小児看護学(26)(さまざまな状況にある子供と家族への看護) [小児看護学]
(9)与薬
・ 子供にとっての服薬は、その発達を考慮した安全で確実な方法の選択が最も大切です。
・ 経口与薬の際は、子供の発達段階、薬の副作用、薬の代謝、管理方法などの特性を理解した上で、本人かどうか、アレルギー歴の有無、指示量を確認し、わかりやすく説明して誤嚥のないよう十分に注意して与えるようにします。
・ 乳児への散剤の与薬は、少量の白湯で溶かし、乳首、スポイト、スプーンを用いて与え、ミルクや離乳食には混ぜないようにします。
・ 坐薬は、下剤として、あるいは、解熱、鎮痛などを目的として使われます。 体位は左側臥位(乳児は仰臥位)で膝を曲げて口呼吸を促しながら、潤滑油をつけた坐薬を静かに先端から挿入します。 そのままガーゼなどで1、2分押さえた後、安楽な体位にもどします。
・ 坐薬挿入は、最終排便を確認し、排便後に行います。 プライバシーには十分配慮します。
(10)注射
・ 皮内注射は、主に抗原抗体反応テスト(アレルゲンテスト、抗生物質のアレルギー検査、ツベルクリン反応)を目的としています。
・ 皮下注射は、インスリンやワクチン接種、アレルギーの減感作療法などの治療を目的とし、針の刺入角度は20〜30度です。
・ 筋肉注射は、大腿四頭筋短縮症の危険があるため、子供では上臀筋に行い、刺入角度は90度とします。
(11)輸液療法
・ 静脈内持続点滴の目的には、経口的に水分摂取が困難な時、あるいは下痢、嘔吐による体液喪失がある時に体液を補正してバランスが崩れるのを予防することと、抗生物質などの薬液を持続的に注入する場合とがあります。
・ 点滴の部位は、肘関節静脈、手背静脈、足背静脈が多く選択されます。 確実な固定と子供の活動制限とのバランスが選択のポイントになります。
・ 活動制限の大きい利き手を避けて、抑制範囲を最小限にして子供の苦痛を少なくします。
・ 点滴施行中は、指示された点滴の注入量および注入速度、接続部からの漏れなど輸液ルートや水分バランスに異常がないかを時間毎にチェックします。 また、子供のバイタルサイン、全身状態、固定テープによる皮膚障害、循環障害、刺入部の発赤、腫脹、疼痛の有無を観察します。
・ IVHは経口摂取、あるいは経管・経腸栄養が困難で栄養を十分に摂取できない場合に、長期にわたり栄養状態の維持、改善を行い、生命を維持して成長発達を促進させることを目的に施行されます。
[設問] 乳児への坐薬の投与の際の体位は次のどれか?
イ 右側臥位 ロ 腹臥位 ハ 仰臥位 ニ 半座位
正解 (ハ)
[設問] 小児への筋肉注射はどの部位になされるのが一般的か?
イ 臀筋 ロ 大腿四頭筋 ハ 三角筋 ニ 前脛骨筋
正解 (イ)
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