精神看護(15)(看護援助技法) [精神看護学]
3.看護援助技法
1)症状アセスメント
(1)不安
・ 不安とは、自己の将来におこりそうな危険や脅威、あるいは苦痛の可能性を感じた時におこる、不快な情動現象であり、漠然としてはっきりしない不安定感や無力感、孤立感などの感情を生じさせるものです。
・ 対象がはっきりしている場合に生じる情動反応は、恐怖です。
・ 正常な不安には、行動を動機づけ、促進する作用があります。
・ 病的な不安には、不安発作をおこすような強度の不安と、落ち着かない緊張した状態が続く中等度の不安があります。
・ 強度の不安がある場合、「恐ろしい」 「何か嫌なことがおこりそうな」 などの訴えがあり、そばにいる人に取りすがる、取り乱すなどの行動がみられます。
・ 不安は、交感神経を刺激して、血圧上昇、頻脈、発汗、頻尿、口渇、食欲低下、便秘、下痢などをひきおこします。
(2)抑うつ
・ 抑うつ状態とは、喜びや悲しみなどの自我感情が低下し、自己の過少評価による不安の増強や、思考停止、精神運動抑制による活動性の低下に自律神経症状を伴った状態です。
・ 抑うつ状態は、うつ病、抑うつ神経症、脳の器質的障害、認知症性疾患の初期、甲状腺機能の障害、糖尿病、全身性エリテマトーデス、パーキンソン病、出産後、薬物の副作用(ステロイド、降圧剤、βブロッカーなど)でみられます。
・ 抑うつ状態の契機となるものとして、近親者の死や離婚などの精神的な衝撃や転居、昇進などの環境の変化、身体疾患の発症などが挙げられます。
・ 抑うつ状態には、日内変動があり、朝は気分が悪く離床が困難ですが、午後から夕方にかけて活動性がでてきます。
(3)幻覚
・ 幻覚は知覚の異常であって、ほんとうは実在しない対象を知覚することです。 知覚の対象により、幻聴、幻視、幻臭などがあります。
・ 幻臭とは、他者にはにおわない異臭を感じることです。 てんかんや脳腫瘍など、脳神経外科領域の疾患でよくみられます。
・ 幻触とは、普通には感じられないような奇妙な感覚で、「体に針金が入っている」 「体の中に虫がいる」 などの訴えが認められます。
・ 幻味とは、脳の器質性疾患で酸っぱい、腐っているといった不快な感じとして体験されますが、統合失調症の場合は「毒が入っている」 など妄想との関連が深いものになります。
[設問] レビー小体型認知症でよくみられるものは、次のどれか?
イ 幻視 ロ 幻聴 ハ 幻触 ニ 幻味
正解 (イ)
[設問] アルコール依存症でみられる幻視で多いのは、次のどれか?
イ 大人の男性 ロ 大人の女性 ハ 子供 ニ 虫や小動物
正解 (ニ)
精神看護看護(25)(精神科治療と看護) ⇒ http://shiratorik-kango.blog.so-net.ne.jp/2013-12-03
コメント 0