在宅看護論(19)(在宅療養者の状態別看護) [在宅看護論]
6.在宅療養者の状態別看護
1)寝たきり者
(1)寝たきり状態のアセスメント
・ 寝たきりの原因疾患には、脳血管疾患、骨粗鬆症、痴呆、難病、老衰などがあります。
・ 身体的側面では、症状、バイタルサインの他にADLや運動機能、排泄機能などのアセスメントを行います。
・ 心理的側面では、障害の受容、生きがい、楽しみ、意欲、不安、依存、羞恥心、屈辱感などのアセスメントを行います。
・ 社会的側面では、住環境、人間関係、介護負担、社会資源の利用度などのアセスメントを行います。
・ 1日の生活リズムの全体像を把握します。
・ 介護者の健康、意欲なども把握します。
(2)合併症の予防
・ 肺炎、便秘、産褥瘡、尿路感染、関節拘縮などが合併症としておこりやすいものです。
・ 便秘を予防するには、繊維の多い食事内容、水分の摂取、適度に身体を動かすこと、規則的排泄習慣が必要となります。それでもだめな時は、内服薬、浣腸、摘便などで排便のコントロールを行います。
・ 褥瘡予防には、体位変換の指導、栄養状態の管理、エアマットの利用などを行い、皮膚状態の観察が必要です。
・ 尿路感染予防には、陰部の清拭、洗浄などでの保清を行い、水分摂取を十分に行い、尿の濃縮をおこさせないことが必要です。
・ 関節の拘縮予防には、早期からの関節可動域運動などのリハビリテーションを導入することが必要です。
(3)生活意欲の向上
・ 残存機能を十分発揮させるような日常生活の援助を心がけます。
・ 寝たきりになる前の趣味、季節の行事、誕生日などの祝い事を取り入れるのもそのための手段の一つです。
・ 日々の生活の中に、テレビ鑑賞、親族との交流等を取り入れるのもいい方法です。快の刺激となる足浴、清拭、入浴なども効果があります。
・ 在宅サービスの利用で社会との交流の場をつくるのもよいかと思います。
(4)社会資源の利用
・ 家族の介護負担の軽減のため、ホールヘルパーやショートステイを利用してもらいます。
・ かかりつけ医をつくっておくことも必要です。
・ 介護保険や身体障害者手帳によるサービスを利用してもらいます。
[設問] 日常生活自立度の判定で「屋内での生活に何らかの介助を要し、日中もベッド上での生活が主体であるが、座位を保つ」は、どのランクか?
イ J ロ A ハ B ニ C 正解 (ハ)
[設問] 在宅の寝たきり療養者の肺炎の原因で最も多いのは次のどれか?
イ 誤嚥 ロ インフルエンザ感染 ハ 薬剤 ニ 市中肺炎の感染
正解 (イ)
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