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疾病の成り立ちと回復の促進 第4回(病態のいろいろ) [疾病の成り立ちと回復の促進]

3)疾病の病態のいろいろ

(1)先天性疾患と遺伝病

A)先天性疾患と遺伝病の関係

・先天性疾患には、外因による胎生期障害と、代々受け継がれてきた病原遺伝子による遺伝病があります。

B)遺伝子病と遺伝病

・遺伝子は環境の影響によって生後にも突然変異がおこることがあります。このような後天的な変異を含めた遺伝子の異常が引き起こす疾患を遺伝子病と呼びます。

・遺伝病とは、代々受け継がれてきた病因遺伝子の伝達によっておこる疾患のことです。つまり、遺伝病は遺伝子病の中に含まれることになります。

C)遺伝病のいろいろ

a)染色体異常による遺伝病

・染色体の構成: ヒト体細胞の染色体は46個で、そのうち常染色体が44個(22対)、性染色体が2個あります。 性染色体は男性ではXY、女性ではXXとなっています。 常染色体が対になっているのは両親から受け継いでいるからで、お互いそれぞれの相同染色体(そうどうせんしょくたい)といいます。 ヒト生殖細胞の染色体は、減数分裂によって卵子から常染色体22+Xの1種類だけになりますが、精子では常染色体22+Xと22+Yの2種類になります。

・染色体の基本構造: 染色体の中央部にはくびれがあり、その部分をセントロメアといい、それをはさんで短い方をp腕(短腕)、長い方をq腕(長腕)と呼びます。 p腕とq腕の端っこにはテロメアと呼ばれる構造があります。

染色体.png

・染色体異常のいろいろ: 数の異常としては、正常では2個の相同染色体が1個(モノソミー)や3個(トリソミー)になっているものがあります。 構造の異常としては、染色体の一部が欠けたり(欠失)、染色体の1部が切れて他の染色体に接合したり(転座)、染色体の1部が他の染色体のどこかに挿入されて二重になったりしたもの(重複)があります。

・常染色体異常による疾患: 正常では2個ある第21染色体が3個になったダウン症候群(21トリソミー症候群)などがあります。

・性染色体異常による疾患: ターナー症候群、クラインフェルター症候群(47+XXYなど)などがあります。

[設問] 次の説明文で正しいものを一つ選べ。

イ 遺伝子病には、代々受け継がれてきた病因遺伝子によるものと、突然変異による遺伝子の異常で起きるものがある。

ロ 遺伝病とは、突然変異による遺伝子の異常で起こるものをいう。

ハ ヒトの体細胞の染色体は44個ある。

ニ 染色体の中央部のくびれをテロメアという。

                               正解 (

[設問] 正常では2個ある第21染色体が3個になって起る病気はどれか?

イ ターナー症候群

ロ クラインフェルター症候群

ハ ダウン症候群

ニ 代謝症候群                  正解 (

 

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疾病の成り立ちと回復の促進 第3回(内因と外因:内因) [疾病の成り立ちと回復の促進]

(2)内因

内因.png

A)遺伝子異常(直接因子)

・先祖から代々異常遺伝子を受け継いでいる場合と、突然変異によって初めて異常遺伝子が発現する場合の2種類があります。

・病原性を持つ異常遺伝子、つまり病原遺伝子が、世代を越えて伝わる疾患を遺伝性疾患といいます。

・遺伝性疾患は、生下時から症状を示すとは限らず、生まれた時は症状がなく、ある年齢から発症するものも数多くみられます。

B)免疫防御系の異常

・免疫機構の強弱: 免疫は生体の持つ最も能動的な防御機構ですが、個人差があって、同じ病原体でも感染してすぐに治る人もいれば、重症になる人もいます。

・免疫過剰: アレルギーとして現れます(過ぎたるは及ばざるがごとし……ということです)

・免疫機構の変調: 自分の身体の成分なのに、免疫系が抗原と認識してしまい、免疫反応をおこして疾病を引き起こすことがあります。いわゆる自己免疫疾患のことです。

C)加齢など(誘因)

・加齢により、生体膜やその構成成分に劣化がおこり、外因の影響を受けやすくなります。つまり、疾病発症の準備状態ができるということです。

・加齢により、さまざまな外因によって遺伝子が傷つき変異がおきます。癌関連遺伝子の変異によって癌の発生をきたすこともあります。

[設問] 下記の文で、正しいものを一つ選べ。

イ 遺伝子異常とは、代々異常な遺伝子を受け継いでいる場合だけをいう。

ロ 遺伝性疾患であれば、すべて生下時より症状を呈する。

ハ 免疫系が、自分の身体の成分を抗原と認識して起きるのが自己免疫性疾患である。

ニ 遺伝子は外因によって傷つくことはない。

                       正解 (

 

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