疾病の成り立ちと回復の促進 第2回(内因と外因:外因) [疾病の成り立ちと回復の促進]
2)疾病を引き起こす内因と外因
(1)外因
A)化学的因子
・腐食毒(ふしょくどく)(酸、アルカリ): 接触した箇所の組織を破壊します。
・有毒ガス: 有毒な気体、微細な液体あるいは微粉末の個体で、接触した皮膚、吸入した器官の粘膜の障害と全身性の障害をおこします。喫煙も生活習慣の中で吸い込む毒ガスの一つといえます。
・金属性毒物(ヒ素、鉛、水銀など): これによる疾病として、有機水銀による水俣病、カドミウムによるイタイイタイ病などがあります。
・有機化合物(有機溶剤など): 揮発性のもので、主に肺から侵入しますが、皮膚から入るものもあります。
・医薬品: キノホルムによるスモン、サリドマイドの催奇形性、抗生物質の副作用と薬剤耐性菌感染症などがあります。
B)物理的因子
・機械的エネルギー: 外力(殴打、刃物、銃弾、交通事故などによる)によって加わるエネルギーによって身体に損傷を起こします。
・気圧の変化: 急激におこると、肺出血、臓器破裂、海中での急浮上による潜函病(せんかんびょう)、高山病などdがあります。
・音波: 聴覚器官に障害を起こします(騒音性難聴)。
・温度: 火傷、熱傷、熱中症、凍傷
・電気、光線
・放射線
C)栄養不全と栄養過多
・水、塩類、酸素、ビタミン、蛋白質、糖類、脂肪などの栄養素の過不足によっておきます。
・最近では、栄養過多による生活習慣病(代謝症候群などの疾患概念ができています)がおこり、問題となっています。
D)生物学的因子
・細菌、スピロヘータ、リケッチャ、ウイルス、原虫、寄生虫などがあります。
・最近では、HIV(human immunodeficiency virus)によるエイズ(後天性免疫不全症候群、acquired immunodeficiency syndrome, AIDS)や新種のコロナウイルスによる重症急性呼吸器症候群(SARS, severe acute respiratory syndrome)、鳥インフルエンザAH5N1ウイルスなどの新しいウイルス疾患が現われています。肝炎ウイルスもかってのA型、B型以外にC型を始め、数種の新たなウイルスが発見されています。
・最近の細菌感染症では、病原大腸菌O-157、耐性ブドウ球菌などが新しい問題となっています。
・新しい伝染性疾病として、牛海綿状脳症(うしかいめんじょうのうしょう)(BSE)などのプリオン病が問題となり、原因となる異常プリオンが話題となっています。
E)社会的因子
・現代社会における対人関係などにおけるストレスが疾病の原因となっています。
[設問] 疾病の外因の中で、物理的因子はどれか? 一つ選べ。
イ 有毒ガス ロ 放射線 ハ 金属性毒物 ニ プリオン
正解 (ロ)
[設問] 外因とそれによる疾病の組み合わせで正しいものを一つ選べ。
イ キノホルム --- 奇形
ロ サリドマイド --- スモン
ハ 有機水銀 --- 水俣病
ニ カドミウム --- 肺癌 正解 (ハ)
[設問] 新型のコロナウイルスによる重症ウイルス性肺炎はどれか?
イ SARS
ロ AIDS
ハ 鳥インフルエンザ
ニ BSE 正解 (イ)
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1.疾病の成り立ち
1)疾病とは?