過去問を考えてみよう （52）

52 　Aさんは、特定の相手に対して「とても尊敬しています」と過度に好意を示すこともあれば「あんたは最低だ。　嫌い」と嫌悪感を同時に訴えることもある。　Aさんに現れている現象はどれか。　（2013年出題）

　１．　否認

　２．　逆転移

　３．　アンビバレンス（両価性）

　４．　エディプスコンプレックス

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　正解　（３）

[解説]　否認とは、不安、苦痛を引き起こす出来事から眼をそらして認めないこと……逆転移とは、治療者が患者に対して無意識に心を動かされること……エディプスコンプレックスとは、幼児期おいて母親を手に入れようとして、父親に対して強い対抗心を抱くといった心理的な抑圧のことを言います。　以上のことを知っていれば、もちろんエクセレンなのですが……設問のカギカッコの中に書かれていることが対極にあることは容易に推察されますから、他のことを漠然としかわかっていなくても、アンビバレンス（両価性）の正解にたどりつくことはできますね。　正解は3となります。　

[補足１]　同じ対象に対して、相反する対極的な態度や情緒、たとえば愛情と憎しみを示すことをアンビバレンス（両価性）といいます。

[補足２]　精神分析による治療の過程で、患者が治療者に対して、自分にとって大切な意味を持っていた人物（両親や恋人など）に向けていた感情を向けることを転移と呼びます。　

　　では、次の設問に答えてください。

[設問]　高度に成長してきた人物が、過去の成長過程に戻ることを、精神分析学用語では何というか。

イ　退行

ロ　幼児化

ハ　後退

ニ　発達障害

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　正解　（イ）

タグ：看護 国家試験 精神分析 両価性