在宅看護論(20)(在宅療養者の状態別看護) [在宅看護論]
2)認知症性高齢者
(1)認知症のアセスメント
・ 精神機能を測定するスケールには、認知機能を評価する改訂長谷川式知能評価スケール(HDS-R)、ミニメンタルテスト(MMSE)があり、知的機能に加えて意欲や生活能力など幅広く精神機能をとらえるスケールとして、N式老年者精神状態尺度(NMスケール)などがあります。
・ 認知症による精神機能の低下による症状として、記憶障害、見当識障害、判断力低下、人格の変化があり、随伴する精神症状として抑うつ、不安、興奮、幻覚、妄想などがあります。
・ 環境やストレスによっても症状が悪化することがあるので、家族や近隣社会との交流など心理社会的な背景にも目を向けることが必要です。
・ 食事時間、排泄の状況、睡眠、清潔の保持、コミュニケーションなど基本的な生活状況を把握します。
・ 安全な生活への配慮として、出入り口の安全性、危険物の有無、段差などの住居の様子も把握します。
・ 家族の動揺、介護負担、心理状態等にも気を配ります。
(2)コミュニケーション
・ 言語的コミュニケーション、非言語的コミュニケーションの両方の手段を使います。
・ 療養者の自尊心を傷つけないように、相手を尊重する姿勢で接します。
(3)問題行動
・ 徘徊には、それなりに理由があるので、無理にやめさせようとせず、一緒に歩いて、世間話をするなどで気をそらせ、タイミングを見計らって家に帰るようにすすめるようにします。
・ 不穏状態や暴力行為は、自分の意に添わないことをされたり、不安や恐怖を感じたりしておこることが多いので、まずは療養者の訴えに耳を傾けて気分転換を図り、静かな環境をつくるようにします。
・ 排泄の失敗は療養者にとって自尊心を傷つけるものですから、手早く後始末をして何事もなかったように接するようにします。
(4)社会資源の活用
・ 介護保険の対象となっていれば、ケアマネージャーと連携を図り、サービスの利用をすすめます。
・ 相談機関には、保健所での痴呆高齢者相談、老人性痴呆疾患センター、高齢者総合相談センター、在宅介護支援センターなどがあります。
・ 独居生活の場合、近隣や民生委員との協力、緊急時の通報システムを利用し、緊急時の連絡体制を整えておきます。
・ 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)は、小規模な生活の場ににおいて、認知症を持つ高齢者が食事の支度・掃除・選択などを協同で行い、家庭的で落ち着いた雰囲気の中で安心して生活を送れるようにすることを目的としています。 グループホームは、介護保険法で保険給付の対象となるサービスとなっています。
・ 認知症の進行で財産の管理が困難となった時は、成年後見制度があります。
[設問] 日常生活に支障をきたすような症状・行動や意思疎通の困難さがみられ、介護を要する場合、認知症高齢者の日常生活自立度の判定基準ではどれになるか?
イ I ロ Ⅱ ハ Ⅲ ニ Ⅳ ホ M 正解 (ハ)
[設問] 認知症の中核症状と言われるのは次のどれか? 二つ選べ。
イ 記憶障害 ロ 判断力低下 ハ 幻覚 ニ 妄想 ホ 昼夜逆転
正解 (イ、ロ)
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