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疾病の成り立ちと回復の促進 第9回(病態のいろいろ) [疾病の成り立ちと回復の促進]

D)細胞死

a)アポトーシスとネクローシス

・ 細胞の死には、思いがけず細胞傷害を受けたことにより細胞が死ぬ、ネクローシスと、不必要となった細胞を除去するために遺伝子でプログラム化された細胞死、アポトーシスがあります。

アポトーシス.png

 

b)壊疽

・ 広範囲に壊死をおこした組織が二次的な変化を受けると壊疽(えそ)と呼ばれる状態になります。

・ 急速に乾燥しミイラ化した場合、乾性壊疽(かんせいえそ)と呼ばれます。

・ 腐敗菌が感染すると悪臭を放ち、湿性壊疽(しつせいえそ)と呼ばれます。

・ ガス産生嫌気性菌に感染するとガス壊疽となります。

E)老化と死

a)細胞の老化

・ 細胞の分裂回数は有限であり、動物種によって異なる。 ヒトでは約50~70回といわれ、染色体の末端にあるテロメアは細胞分裂の回数券といわれ、分裂を経たものでは短くなります。 細胞分裂が停止した細胞では、徐々に老化が始まり、異常ミトコンドリアが増加しATP産生の低下やフリーラジカルの産生が高まり、細胞傷害が進みます。 老化した細胞では細胞内に変性物質の沈着がみられ、機能障害がおこっています。

テロメアの短縮.png

b)個体の老化

・ 細胞の集合体である個体にも老化があり、老人の細胞ではテロメアが短くなっています。 細胞の機能低下があれば器官の機能低下もおこり、さらには個体が老化していきます。

・ 老化した個体では、全身の水分含有量や蛋白の減少と脂質の増加がみられます。

[設問] 下記の文で正しいものを一つ選べ。

イ アポトーシスとは、遺伝子でプログラム化された細胞死のことである。

ロ ネクローシスとは、不必要となった細胞を除去するためにおこる。

ハ アポトーシスとは、思いがけず細胞傷害を受けたことによっておこる。

ニ ネクローシスとは、遺伝子でプログラム化された細胞死のことである。

                       正解 (

[設問] ミイラは何という壊疽か?

イ ガス壊疽

ロ 乾性壊疽

ハ 湿性壊疽

ニ 単純壊疽     正解 () 

[設問] 下記の説明文で正しいものをニつ選べ。

イ 細胞分裂の回数は有限であり、どの動物種でも同じである。

ロ 細胞分裂の回数券と言われるのは、染色体のテロメアと呼ばれるものである。

ハ テロメアの長さは、分裂を経ても変わらない。

ニ ヒトの細胞の分裂回数は30回くらいと言われる。

ホ 老人の細胞ではテロメアは短くなっている。    正解 (


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疾病の成り立ちと回復の促進 第8回(病態のいろいろ) [疾病の成り立ちと回復の促進]

C)変性

a)変性とは?

・ 組織、細胞の傷害機転により出現した機能障害によって組織、細胞内に正常ではみられない物質が沈着したり、正常でもみられるが量が過剰に沈着することがありますが、これを変性と呼びます。

b)細胞の変性

ア)混濁腫脹: 細胞の腫脹して、細胞質内が白く混濁してみえることがあります。 これは酸素欠乏により多数のミトコンドリアが膨化したためにみられるもので、ヒ素中毒や熱性伝染病、慢性の貧血などの際にみられるものです。

イ)空胞変性: 細胞内のミトコンドリアや小胞体が膨化し空胞化しておこるもので、中毒、感染症でみられます。

空胞変性.png

ウ)脂肪変性: 細胞の脂質の酸化障害により大小の脂肪滴が細胞質内に多数出現した状態で、肝、腎、心筋などの実質臓器でみられ、慢性貧血、うっ血、中毒などでおこるものです。

エ)粘液変性: 腺上皮細胞でみられる所見で、粘液の細胞内での貯留が高度となっておこるものです。

粘液変性.png


オ)硝子滴変性: 細胞質内に硝子様小顆粒(しょうしようしょうかりゅう)が細胞質内に充満してみられるもので、硝子様小顆粒は細胞質内に蛋白が過剰に再吸収されたものです。 糸球体腎炎やネフローゼで腎臓の近位尿細管上皮にみられます。

カ)グリコーゲン変性: 肝臓や横紋筋のようなグリコーゲンを含む臓器の細胞で、グリコーゲンを分解する酵素に異常を生じたときにグリコーゲンが沈着しておこるものです。

c)細胞間質の変性

ア)硝子変性: 硝子質(しょうししつ)と呼ばれる物質が結合組織や血管壁に沈着、蓄積しておこります。 これは、動脈硬化のおこっている血管壁などにみられます。

イ) フィブリノイド変性: フィビリンを含んだ血漿成分が血管壁などに沈着したもので、膠原病などでみられます。

ウ)アミロイド変性: 硝子質に似たアミロイドと呼ばれる糖蛋白が組織間隙や血管周囲に異常沈着するものです。

エ)結合識性粘液変性: 結合組織に粘液の貯留をきたすもので、間質組織由来の腫瘍である線維腫、粘液腫、脂肪肉腫などでおこりやすいといわれます。

[設問] 印環(いんかん)細胞がみられるのはどの変性か。

イ 空胞変性   ロ 脂肪変性   ハ 粘液変性   ニ グリコーゲン変性

                             正解 (



 


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