人体の構造と機能 第69回(内分泌系の構造と機能) [人体の構造と機能]
2)内分泌器官の構造と機能
(1)視床下部・下垂体
《構造》
A)視床下部
・視床下部は最も古い脳で本能の脳とも言われます。
・視床下部の室傍核(しつぼうかく)と視索上核(しさくじょうかく)から下垂体に至る神経線維によって視床下部‐下垂体系が成り立っています。
B)下垂体
・下垂体は、小指大の大きさで、その重さは約6g程度です。
・下垂体は、前葉(ぜんよう)、中間葉(ちゅうかんよう)、後葉(こうよう)からなります。
・前葉と中間葉は、腺性下垂体(せんせいかすいたい)と呼ばれ、後葉は神経下垂体と呼ばれ、発生学的には起源が違っています。腺性下垂体は口腔外胚葉、神経下垂体は神経外胚葉に由来します。つまり、両者は癒合して一つの下垂体ができているのです。ですから、後葉は神経組織である視床下部と発生源が同じなので、後葉と視床下部は神経線維の連絡路を持っているのです。
・腺性下垂体はには、色素嫌性細胞(主細胞、γ細胞とも呼ばれます)、酸好性細胞(α細胞とも呼ばれます)、塩基好性細胞(β細胞)などがあります。
・神経下垂体には視床下部からの神経軸索の末端が到達しています。
《機能と生理》
・視床下部から下垂体前葉に作用するホルモン(因子)は、上下垂体動脈→下垂体門脈(下垂体門脈系)によって下垂体前葉に運ばれて作用します。
補)下垂体後葉へは下下垂体動脈が環流しています。
・視床下部でつくられ下垂体後葉で分泌されるホルモン(因子)は、神経軸索を通して運ばれ、下垂体後葉の神経終末で分泌されます。
・視床下部でつくられ、下垂体後葉から分泌されるホルモンには、抗利尿ホルモン(バゾプレッシン)、オキシトシンがあります。
[設問] 視床下部でつくられ、下垂体後葉で分泌されるホルモンは次のうちどれか? 二つ選べ。
イ 甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン
ロ 成長ホルモン抑制ホルモン
ハ オキシトシン
ニ バゾプレッシン
ホ 間質細胞刺激ホルモン 正解 (ハ、ニ)
・視床下部から前葉に送られるホルモンには、成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)、プロラクチン放出ホルモン(PRH)、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LH‐RH)、ACTH放出ホルモン(CRH)、成長ホルモン抑制ホルモン(GIF)、プロラクチン抑制ホルモン(PIF)があります。
・下垂体前葉のβ細胞からは、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、性腺刺激ホルモン(卵胞刺激ホルモンFSH、黄体形成ホルモンLHまたは精子形成ホルモン、間質細胞刺激ホルモン)が分泌されています。α細胞からは、成長ホルモン(GH)と乳腺刺激ホルモン(PRH)を産生・分泌しています。γ細胞の一部は、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)を産生・分泌します。
[設問] 腺性下垂体の酸好性細胞(α細胞)から産生・分泌されるホルモンは次のうちどれか? 二つ選べ。
イ 甲状腺刺激ホルモン(TSH)
ロ 副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)
ハ 卵胞刺激ホルモン(FSH)
ニ 成長ホルモン(GH)
ホ 乳腺刺激ホルモン(PRH)
正解 (ニ、ホ)
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