SSブログ

疾病の成り立ちと回復の促進 第38回(薬剤) [疾病の成り立ちと回復の促進]

D)水・電解質、利尿薬

a) 輸液

ア)栄養輸液薬

・ 糖質輸液薬: ブドウ糖が最も使われます。 等張液は5%ですが、10%、20%、50%液があります。 果糖、キシリトール、ソルビトールなどは糖尿病の患者の場合に利用されます。

・ アミノ酸輸液薬: 複数のアミノ酸を配合した総合アミノ酸液が使われます。

・ 脂肪乳剤: エネルギー源と必須脂肪酸の供給源として利用されます。

・ 高カロリー輸液: 経口摂取が長期間できない患者で、高カロリー輸液製剤が使われ、大静脈内に持続注入することができます。

高カロリー輸液.png

イ)血液・血漿増量剤

・ 輸血: 新鮮血輸血(供血者から採血してすぐに輸血)、保存血輸血(予め採血し冷蔵後輸血)、成分輸血(必要な成分だけ輸血)、自己血輸血(予め採血した自分の血液を必要時に輸血)

・ 血液代用液・血漿増量剤: 血液が間に合わないときに循環血液量を補う目的で代用液が使われます。 それには、デキストラン、ヒドロキシエチルデンプン、ゼラチン製剤、アルブミンなどがあります。

・ 腹膜灌流液と人工腎臓透析液: 腎不全患者で腹膜灌流や透析を行う時に使われます。 細胞外液とほぼ同じ組成となっています。

b) 利尿薬

ア)概念

・ 腎の尿細管でのNa+、水の再吸収を抑制して尿としての排泄を増やす薬物を利尿薬(りにょうやく)といいます。 浮腫(ふしゅ)など細胞外液(さいぼうがいえき)に貯留したNa+、水を排泄させる目的で使われます。 高血圧、心不全の治療、ショック腎の予防にも使われます。

利尿薬.png

イ)利尿薬のいろいろ

・ ループ利尿薬: フロセミド、アゾセミド などがあります。 肺水腫、心不全、腎不全による浮腫、肝硬変での浮腫などすべての浮腫に使われます。

・ チアジド系利尿薬: クロロチアジド、ヒドロクロロチアジドなどがあります。 Ca2+の排泄は促進しないので腎性高Ca血症をおこすことがあります。

・ 炭酸脱水素酵素阻害薬: アセタゾラミドがある。利尿薬としてはあまり使われず、緑内障の治療に使われます。

・ カリウム保持性利尿薬: スピロノラクトン、エプレレノンがあります。 水、Na+の尿細管での再吸収を抑制するアルドステロンに拮抗して利尿を図るものです。

・ 浸透圧利尿薬: マンニトール、イソソルビド、グリセリン など。細胞外液の浸透圧を上げて組織内の水を引き抜き除く作用があります。

・ ナトリウム利尿ペプチド: もともと体内にあり、増加した体液を減らすために分泌されるホルモンです。 心房性ナトリウムペプチド(ANP)であるカルペプチド、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)であるネシリチドが急性心不全や慢性心不全の急性増悪期に使われます。

[設問] 高カロリー輸液が行われるのは次のどれか? 一つ選べ。

イ 脱水症

ロ アルコール性脳症

ハ 胃切除術後

ニ 嘔吐下痢症            正解 (

[設問] 脳圧亢進時使われる利尿薬は次のどれか?

イ フロセミド

ロ 濃グリセリン

ハ ヒドロクロロチアジド

ニ スピロノラクトン       正解 (

[設問] 利尿薬としてより、緑内障やメニエール病などに使われるのはどれか?

イ フロセミド

ロ ヒドロクロロチアジド

ハ アセタゾラミド

ニ マンニトール          正解 (

[設問] 体内で分泌される利尿作用を持つ物質はどれか? 一つ選べ。

イ アゾセミド

ロ BNP

ハ スピロノラクトン

ニ イソソルビド                   設問 () 


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:資格・学び

疾病の成り立ちと回復の促進 第37回(薬剤) [疾病の成り立ちと回復の促進]

b) 高血圧治療薬

高血圧の薬.png

ア)利尿降圧薬(りにょうこうあつやく)

・ Na+と水の尿中への排泄を増すことにより血圧を下げます。

・ 副作用としては、早期では脱力感。長期使用で低カリウム血症、糖尿病、高尿酸血症、高脂血症の悪化があります。

イ)カルシウム拮抗薬(きっこうやく)

・ 末梢血管の抵抗を下げて血圧を下げる。現在最も使われる薬剤の1つです。

ウ)ACE阻害薬(そがいやく)(アンギオテンシン変換酵素阻害薬)とAT1受容体拮抗薬(じゅようたいきっこうやく)

・ レニン(腎から出るホルモン)→アンギオテンシン→アルドステロンのサイクルで血圧が上昇する系になっています。 これを抑制することで、血圧を下げるものがこの群の薬剤です。

・ インスリン感受性の改善効果があるといわれ、使用頻度が高まっています。

・ ACE阻害薬としてはカプトリル、エナラプリル、リシノプリルがあり、AT1受容体拮抗薬としてはロサルタン、バルサルタン、オルメサルタンがあります。

エ)アンギオテンシン変換酵素阻害薬と利尿薬またはCa拮抗薬との合剤

オ)β遮断薬

カ)α1受容体遮断薬

キ)交感神経系抑制薬

c) 心不全治療薬と強心薬

ア)心不全とは?

・ 心不全とは何らかの原因で心臓のポンプ機能が低下して心臓の拍出量が減少した状態をいいます。

イ)強心配糖体(きょうしんはいとうたい)、ジギタリス

・ 代表はジゴキシン、ジギトキシンで、ジギタリスという植物の葉に含まれる物質です。

・ 代謝: ジゴキシンは90%近くがそのまま腎臓から排泄されます。 ジキトキシンは肝臓でグルクロン酸抱合を受け胆汁中に排泄されますが、腸内細菌によってグルクロン酸がはずれ、再び腸から吸収されます(腸肝循環〈ちょうかんじゅんかん〉)。 このためジギトキシンの血中半減期は約7日と長くなります。

ジギトキシン.png

・ 薬理作用: 心筋収縮力の増強、徐脈。

・ 適応: うっ血性心不全、不整脈

・ ジギタリス中毒: 不整脈(2段脈、徐脈)、重篤なものとして多源性心室性期外収縮、心室頻拍、心室細動などへの移行があります。 消化器症状(食欲減退、悪心、下痢など)も伴うことがあります。

ウ)その他の強心薬

・ イソプロテレノール、アドレナリン、ノルアドレナリン、ドパミン、ドブタミンなどのβアゴニストは急性心不全、心原性ショックには使われます。 

・ ホスホジエステラーゼ阻害薬

d)  不整脈治療薬

ア)I群(Na+チャンネル遮断薬)

・ Ia群: キニジン、プロカインアミド など

・ Ib群: リドカイン、メキシレチン など

・ Ic群: プロパフェノン、フレカイニド など

イ)II群(β受容体遮断薬): プロプラノロール など

ウ)III群(K+チャンネル遮断薬): アミオダロン など

エ)IV群(血管選択性のないCa拮抗薬): ベラパミル など

[設問] 末梢血管の抵抗を下げて血圧を降下させる薬剤を一つ選べ。

イ 利尿降圧薬

ロ カルシウム拮抗薬

ハ ACE阻害薬

ニ AT1受容体拮抗薬

ホ β遮断薬                正解 (

[設問] AT1受容体拮抗薬であるものを一つ選べ。

イ ヒドロクロロチアジド

ロ カプトリル

ハ ロサルタン

ニ カルべジロール

ホ アムロジピン       正解 (

[設問] 腸肝循環にのるため、半減期が長くなる強心薬はどれか? 一つ選べ。

イ ジギトキシン

ロ ジゴキシン

ハ インドメタシン

ニ クロルプロマジン         正解 (

[設問] 不整脈治療に使われるNa+チャンネル遮断薬はどれか?

イ プロプラノロール

ロ アミオダロン

ハ べラパミル

ニ プロカインアミド           正解 (


nice!(0)  コメント(7)  トラックバック(0) 
共通テーマ:資格・学び