在宅看護論(12 )(在宅における生活支援の方法と技術) [在宅看護論]
4)移動
(1)日常生活動作(ADL)、手段的日常生活動作(IADL)のアセスメント
・ 療養者の疾患、認知機能、安静度の他、生活環境、生活習慣、活動範囲など社会生活全体に関する情報を収集します。
・ 筋力・筋萎縮の程度、関節拘縮の有無、関節可動域などの運動系、運動負荷時の脈拍の増加、脈圧の低下などの循環器系、血中酸素分圧の低下や呼吸数の増加などの呼吸器系を評価し、移動時の負荷を評価します。
・ 座位・起立・歩行の自立度と障害の程度、転倒の危険性の有無、車椅子利用の有無から、療養者にとって安全な移動方法を検討します。
・ 家屋の構造、居室の広さと段差、エレベーター設置の有無を確認し、移動用具・装具・靴、住宅改修の有無、訪問介護や訪問看護、ボランテイアや近隣の人々など、社会資源の活用についても確認します。
・ IADLとは手段的日常生活動作のことで、交通機関の利用度、買い物や掃除などの家事動作、地域活動への参加度など社会活動も含めたものです。
(2)移動時の安全確保
・ 杖や歩行器を使う時は、杖の長さや杖先の滑り止めゴムキャップの有無、歩行器では重量、ハンドル、ブレーキなどを確認します。 靴は履きやすく脱げにくいもの、靴底には滑り止めのついたものを薦めます。
・ 住宅改修は、療養者の安全確保だけでなく、機能維持に役立つかどうか、先々の身体状況の変化に対応できるかどうか、など考慮に入れて行います。
・ 使う道路は、なるべく車の通行量の少ない安全な道路を選択するようにします。
(3)移動補助用具
・ 畳からの立ち上がりを補助する電動昇降座椅子や起立を補助するベッド柵取り付け型起立バーや電動昇降椅子、昇降便座などがあります。
・ 歩行の際の補助用具には、杖(T字杖、4点杖、ロフトランドなど)と歩行器(キャスター付き歩行器、固定型歩行器、椅子型歩行器)などがあり、療養者の歩行能に合わせて選択します。
・ 車椅子の場合、ベッドから車椅子への移動に関して、移動用リフトとスライデイングボードがあり、移動用リフトではリフトベルトが適切に着用されているか、機械操作は理解されているかなど確認します。
・ 社会資源の利用を考慮する移動補助用具は、「福祉用具の給付と貸与制度」の対象となるのか、自己負担部分について十分に説明しておきます。
[設問] 手段的日常生活動作(IADL)にあたるものを二つ選べ。
イ 入浴 ロ 整容 ハ 掃除 ニ 排泄 ホ 買い物
正解 (ハ、ホ)
[設問] 一本の脚、体重を支えるグリップ、腕を固定するカフを備えた杖は何というか?
イ T字型杖 ロ ロフストランド杖 ハ 松葉つえ ニ L字形杖 ホ 四点杖
正解 (ロ)
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