小児看護学(40)(さまざまな状況にある子供と家族への看護) [小児看護学]
11)終末期にある子供と家族
(1)子供の死の概念
・ 幼児期の子供は、「動く」「動かない」で生死を判断しています。 また、死んで柩の中に横たわっている人を見ても、生き返り、また話をすることができるようになると考えます。 死は、眠りや別離と同じように理解するのです。
・ 学童前期の子供
・ 学童後期から思春期前期になると、死は永久的な生の停止であり、普遍で避けがたい現象であることを理解できるようになります。 科学的な事実として死を認めるようになり、大人の死の概念に近くなってきます。
(2)死の不安と別離の不安
・ 「死の不安」については、自分自身が死ぬかもしれないという不安の他に、愛する者やペットの死についての不安があります。
・ 乳幼児の場合、緊密な愛着関係を築いている養育者が死ぬと、分離させられることへの激しい情緒反応をひきおこします。 また、「自分は捨てられた」 「自分が死んじゃえと言ったから」 「自分が悪い子だったから」 などと考えて、恐怖感につきまとわれることがあります。
・ 幼児は同胞の死で、「両親を占有できる嬉しさ」 「同胞の死を悲しむ両親の姿に対する不安」 「両親の自分への愛情回復についての不安」 など様々な思いが絡まり、複雑な気持になります。 しかし、一方、悲しみや不安を比較的早く忘れる傾向もあります。 死による喪失や不安より、興味のあるものに惹かれて葬儀場などで陽気に遊ぶ場合もあります。
・ 学童期では、自分自身の死の恐怖に動揺してしまうと、攻撃的な言動をとったり、抑うつ状態で表情が乏しく寡黙になったりすることがあります。
(3)子供への病気の説明
・ わが国では、現在、子供への病気の説明は、その多くが法定代理人である親に対して行われ、親の判断で子供に伝えるかどうかが決定され、親の決定に子供が従う場合が多いようです。
・ 親の承諾があり子供が理解できると判断すれば、インフォームドコンセントを行っている医師もいます。 子供が理解できる年齢の下限は、医療制度では7歳と考えられています。
(4)終末期にある子供の心身の状態と緩和ケア
(5)子供の死を看取る家族への関わりとケア
・ 子供を看取る家族は、心の準備をすることが難しく、その気持ちはとても辛いもので、ときには非常に強い情緒的反応が看護師などへの怒りの態度で表出されることもあります。
・ 家族の揺れる気持ちに添い、話を聞くことが大切です。
・ 両親が日頃から頼りにしている人や非常時にサポートを得ることができる人がいるかといった情報を集め、両親がサポートを受けることができるように調整します。
[設問] 科学的な事実として死を認めるようになるのは、いつ頃といわれているか? 以下より選べ。
イ 幼児期 ロ 学童前期 ハ 学童後期から思春期前期 ニ 思春期後期
正解 (ハ)
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