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疾病の成り立ちと回復の促進 第34回(薬剤) [疾病の成り立ちと回復の促進]

k) 交感神経に作用する薬剤

ア)アドレナリン作動薬(交感神経興奮薬): カテコールアミンなど。

・ カテコールアミン: ノルアドレナリン、アドレナリン、ドパミン、ドブタミン、イソプロテレノールがあります。

・ ノルアドレナリン: 昇圧作用が強い薬剤です。 心拍出量や組織の血流が正常なときは有効です。 しかし、ショック時には無効です。

・ アドレナリン: β2受容体刺激作用が強いため気管支喘息に有用です。 また、ショックにも使用できます。

・ イソプロテレノール: β受容体刺激作用が強いため気管支喘息の発作時の吸入薬として用いられます。

喘息治療.png

・ ドパミン: ショックなどで昇圧効果がみられます。

どぱみん.png

・ その他のアドレナリン作動薬: フェニレフリン、クロニジン、ドブタミン、チラミン など

イ)交感神経遮断薬(抗アドレナリン薬)

・ α受容体遮断薬: α作用を持った交感神経興奮物質と競合的拮抗をします。 高血圧治療薬として利用されることが
多い薬剤です。

・ β受容体遮断薬: 心拍数を減少、収縮力を低下させて心拍出量を減少させるので、心筋の酸素需要が減少します。
不整脈治療薬や高血圧治療薬として使われます。 プロプラノロールは代表的なβブロッカーです。 βブロッカーは、気管支喘息、糖尿病性アシドーシス、高度の徐脈、心原性ショック、急性心不全などには禁忌になります。

・ 交感神経終末抑制薬: レセルピンは、アドレナリン作動性神経終末においてカテコールアミンを枯渇(こかつ)させます。

l) 副交感神経に作用する薬物

ア)副交感神経作動薬

・ コリン作動薬: アセチルコリン、メタコリン、ベタネコール、ムスカリン、ピロカルピンなどがあります。

・ コリンエステラーゼ阻害薬: フィゾスチグミン、ネオスチグミン、エドロフォニウム などがあります。

エドロフォニウム.png

イ)抗コリン薬(副交感神経遮断薬)

・ アトロピンが代表的な抗コリン薬であり、アセチルコリンの結合する受容体(ニコチン受容体とムスカリン受容体の2種類)のうちムスカリン受容体に競合的に結合することで副交感神経を遮断します。 投与により頻脈、口渇、腸管機能の抑制などがおこります。 散瞳薬としても使われます。

アセチルコリン受容体.png

m) 自律神経節に作用する薬物

自律神経節.png

ア)神経節興奮薬(刺激薬)

・ アセチルコリンと同じようにニコチン受容体と結合して自律神経節を興奮させる物質をいいます。

・ 代表的な神経節興奮薬がニコチンです。

・ ニコチンは血圧上昇、腸管運動の亢進をおこし、骨格筋では少量で収縮を促進し多量では後期に麻痺させます。

煙草.png

イ)自律神経節遮断薬

・ 自律神経節遮断薬はアセチルコリンが結合するニコチン受容体に先回りして結合して作用します。 

自律神経遮断薬.png

・ 自律神経節は交感神経系も副交感神経もあるため、臓器では優位に支配している方の抑制効果が出ます。 消化管は副交感神経優位のため蠕動運動の減少が、心臓でも副交感神経が優位のため頻脈に、細動脈では交感神経系が優位ですので血圧は下降します。

[設問] 以下より交感神経興奮薬を一つ選べ。

イ アセチルコリン

ロ レセルピン

ハ プロプラノロール

ニ イソプロテレノ―ル       正解 (

[設問] 副交感神経作動薬で重症筋無力症の診断に使われるものはどれか?

イ アセチルコリン

ロ ピロカルピン

ハ エドロフォニウム

ニ アトロピン              正解 (

[設問] 散瞳薬として使われるのはどれか?

イ アトロピン

ロ アセチルコリン

ハ レセルピン

ニ ドパミン          正解 (


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疾病の成り立ちと回復の促進 第33回(薬剤) [疾病の成り立ちと回復の促進]

e) 全身麻酔薬

ア)吸入麻酔薬と静脈内麻酔薬

・ 吸入麻酔薬: 笑気(しょうき)は無臭のガス。その他の吸入麻酔薬は揮発性液体なので気化させて使います。 以前はハロタンが使われていましたが、最近ではエンフルラン、メトキシフルラン、イソフルラン、セボフルランなどがよく使われます。

・ 静脈内麻酔薬: バルビタール誘導体、ケタミン、ベンゾジアゼピン系薬剤、プロプフォル、エトミダートなどがあります

イ)麻酔深度

麻酔震度.png

f) 抗てんかん薬

ア)小発作治療薬

・ エトスクシミド: 小発作第1選択薬

・ バルプロ酸: 小発作にも大発作にも有効

・ クロナゼパム: ベンゾジアゼピン系で最も抗けいれん作用が強い薬物です。

イ)大発作治療薬

・ フェニトイン: 抗けいれん作用は強いが、運動失調や精神症状をおこすことがあります。

・ カルバマゼピン: 複雑部分発作の第1選択薬

・ フェノバルビタール: 古くから使われ、安全性が高いことが利点です。

・ プリミドン: 代謝されてフェノバルビタールとなって作用します。

ウ)新規の治療薬

・ レべチラセタム: 部分発作に対する併用薬

・ ラモトリギン: 部分発作と全般発作の併用薬

・ ガバペンチン: 部分発作に対する併用薬

g)  麻薬性鎮痛薬と拮抗薬

ア)麻薬性鎮痛薬

・ 麻薬性鎮痛薬オピオイドは、意識をなくすことなく痛みを和らげるが、同時に多幸感が生じ、連用により習慣性をおこす1群の化合物です。

・ 代表的オピオイドは、アヘンから抽出されるモルヒネ、ヘロイン、コデインの三つです。

・ 麻薬性鎮痛薬は副作用として呼吸抑制があります。

・ 合成麻薬性鎮痛薬としては、ペンタゾシンがある。

イ)麻薬拮抗薬

・ ナロキソンやナルトレキソンは、麻薬拮抗作用があるので、急性麻薬中毒の呼吸抑制に有効です。

h) 中枢神経興奮薬

ア)カフェイン: キサンチン類の1つで合法的な中枢神経興奮薬です。1杯のコーヒーにやく100mg、カフェインが含まれており、1日6杯以上(600mg以上)で軽い身体的依存がおこります(無気力、頭痛など)。 

カフェイン.png

イ) ニコチン: ニコチンは中枢神経興奮薬であり、依存を生じます。

ウ) コカイン: コカの葉に含まれる。コカの葉を噛んでも量が少なく、中毒にはなりません。 精製されてコカインとなります。

エ) メタンフェタミン: 覚醒剤として使われます。

i) 幻覚剤、その他

ア)LSD: 麦角(ばっかく)アルカロイドから合成される幻覚剤の1つです。

イ)大麻: 大麻成分のカンナビノイドにより、多幸感、幻覚をおこします。

j) アルコール

・ エタノールは中枢神経系を抑制します。

・ 一気飲みによる急性アルコール中毒は非常に危険です。

急性ある中.png

・ 慢性アルコール中毒により、禁断症状(きんだんしょうじょう)として振戦せん妄(しんせんせんもう)(意識混濁、振戦、幻覚)をおこし死に至ることもあります。

[設問] 通常の外科手術が行われる麻酔深度は、以下のどれか?

イ 意識不完全、痛覚低下

ロ 意識消失、見かけ上興奮

ハ 反射抑制、骨格筋弛緩

ニ 呼吸停止、血圧低下         正解 (

[設問] 本邦で複雑部分発作の第一選択薬として使われる抗てんかん薬はどれか?

イ カルバマゼピン  ロ バルプロ酸  ハ フェニトイン  ニ クロナゼパム

                         正解 (

[設問] 合成麻薬性鎮痛薬は次のどれか?

イ モルヒネ  ロ ヘロイン  ハ コデイン  ニ ペンタゾシン

                       正解 (

[設問] 急性麻薬中毒の呼吸抑制に有効なのは次のどれか?

イ ペンタゾシン  ロ カルバマゼピン  ハ クロナゼパム   ニ ナロキソン

                       正解 (

[設問] 慢性アルコール中毒の禁断症状は次のどれか?

イ 悪性症候群

ロ パニック障害

ハ 振戦せん妄

ニ 多幸症           正解 (


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