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疾病の成り立ちと回復の促進 第46回(薬剤) [疾病の成り立ちと回復の促進]

b) 視床下部ホルモンと脳下垂体ホルモン

ア) 視床下部ホルモン

・ ソマトスタチン: 成長ホルモン放出を抑制、甲状腺刺激ホルモン、グルカゴン、インスリン、ガストリンの放出を抑制します。 末端肥大症(まったんひだいしょう)(GH分泌亢進)の治療に使われます。 製剤としては酢酸オクトレオチドが使われています。

イ) 下垂体前葉ホルモン

・ 成長ホルモン(GH): 視床下部ホルモンGRH(成長ホルモン放出ホルモン)により上昇し、ソマトスタチンにより低下します。 下垂体小人症(かすいたいしょうにんしょう)(成長ホルモン分泌不全)の治療に使われます。 製剤としてはヒト成長ホルモン、ソマトロピン(遺伝子組み換え)が使われます。

ウ) 下垂体後葉ホルモン

・ 抗利尿ホルモン(ADH): 視床下部で産生され下垂体後葉で分泌されるホルモンで、尿崩症の治療に使われます。 製剤としては、バゾプレシン、酢酸デスモプレシンが使われます。

ADH.png

・ オキシトシン: 視床下部で産生、下垂体後葉で分泌。陣痛誘発(じんつうゆうはつ)に使われます。

c)副腎皮質ホルモン

ア)副腎皮質刺激ホルモン

・ 副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)は、ACTH受容器に結合し、副腎皮質ホルモンの産生と分泌を高めます。

イ)糖質コルチコイド

・ 糖質コルチコイドは、炎症反応と免疫反応を抑制して、防御作用を果たします。

・ 副作用として、クッシング症候群(易(い)感染、満月様顔貌、野牛肩、耐糖能異常、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)など)がおこります。

グルココルチコイド.png

ウ)鉱質コルチコイド

・ Na+、水の保持、K+の排泄(血圧上昇、浮腫、低カリウム血症)

[設問] 末端肥大症に使われるものはどれか? 一つ選べ。

イ 成長ホルモン

ロ バゾプレッシン

ハ オキシトシン

ニ ソマトスタチン      正解 (

[設問] 糖質コルチコイドの副作用を二つ選べ。

イ 消化性潰瘍   ロ 低カリウム血症   ハ 骨粗鬆症  ニ 末端肥大症  ホ 尿崩症

                 正解 () 


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疾病の成り立ちと回復の促進 45回(薬剤) [疾病の成り立ちと回復の促進]

H)ホルモン剤、内分泌疾患治療薬

a) 糖尿病治療薬

ア) インスリン

インスリンの投与法.png

・ 超速効型: インスリンリスプロは、通常の結晶インスリンの約2倍の速度で血液循環に入ります。作用発現は15分以内で、最大作用時間も短く、作用持続も4,5時間くらいです。 インスリンアスパルト、インスリンリスプロ、インスリングルリジンがあります。

・ 速効型: レギュラーインスリン注射液は、速効型で、高血糖性昏睡での緊急時に点滴にて静脈内に注入します。 作用発現には30分から1時間くらいを要し、作用は5~8時間くらい持続します。

・ 中間型: NPHインスリン(イソフェンインスリン)。以前はインスリンの基礎分泌の補充のために使われていたが、最近では持効型にとって代わられつつあります。

・ 持効溶解型: インスリン・グラルギン、インスリン・デテミルがあり、インスリンの基礎分泌の補充に使われます。 作用の持続はほぼ24時間で、1日1回の皮下注射が行われます。

・ 混合型: 超速効型あるいは速効型と中間型を混ぜたもの。

・ インスリンの副作用: 低血糖、過敏症、神経症状、注射部位の変化

イ) 経口糖尿病薬

・ スルホニル尿素誘導体(SU薬): インスリン分泌を促進します。 トルブタマイド、グリベンクラミド、クロルプロパミド、グリメピリド、グリクラシド など。

・ ビグアナイド系: ブドウ糖を分解する嫌気性解糖系(けんきせいかいとうけい)を促進します。 ブホルミン、メトホルミン。

・ チアゾリジン誘導体: インスリンの感受性を増強します。 ピオグリタゾン など。

・ α-グルコシダーゼ阻害薬: 消化管でのグルコース、フルクトースなどの単糖類(たんとうるい)への分解を抑制します。食後高血糖の改善を目的として投与されます。 アカルボース、ボグリボース、ミグリトール。

・ DPP‐4阻害薬: 血糖が上昇した時にインスリン分泌を高め、グルカゴン分泌を抑える作用を持っています。 シタグリプチン、ビルダグリプチン、アログリプチン、リナグリプチン、テネリグリプチン、アナグリプチンなど。

・ 速効型インスリン分泌促進薬: 速やかにインスリン分泌を高める作用を持っています。 ナテグリニド、ミチグリニドカルシウム水和物、レバグリニド。

経口糖尿病薬.png

ウ) 糖尿病合併症治療薬

・ 末梢神経障害に対して: メキシレチン、エパルレスタット、プレガバリン

・ 腎症に対して: イミダプリル

[設問] インスリンが経口投与できない理由は何か? 一つ選べ。

イ 固形にできないから

ロ 胃腸の蛋白分解酵素で分解されてしまうから

ハ 苦味が強いから

ニ 傾向では吸収されないから              正解 (

[設問] 最大作用時間は2時間ほどで、食直前の投与で食後の血糖上昇を抑えるものは次のどれか?

イ 超速効型インスリン

ロ 速効型インスリン

ハ 中間型インスリン

ニ 混合型インスリン              正解 () 

[設問] 低血糖の初期症状はどれか? 一つ選べ。

イ 冷や汗

ロ けいれん

ハ 意識消失

ニ ろれつが回らない            正解 (

[設問] 血糖上昇に反応してインスリン分泌を促す経口糖尿病薬はどれか? 一つ選べ。

イ スルフォニルウレア薬

ロ ビグアナイド系

ハ α‐グルコシダーゼ阻害薬

ニ DPP‐4阻害薬             正解 (


 


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疾病の成り立ちと回復の促進 第44回(薬剤) [疾病の成り立ちと回復の促進]

f)血液凝固抑制因子

ア) アンチトロンビン(抗トロンビン)

・ 活性化された凝固因子Iia、Xa、IXa、Xia、XIIa因子などの活性を失わせます。

イ) ヘパリン

ウ) ワルファリン

・ ワルファリンはビタミンKに拮抗し、ビタミンKの存在を必要とする複数の凝固因子の生成を抑えます。

ワ―ファリン.png

エ) ヒルジン

・ 抗トロンビン作用を持ちます。

オ) アルガトロバン

・ 脳梗塞急性期の治療に使われます。

カ)ダビガトラン: トロンビンの競合阻害作用を持っています。

キ)エンドキサバン、リバーロキサバン、アビキサバン: トロンビンの活性化を促進する第Xa因子を阻害します。

g)血栓溶解薬

ア) プラスミノーゲンアクチベータ

・ ウロキナーゼ: プラスミノーゲンからプラスミンを生成します。

・ ナサルプラーゼ: ウロキナーゼの不活性型前駆物質

・ 組織プラスミノーゲンアクチベータ(t-PA): 脳梗塞超急性期の治療薬

h) 止血薬

ア) ビタミンK: ワルファリンの拮抗薬

イ) 血漿凝固因子: 第VIII因子(血友病A使う)、第IX因子(血友病Bに使う)、乾燥ヒトフィブリノーゲンがあります。

ウ) トロンビン、組織トロンボプラスチン: 出血性疾患、出血性潰瘍、手術時に使います。 静注は禁忌。

エ) 抗プラスミン薬: イプシロン-アミノカプロン酸、トラネキサム酸など

オ) 外用止血薬: アルギン酸ナトリウム、酸化セルロース、ゼラチン、蜜蝋があります。

カ) セリンプロテアーゼ阻害薬

[設問] ワ―ファリンは何に拮抗して凝固因子の生成を抑えるのか?

イ ビタミン A

ロ ビタミン B1

ハ ビタミン C

ニ ビタミン K                正解 (

[設問] ワ―ファリン服用中の患者で、その効果をみるためにされる検査項目は次のどれか?

イ 出血時間

ロ プロトロンビン時間

ハ 凝固時間

ニ 活性化部分トロンボプラスチン時間               正解 (


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疾病の成り立ちと回復の促進 第43回(薬剤) [疾病の成り立ちと回復の促進]

G)血液および造血器に作用する薬剤

a) 造血因子

造血因子.png

ア)エリスロポイエチン

・ 赤血球産生を刺激する糖蛋白であり、ホルモン、サイトカインです。

・ 腎性貧血や自己血輸血のための採血の際に使われます。

イ)顆粒球コロニー刺激因子

・ 好中球前駆細胞の分化・増殖促進作用を持つ、糖蛋白のサイトカインです。

・ 骨髄移植や癌化学療法や再生不良性貧血に伴う好中球減少症に使われます。

ウ) マクロファージコロニー刺激因子

・ ヒト単球系前駆細胞に作用して、その分化・増殖を促進し、単球とマクロファージからなるコロニーを形成させるサイトカインです。

b)鉄欠乏性貧血治療薬: 吸収されやすいFe2+が硫酸第一鉄の形でフィルムで覆った鉄剤が内服で使われます。

c)巨赤芽球性(きょせきがきゅうせい)貧血治療薬: ビタミンB12の注射剤

d)鉄芽球性(てつがきゅうせい)貧血治療薬: ビタミンB6製剤

e) 抗血小板薬: 脳梗塞治療薬、予防薬として使われます。

ア) アスピリン

・ 血小板のトロンボキサンA2(TXA2)生成抑制を期待して使われます。

イ) クロビドグレル

・ 比較的新しい薬剤です。 血小板の活性化を抑制し、血小板の凝集を抑制します。 また、フィブリノーゲンが結合するのを抑制する作用も持っています。

ウ) チクロピジン

・ 血小板凝集と顆粒放出を抑制します。 血小板減少性紫斑病、無顆粒球症および重篤な肝障害などの副作用がおこることがあります。

エ) ジピリダモール

オ) シロスタゾール

・ 抗血小板作用と血管拡張作用を示します。

カ) プロスタサイクリン誘導体

・ 抗血小板作用と血管拡張作用を示します。

キ) オザグレル

・ 脳梗塞急性期に使われます。

[設問] 腎性貧血に使われるものを二つ選べ。

イ エリスロポイエチン

ロ 顆粒球コロニー刺激因子

ハ マクロファージコロニー刺激因子

ニ 鉄剤

ホ ビタミンB12               正解 () 

[設問] 抗血小板薬を二つ選べ。

イ ワーファリン

ロ アスピリン

ハ シロスタゾール

ニ へパリン

ホ ウロキナーゼ        正解 (


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疾病の成り立ちと回復の促進 第42回(薬剤) [疾病の成り立ちと回復の促進]

イ)下剤

・ 塩類下剤: 硫酸マグネシウム、酸化マグネシウムなど。腸管で吸収されず、腸管内で大量の水分を保持することによって作用を現します。

塩類下剤.png

・ 膨張性(ぼうちょうせい)下剤: カルメロースナトリウム

・ 浸潤性(しんじゅんせい)下剤: バルコゾル。界面活性作用によって糞便中への水分の浸透を容易にすることによって作用を発揮します。

・ 糖類下剤: ラクツロース。

・ 小腸刺激性下剤: ひまし油。 速効性の下剤です。

・ 大腸刺激性下痢: アントラキノン誘導体(センナ、大黄、アロエ)はAuerbach神経叢(しんけいそう)を刺激して大腸運動を亢進させます。

・ 自律神経系下剤: 副交感神経作動薬で腸管の運動を亢進させるものとして、ネオスチグミン、ベタネコールなどがあります。 パントテン酸(ビタミンB5)はムスカリン受容体刺激作用を持つので腸の蠕動運動を亢進させます。

・ 浣腸剤: 直腸を直接刺激して排便をおこさせる。グリセリンや微温湯(びおんとう)が使われます。

[設問] 塩類下剤を一つ選べ。

イ ラクツロース

ロ センナ

ハ 酸化マグネシウム

ニ グリセリン             正解 (

[設問] 小腸刺激性下剤で速効性のあるものを一つ選べ。

イ センナ

ロ ラクツロース

ハ パントテン酸

ニ ひまし油               正解 (

[設問] 浣腸剤として使われるものを一つ選べ。

イ 酸化マグネシウム

ロ パントテン酸

ハ グリセリン

ニ ラクツロース         正解 (


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疾病の成り立ちと回復の促進 第41回(薬剤) [疾病の成り立ちと回復の促進]

F)消化器系に対する薬剤

a) 消化性潰瘍治療薬

ア)消化性潰瘍の病態

・ 攻撃因子と防御因子のバランスのくずれが原因ともいわれます。

・ 治療には攻撃因子を抑え、防御因子を増強させればよいということになります。

消化性潰瘍因子.png

イ)攻撃因子抑制薬

・ H2受容体拮抗薬(H2ブロッカー): 壁細胞のヒスタミンH2受容体に対しヒスタミンと拮抗し、酸分泌を抑制する。シメチジン、ラニチジン、ファモチジン、ロキサチジン、ニザチジンなどがあります。

H2ブロッカー.png

・ プロトンポンプ阻害薬: 壁(へき)細胞のH+分泌の最終段階のプロトンポンプ(H+-K+ATPase)を特異的に阻害します。 オメプラゾール、ランソプラゾールなどがあります。

プロトンポンプ阻害薬.png

・ 選択的ムスカリン受容体拮抗薬: ピレンゼピン。

・ 制酸薬: 炭酸水素ナトリウム(重曹)、Mg、アルミニウム、Ca製剤があります。

ウ)防御因子増強薬

防御因子増強薬.png

・ プロスタグランジン製剤: 低容量で防御因子増強、高容量で胃酸分泌抑制作用を持っています。

・ 粘膜保護・組織修復促進薬: スクラルファートは、潰瘍面に付着して保護します。

・ 抗ドパミン薬: スルピリドは視床下部や交感神経中枢に作用し、胃血流を改善します。

・ 消化管ホルモン: セクレチンは、ガストリンの分泌と酸分泌を抑制します。

b)制吐(せいと)薬と催吐(さいと)薬

ア)制吐薬のいろいろ

・ メトクロプラミド: ドパミンD2受容体遮断作用により、消化管運動の促進と制吐作用を持っています。

・ ドンペリドン: ドパミンD2受容体遮断作用により作用します。

・ 5-HT3受容体拮抗薬: 嘔吐中枢を抑制します。 この群の薬剤には、オンダンセトロン、グラニセトロン などがあります。

イ) 催吐薬: アポモルヒネ、エメチン、食塩水など

c)下痢・便秘治療薬

ア)止痢薬・整腸薬

・ 収斂(しゅうれん)薬: タンニン酸アルブミン、次硝酸(じしょうさん)ビスマスなど。粘膜を覆い、組織蛋白と結合し、分泌、蠕動を抑制します。

・ 吸着薬: 珪酸(けいさん)アルミニウム、薬用炭。有害物質、水を吸着し粘膜を保護します。

・ 抗コリン薬: 腸の蠕動を抑制します。

・ アヘンアルカロイド類とロペラミド: 蠕動を抑制し、消化液の分泌も抑制します。

・ 乳酸菌製剤: 乳酸菌は糖分解により乳酸、酢酸を産生し、病原菌の増殖、異常発酵(いじょうはっこう)、腐敗(ふはい)などを抑制します。

・ ベルベリン: 腸内殺菌作用を持っています。

・ ポリカルボフィルカルシウム: 下痢と便秘の両者を鎮める作用を持ち、過敏性大腸症候群に使われます。

[設問] 消化性潰瘍の因子と言われるものを一つ選べ。

イ 大腸菌  ロ 緑膿菌  ハ ピロリ菌   ニ 黄色ブドウ球菌

                            正解 (

[設問] 消化性潰瘍の薬剤として使われるものを二つ選べ。

イ カルシウム拮抗薬

ロ H2受容体拮抗薬

ハ プロトンポンプ阻害薬

ニ 抗ドパミン薬

ホ 5-HT3受容体拮抗薬       正解 (


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疾病の成り立ちと回復の促進 第40回(薬剤) [疾病の成り立ちと回復の促進]

b) 種々の呼吸器疾患治療薬

ア) 去痰薬

・ 気道分泌を促進し、痰の粘性を低下させて排出を容易にする目的で使われます。

・ ブロムへキシン、システイン誘導体、蛋白分解酵素(トリプシン、キモトリプシン)、多糖類分解酵素(リゾチーム)などがあります。

イ)呼吸促進薬

・ 呼吸抑制時に使います。

・ ドキサプラム、ジモルフォラミンなど

呼吸促進薬.png

ウ)鎮咳(ちんがい)薬

・ 対症療法として使われます。

・ 麻薬性鎮咳薬としてコデイン、ジヒドロコデイン、非麻薬性鎮咳薬としてデキストロメトルファン、ノスカピンなどがあります。

エ)肺サーファクタント

・ 未熟児などの呼吸窮迫(きゅうはく)症候群(IRSD)の特効薬として人工サーファクタントが使われます(気管内注入)。

オ)ガス

・ 酸素は低酸素血症の予防と治療に使われます。

・ 二酸化炭素は強力な呼吸興奮作用を持つため、呼吸の回数と深度を増加させるために使われます。

・ 一酸化窒素は強力な血管拡張薬であり、肺高血圧症などに使われることがあります。

[設問] 呼吸促進剤を一つ選べ。

イ ブロムヘキシン

ロ ドキサプラム

ハ コデイン

ニ リゾチーム        正解 (

[設問] 未熟児の呼吸窮迫症候群の特効薬として使われるのはどれか?

イ ドキサプラム

ロ ノスカピン

ハ サーファクタント

ニ 蛋白分解酵素          正解 (

[設問] 血管拡張薬として肺高血圧症に使われることがあるのはどれか?

イ サーファクタント

ロ 二酸化炭素

ハ 酸素

ニ 一酸化窒素            正解 (
 


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疾病の成り立ちと回復の促進 第39回(薬剤) [疾病の成り立ちと回復の促進]

E)呼吸器系に対する薬剤

a) 気管支喘息治療薬

ア)気管支喘息の病態

・ 気管支喘息は、アレルギー反応による可逆的な気道閉塞と遅延性炎症(ちえんせいえんしょう)が生じる病態です。

・ 好酸球主体の慢性気管支炎がみられます。

喘息.png

・ 治療に使われるのは気管支拡張薬とステロイド薬です。

イ) メチルキサンチン薬

・ ホスホジエステラーゼの阻害作用により効果を現します。結果として平滑筋の弛緩がおこり、気管支拡張がみられることになります。

・ この系統の薬剤としては、テオフィリン、アミノフィリンなどがあります。

ウ)β2受容体作動薬

・ 気管支平滑筋のβ2受容体を刺激し、平滑筋を弛緩させます。

・ 発作時にも慢性期の管理にも使われます。

・ 薬剤としては、サルブタモール、プロカテロール、サルメテモール、ホルモテロールなどがあります。

エ)吸入抗コリン薬

・ 喘息に、副交感神経系の亢進による気管支平滑筋の収縮と粘液過剰分泌が関係していることがあるために、使われることがあります。

・ 薬剤としては、臭化イプラトロピウム、臭化フルトロピウム、臭化オキシトロピウムなどの吸入薬があります。

オ)コルチコステロイド薬

・ 炎症、浮腫を改善し、アレルギー反応を抑制します。

・ べクロメタゾン、フルチカゾン、ブデソニドは吸入薬としてよく使われます(吸入ステロイド薬)。

カ) 抗アレルギー薬

[設問] 気管支喘息でみられる気道の炎症は、次のどれによるものか? 一つ選べ。

イ 好中球  ロ 好塩基球   ハ 好酸球  ニ リンパ球       

                                        正解 (

[設問] 気管支喘息の治療に使われるのは気管支拡張薬と何か? 一つ選べ。

イ 抗生物質   ロ ステロイド   ハ 去痰薬   ニ 鎮痙薬

                                        正解 (

[設問] 気管支喘息で使われる薬剤を二つ選べ。

イ ジゴキシン   ロ フルチカゾン   ハ プロカテロール  ニ ニフェジピン   ホ タムスロシン

                                    正解 () 


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疾病の成り立ちと回復の促進 第38回(薬剤) [疾病の成り立ちと回復の促進]

D)水・電解質、利尿薬

a) 輸液

ア)栄養輸液薬

・ 糖質輸液薬: ブドウ糖が最も使われます。 等張液は5%ですが、10%、20%、50%液があります。 果糖、キシリトール、ソルビトールなどは糖尿病の患者の場合に利用されます。

・ アミノ酸輸液薬: 複数のアミノ酸を配合した総合アミノ酸液が使われます。

・ 脂肪乳剤: エネルギー源と必須脂肪酸の供給源として利用されます。

・ 高カロリー輸液: 経口摂取が長期間できない患者で、高カロリー輸液製剤が使われ、大静脈内に持続注入することができます。

高カロリー輸液.png

イ)血液・血漿増量剤

・ 輸血: 新鮮血輸血(供血者から採血してすぐに輸血)、保存血輸血(予め採血し冷蔵後輸血)、成分輸血(必要な成分だけ輸血)、自己血輸血(予め採血した自分の血液を必要時に輸血)

・ 血液代用液・血漿増量剤: 血液が間に合わないときに循環血液量を補う目的で代用液が使われます。 それには、デキストラン、ヒドロキシエチルデンプン、ゼラチン製剤、アルブミンなどがあります。

・ 腹膜灌流液と人工腎臓透析液: 腎不全患者で腹膜灌流や透析を行う時に使われます。 細胞外液とほぼ同じ組成となっています。

b) 利尿薬

ア)概念

・ 腎の尿細管でのNa+、水の再吸収を抑制して尿としての排泄を増やす薬物を利尿薬(りにょうやく)といいます。 浮腫(ふしゅ)など細胞外液(さいぼうがいえき)に貯留したNa+、水を排泄させる目的で使われます。 高血圧、心不全の治療、ショック腎の予防にも使われます。

利尿薬.png

イ)利尿薬のいろいろ

・ ループ利尿薬: フロセミド、アゾセミド などがあります。 肺水腫、心不全、腎不全による浮腫、肝硬変での浮腫などすべての浮腫に使われます。

・ チアジド系利尿薬: クロロチアジド、ヒドロクロロチアジドなどがあります。 Ca2+の排泄は促進しないので腎性高Ca血症をおこすことがあります。

・ 炭酸脱水素酵素阻害薬: アセタゾラミドがある。利尿薬としてはあまり使われず、緑内障の治療に使われます。

・ カリウム保持性利尿薬: スピロノラクトン、エプレレノンがあります。 水、Na+の尿細管での再吸収を抑制するアルドステロンに拮抗して利尿を図るものです。

・ 浸透圧利尿薬: マンニトール、イソソルビド、グリセリン など。細胞外液の浸透圧を上げて組織内の水を引き抜き除く作用があります。

・ ナトリウム利尿ペプチド: もともと体内にあり、増加した体液を減らすために分泌されるホルモンです。 心房性ナトリウムペプチド(ANP)であるカルペプチド、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)であるネシリチドが急性心不全や慢性心不全の急性増悪期に使われます。

[設問] 高カロリー輸液が行われるのは次のどれか? 一つ選べ。

イ 脱水症

ロ アルコール性脳症

ハ 胃切除術後

ニ 嘔吐下痢症            正解 (

[設問] 脳圧亢進時使われる利尿薬は次のどれか?

イ フロセミド

ロ 濃グリセリン

ハ ヒドロクロロチアジド

ニ スピロノラクトン       正解 (

[設問] 利尿薬としてより、緑内障やメニエール病などに使われるのはどれか?

イ フロセミド

ロ ヒドロクロロチアジド

ハ アセタゾラミド

ニ マンニトール          正解 (

[設問] 体内で分泌される利尿作用を持つ物質はどれか? 一つ選べ。

イ アゾセミド

ロ BNP

ハ スピロノラクトン

ニ イソソルビド                   設問 () 


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疾病の成り立ちと回復の促進 第37回(薬剤) [疾病の成り立ちと回復の促進]

b) 高血圧治療薬

高血圧の薬.png

ア)利尿降圧薬(りにょうこうあつやく)

・ Na+と水の尿中への排泄を増すことにより血圧を下げます。

・ 副作用としては、早期では脱力感。長期使用で低カリウム血症、糖尿病、高尿酸血症、高脂血症の悪化があります。

イ)カルシウム拮抗薬(きっこうやく)

・ 末梢血管の抵抗を下げて血圧を下げる。現在最も使われる薬剤の1つです。

ウ)ACE阻害薬(そがいやく)(アンギオテンシン変換酵素阻害薬)とAT1受容体拮抗薬(じゅようたいきっこうやく)

・ レニン(腎から出るホルモン)→アンギオテンシン→アルドステロンのサイクルで血圧が上昇する系になっています。 これを抑制することで、血圧を下げるものがこの群の薬剤です。

・ インスリン感受性の改善効果があるといわれ、使用頻度が高まっています。

・ ACE阻害薬としてはカプトリル、エナラプリル、リシノプリルがあり、AT1受容体拮抗薬としてはロサルタン、バルサルタン、オルメサルタンがあります。

エ)アンギオテンシン変換酵素阻害薬と利尿薬またはCa拮抗薬との合剤

オ)β遮断薬

カ)α1受容体遮断薬

キ)交感神経系抑制薬

c) 心不全治療薬と強心薬

ア)心不全とは?

・ 心不全とは何らかの原因で心臓のポンプ機能が低下して心臓の拍出量が減少した状態をいいます。

イ)強心配糖体(きょうしんはいとうたい)、ジギタリス

・ 代表はジゴキシン、ジギトキシンで、ジギタリスという植物の葉に含まれる物質です。

・ 代謝: ジゴキシンは90%近くがそのまま腎臓から排泄されます。 ジキトキシンは肝臓でグルクロン酸抱合を受け胆汁中に排泄されますが、腸内細菌によってグルクロン酸がはずれ、再び腸から吸収されます(腸肝循環〈ちょうかんじゅんかん〉)。 このためジギトキシンの血中半減期は約7日と長くなります。

ジギトキシン.png

・ 薬理作用: 心筋収縮力の増強、徐脈。

・ 適応: うっ血性心不全、不整脈

・ ジギタリス中毒: 不整脈(2段脈、徐脈)、重篤なものとして多源性心室性期外収縮、心室頻拍、心室細動などへの移行があります。 消化器症状(食欲減退、悪心、下痢など)も伴うことがあります。

ウ)その他の強心薬

・ イソプロテレノール、アドレナリン、ノルアドレナリン、ドパミン、ドブタミンなどのβアゴニストは急性心不全、心原性ショックには使われます。 

・ ホスホジエステラーゼ阻害薬

d)  不整脈治療薬

ア)I群(Na+チャンネル遮断薬)

・ Ia群: キニジン、プロカインアミド など

・ Ib群: リドカイン、メキシレチン など

・ Ic群: プロパフェノン、フレカイニド など

イ)II群(β受容体遮断薬): プロプラノロール など

ウ)III群(K+チャンネル遮断薬): アミオダロン など

エ)IV群(血管選択性のないCa拮抗薬): ベラパミル など

[設問] 末梢血管の抵抗を下げて血圧を降下させる薬剤を一つ選べ。

イ 利尿降圧薬

ロ カルシウム拮抗薬

ハ ACE阻害薬

ニ AT1受容体拮抗薬

ホ β遮断薬                正解 (

[設問] AT1受容体拮抗薬であるものを一つ選べ。

イ ヒドロクロロチアジド

ロ カプトリル

ハ ロサルタン

ニ カルべジロール

ホ アムロジピン       正解 (

[設問] 腸肝循環にのるため、半減期が長くなる強心薬はどれか? 一つ選べ。

イ ジギトキシン

ロ ジゴキシン

ハ インドメタシン

ニ クロルプロマジン         正解 (

[設問] 不整脈治療に使われるNa+チャンネル遮断薬はどれか?

イ プロプラノロール

ロ アミオダロン

ハ べラパミル

ニ プロカインアミド           正解 (


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