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疾病の成り立ちと回復の促進 第12回(病態のいろいろ) [疾病の成り立ちと回復の促進]

F)その他の代謝障害

a)高カルシウム血症

・ 上皮小体機能亢進症、ビタミンDの過剰摂取、腎機能不全、骨腫瘍などによっておこり、血管壁や尿細管上皮などにカルシウム沈着がおこります。

b)ウイルソン病

・ 常染色体劣性遺伝で、銅を運ぶ蛋白の異常によっておこる病気です。 銅の臓器や組織への沈着のため、肝硬変、大脳基底核の変性がおこります。 眼の角膜周辺部に銅が沈着すると緑褐色のリングが見え、カイザーフライシャー角膜輪(かくまくりん)と呼ばれます。

c)黄疸

・ ビリルビンは赤血球中にあり酸素の運び屋であるヘモグロビンの代謝産物で、肝臓で間接ビリルビンからグルクロン酸抱合を受け直接ビリルビンとなり胆汁中に排泄されていますが、この代謝障害によっておこるのが黄疸です。

ビリルビン代謝.png

・ 溶血性黄疸: 赤血球が大量に破壊される状態があるとおこりますが、この場合は、間接型ビリルビンが増えています。

溶血性黄疸.png

・ 肝細胞性黄疸: 肝細胞の破壊によって間接型ビリルビンのグルクロン酸抱合ができず、また肝細胞によってつくられた胆汁が逆流するなどして起りますが、この場合、間接型、直接型ともに増えます。

・ 閉塞性黄疸: 胆管の通過障害によっておこるもので、胆汁うっ滞がおこり、胆汁はリンパ管から胸管、さらに血中に入り、黄疸がおこります。 この場合、直接型ビリルビンが増えます。

閉塞性黄疸.png

・ 核黄疸: Rh型、ABO型不適合によりおこる新生児重症溶血性黄疸で、血液脳関門が未熟なため、間接型ビリルビンが大脳基底核や脳幹に沈着し、脳性麻痺などをおこします。

[設問] ウイルソン病は次のどの遺伝形式か?

イ 常染色体性優性

ロ 常染色体性劣性

ハ 性染色体性優性

ニ 性染色体性劣性              正解 (

[設問] 次の説明文で正しいものを一つ選べ。

イ 上皮小体機能低下症は、高カルシウム血症の原因となる。

ロ ウイルソン病は銅を運ぶ蛋白の異常によっておこる。

ハ ウイルソン病では肝硬変とともに大脳皮質の変性がおこるのが特徴である。

ニ ビタミンDの摂取不良は高カルシウム血症の原因となる。

                         正解 (

[設問] 黄疸と増えるビリルビンの種類の組み合わせで正しいものを一つ選べ。

イ 核黄疸 --- 直接型ビリルビン

ロ 閉塞性黄疸 --- 間接型ビリルビン

ハ 肝細胞性黄疸 --- 間接型と直接型ビリルビンの両者

ニ 溶血性黄疸 --- 直接型ビリルビン          正解 (


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疾病の成り立ちと回復の促進 第11回(病態のいろいろ) [疾病の成り立ちと回復の促進]

D)核酸代謝障害

a)痛風

・ 核酸の成分であるプリン体の代謝障害によっておこるもので、最終代謝産物である尿酸が血中に増え、尿酸塩が関節周囲組織に沈着し有痛性の結節(痛風結節)ができるのです。

痛風結節.png


b)核酸代謝酵素欠損症

・ 核酸代謝にはたくさんの酵素が関与しており、それぞれの欠損症が知られています。

E)脂質代謝障害

a)高脂質血症

・ 血液中においてコレステロール、中性脂肪(トリグリセリド)、リン脂質、遊離脂肪酸などの脂質が単独あるいは複数で高値となった状態を高脂質血症といいます。

b)肥満症

・ 肥満症とは標準体重を20%以上超えていて、全身の脂肪組織に中性脂肪が異常に蓄積した状態をいいます。 肥満も、内蔵に蓄積する中性脂肪がインスリン感受性低下の原因となるなど、代謝症候群の中核の異常として近年取り上げられています。

代謝症候.png


・ 単純性肥満症: 摂取エネルギー過剰によるものです。

・ 症候性肥満症: 内分泌障害、先天性異常、中枢神経系障害などによる2次的なものをいいます。

c)脂肪肝

・ 脂肪酸が過剰に肝臓に取り込まれ、中性脂肪も増加し、肝細胞内に脂肪が蓄積した状態をいいます。

・ アルコール、肥満、糖尿病、飢餓などでおこります。

脂肪肝.png

d)脂質沈着症

・ 脂質の分解に関与するライソソームの酵素欠損により、肝臓や脾臓などの網内系細胞に類脂質が蓄積する疾患群のことです。

・ ゴーシェ病、ニーマンピック病などがあります。

[設問] 痛風は核酸の成分の代謝障害によるものであるが、その成分とはどれか?

イ プリン体   ロ 尿酸   ハ 遊離脂肪酸   ニ アンモニア

                                   正解 (

[設問] 血液中にコレステロール、中性脂肪、リン脂質、遊離脂肪酸などが単独、あるいは複数高値となったものを何というか? 一つ選べ。

イ メタボリック症候群  ロ 高脂質血症   ハ 内臓肥満症   ニ 動脈硬化症

                                   正解 (

[設問] 肥満症とは標準体重を何%超えたものをいうか?

イ 10%   ロ 15%  ハ 20%   ニ 25%    正解 ( 

[設問] 代謝(メタボリック)症候群の診断基準項目の組み合わせで正しいものを選べ。

イ 内臓肥満・高中性脂肪血症・低HDL血症・高血圧・空腹時高血糖

ロ 内臓肥満・高中性脂肪血症・高LDL血症・高血圧・空腹時高血糖

ハ 内臓肥満・高尿酸血症・高LDL血症・高血圧・空腹時高血糖

ニ 内臓肥満・高尿酸血症・低HDL血症・高血圧・空腹時高血糖

                           正解 (

[設問] 脂肪肝の原因とされるものを二つ選べ。

イ アルコール  ロ 喫煙   ハ 飢餓   ニ エクササイズ   ホ 高血圧

                           正解 (


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