過去問を考えてみよう (29) [過去問解析]
29. 酸塩基平衡の異常と原因の組み合わせで正しいのはどれか。 (2013年出題)
1. 代謝性アルカローシス ----- 下痢
2. 代謝性アシドーシス ----- 嘔吐
3. 代謝性アシドーシス ----- 慢性腎不全
4. 呼吸性アシドーシス ----- 過換気症候群
正解 (3)
[解説] 下痢ではアルカリの腸液が排泄されるので代謝性アシドーシス、だから×、……嘔吐では酸性の胃液が失われるので代謝性アルカローシス、だから×、……過換気症候群は呼吸をし過ぎて二酸化炭素が失われるので酸塩基平衡が塩基性に傾いて呼吸性アルカローシス、だから×。
残るのは慢性腎不全、このときは、酸塩基平衡を保つために働く緩衝系の代表である重炭酸イオン(水素イオンを受け取って水と二酸化炭素のかたちにする)の再吸収が低下し、代謝性アシドーシスをおこしてきます。 ですから、正解は3ということです。
[補足1] 生体では血液中のpHが7.4になるように酸塩基平衡が働いています。 これがくずれてpHが下がるのがアシドーシス、上がるのがアルカローシスです。 これが換気の異常でおこるのが呼吸性で、換気に異常がなくておこるのが代謝性ということになります。
[補足2] 酸塩基平衡には、緩衝系が大きな働きをしています。 この緩衝系の中の代表選手が重炭酸イオン(HCO3-)ということになります。 重炭酸イオンは、酸性要因の水素イオンを受け取って、排泄できる二酸化炭素と水になり、緩衝作用を果たすのです。
さて、次の設問に答えてください。
[設問] 呼吸性アルカローシスをきたすことがあるのはどれか?
イ 過換気症候群 ロ 肺気腫 ハ 肺線維症 ニ 肺炎 ホ 気管支喘息
正解 (イ)
[設問] 代謝性アルカローシスをきたすことがあるのはどれか?
イ 下痢 ロ 嘔吐 ハ 糖尿病 ニ ショック
正解 (ロ)
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