ドレナージは、重力を利用して分泌物を排出させる方法です。 分泌物(喀痰)の貯留している部位を上にした体位をとらせます。
・ 排痰を促進させる手技としては、スクイージング、バイブレーション、 ハフィング、タッピングなどがあります。
(3)循環管理
・ 循環動態不良を示す症状として、血圧低下、頻脈、徐脈、不整脈、チアノーゼの出現、皮膚温の低下、時間尿量の低下などがあります。
・ 循環機能低下をきたす要素として「心臓のポンプ機能の低下」「血管拡張、血管抵抗の減弱」「循環血液量の減少」があります。
・ ショックとは、末梢組織への血液供給が急激・広範かつ異常に不足するために全身の組織機能が障害された状態をいいます。
・ 大量出血によるショックでは、著明な血圧下降がおこるので、止血と同時に、輸血・輸液による失血の補充を行います。
・ 中心静脈圧が低い場合、循環血液量の不足が考えられます。
・ うっ血性心不全では、中心静脈圧は上昇します。
・ 熱傷では、血漿中の水・電解質、および多量の血漿蛋白が喪失します。
・ 広範囲の第2、第3度の熱傷に対しては、体液管理とともに感染予防に努めます。
・ 小児や老人は、熱傷の受傷範囲が狭くてもショックをおこすことがあります。
[設問] 脳圧亢進の一症状とされるのはどれか? 一つ選べ。
イ 頻脈 ロ 心房細動 ハ 徐脈 ニ 二段脈 正解 (ハ)
[設問] 呼気の延長がみられるのは次のどれか? 一つ選べ。
イ 肺気腫 ロ 過換気症候群 ハ 脳腫瘍 ニ 肺梗塞
正解 (イ)
[設問] 出血によるショックで起こる症状の組み合わせで正しいものを一つ選べ。
イ 血圧下降・徐脈・呼吸速拍
ロ 血圧下降・微頻脈・呼吸速拍
ハ 血圧下降・徐脈・クスマウル呼吸
ニ 血圧下降・微頻脈・呼吸数減少 正解 (ロ)
[設問] チアノーゼが貧血では出現しにくいのはなぜか?
イ 還元ヘモグロビンが5g/dL以上になりにくいため
ロ 酸化ヘモグロビンが5g/dL以上になりにくいため
ハ 還元ヘモグロビンが8g/dL以上になりにくいため
ニ 酸化ヘモグロビンが8g/dL以上になりにくいため 正解 (イ)
[設問] 以下の文で正しいものを一つ選べ。
イ 換気効率は腹式呼吸より胸式呼吸の方がよい。
ロ 高度の気胸、無気肺などでは、健側肺を下にした側臥位をとることが多い。
ハ 口すぼめ呼吸は、吸気で口をすぼめて少しずつ吸い、呼気は鼻から行う方法である。
ニ 体位ドレナージでは、分泌物の貯留した部位を上にした体位をとらせる。
正解 (ニ)
[設問] 広範囲の熱傷(第2、3度)で、体液管理とともに必要なのは何か? 一つ選べ。
イ 保温 ロ 解熱 ハ 感染予防 ニ 精神的ケア
正解 (ハ)
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