成人看護学(88)(性機能障害を持つ患者の看護) [成人看護学]
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5)勃起障害に対する薬物療法時の看護
・ バイアグラなどのED治療薬の使用に当たっては、日本性機能学会や日本循環器学会からガイドラインが出ているので、禁忌項目に該当する場合は、医師に相談するよう援助します。
・ バイアグラは、性交の1時間前に空腹時に服用することを説明します。 レビトラとシアリスは食事の影響は受けませんが、やはり性交1時間前に服用する必要があります。 最近、アバナフィルという薬剤も登場しています。
・ 持続性勃起が4時間以上続く時は、機能的な勃起不全になるため、その際は、すぐに医師に連絡するよう説明する。
6)脳卒中患者の性生活指導
・ 脳卒中後の性生活については、患者の無理のない範囲であれば問題ないことを説明、指導します。
・ 運動麻痺がある患者の場合、パートナーの理解と協力を得て、体位を工夫によって可能となることを指導します。
7)心筋梗塞患者の性生活指導
・ 心筋梗塞でも、退院前に運動負荷試験を実施して問題がなければ、性生活は可能であることを指導します。
・ 飲酒、過食、過労時の性行為は、心負荷が重くなるので避けるように指導します。
8)脊髄損傷患者の性生活指導
・ 勃起障害の治療には、バイアグラなどのED治療薬、陰茎へのプロスタグランジンE1の注射、プロステーシス移植手術があります。
・ 射精障害には、電気刺激法、振動刺激法、クモ膜下ワゴスチグミン注入法などが行われています。
・ 性交の前には、排尿し膀胱を空にし、排便もすませておくようにします。
・ 女性で膣の潤いが低下している場合は、潤滑剤を使うことを勧めます。
・ パートナーと性生活について率直に話し合うことが大事であることを説明します。
[設問] ED治療薬の禁忌は次のどれか? 一つ選べ。
イ 抗生物質服用患者
ロ ニトログリセリン服用患者
ハ アスピリン服用患者
ニ 高脂血症治療薬服用患者 正解 (ロ)
成人看護学(87)(性機能障害を持つ患者の看護) [成人看護学]
2)内診・性機能検査時の看護
・ 検査時は、目的と方法を十分説明し、プライバシーを十分保護して不安感や羞恥心を緩和します。
・ 内診の前には、下腹部の緊張をとるために排尿を促し、膀胱を空にしてもらいます。
・ 内診台に上がる時から声をかけ緊張を緩和します。
・ 内診台では、安全に截石位がとれるように誘導します。
・ 患者の羞恥心に配慮し、露出部分は最小限にし、腹部や下肢には掛け物をして保温します。
・ 内診中は口呼吸を促し腹部の緊張をとるようにします。
・ 膣内にガーゼなどが挿入された場合は、除去する時間と方法を指導します。
・ 検査によって入浴や性交を禁止する場合は、その旨を説明します。
3)子宮摘出術・乳房切除術時の精神的支援と性生活指導
4)精巣(睾丸)・前立腺摘出術時の精神的支援と性生活指導
・ 精巣・前立腺摘出術の場合、勃起に関与する神経・血管の損傷をきたし術後性機能障害を招くことが多くなります。
・ 配偶者に対しては、手術により性機能を喪失する可能性と、その結果患者が男性としての自信や威厳まで消失する可能性があることを説明し、それを支えるのは配偶者であることを話して協力を依頼します。
[設問] 婦人科の内診時の看護について、正しいものを一つ選べ。
イ 内診の前には、排尿を促し、膀胱を空にしてもらう。
ロ 内診台では、安全に側臥位がとれるように誘導する。
ハ 内診中は、口呼吸は避けてもらい、腹部の緊張をとる。
ニ 内診時には、腹部や下肢に掛け物はしない。
正解 (イ)
成人看護学(86)(性機能障害を持つ患者の看護) [成人看護学]
21.性機能障害をもつ患者の看護
1)観察とアセスメント
(1)生殖器、ホルモン分泌、性行動の正常性
・ 性反応周期(sexual reponse cycle)
・ 女性の性欲に関与するホルモンはアンドロゲンであり、副腎と卵巣でつくられます。
・ エストロゲンは、膣の潤いと伸縮性に影響します。
・ テストステロンは男性の2次性徴(声変わり、ひげの発毛)や勃起に関与します。
(2)性行動・性機能障害の原因と程度
(3)心身・性生活・日常生活への影響
・ 性機能障害は、性行為への自信を喪失し、自尊心を低下させます。
・ パートナーに知られる不安感や羞恥心から、正常な性生活ができません。
・ パートナーへの愛情や信頼関係への不信感が生じ、良好な人間関係が障害されることがあります。
・ 発達課題である生殖性を達成できないことになります。
・ エストロゲンが低下した場合、更年期障害がおこり、うつ状態になりやすくなります。
[設問] 女性の性欲に関与するのはどのホルモンか? 一つ選べ。
イ アンドロゲン
ロ エストロゲン
ハ プロゲステロン
ニ アドレナリン 正解 (イ)
[設問] 女性の更年期障害は主にどのホルモンの低下によるものか?
イ アンドロゲン
ロ エストロゲン
ハ プロゲステロン
ニ アルドステロン 正解 (ロ)
成人看護学(85)(排泄機能障害を持つ患者の看護) [成人看護学]
(3)低位前方切除術後の合併症予防と生活指導
(4)脳卒中による排便障害への対応
・ 運動不足から便秘になりやすく、便秘は怒責による血圧上昇をきたすので予防が必要です。
・ 水分摂取や腹部マッサージ、腰背部の温罨法により排便を促すようにします。
・ 決まった時間に排便する習慣をつけてもらいます。
・ 医師と相談の上、緩下剤を使いますが、浣腸の場合頭蓋内圧を上昇させることがあるので、使用する場合は医師の指示に従います。
(5)脊髄損傷による排便障害への対応
・ 肛門マッサージや腹部マッサージ、腹圧を高める姿勢、砂嚢による腹部圧迫など排便を誘発する方法を指導します。
・ また、規則正しい食事、便通によい食品摂取、水分摂取を指導します。
・ 日中は車椅子に乗ることやベッドでの体位交換、関節の可動域運動、腹筋運動などを行ってもらい、できるだけ身体を動かすようにしてもらいます。
・ 排便障害が上記の方法で解消しない場合は、坐薬、緩下剤の使用、浣腸、摘便などでの対応も考えます。
・ そして、生活リズムに応じた排便時間を設定して、排便を試みていきます。
(6)イレウスの予防と改善
(A)保存的治療を受ける患者への援助
(B)手術を受ける患者への援助
・ 術後は、減圧を積極的に行い、腹痛、悪心・嘔吐、腹部膨満感、排ガス状態、排液量、性状を観察します。
・ 腸蠕動が促進されるように早期離床をすすめます。 その際、イレウスチューブや点滴ルートなどをまとめて歩行しやすくしておくようにします。
・ 腸蠕動亢進薬(ネオスチグミン、パントテン酸製剤)が投与された場合は、腸蠕動音、腹部膨満感、排ガスの有無について観察します。
・ 食事摂取が可能になれば、流動食から開始し、徐々に固形物を摂取できるようにします。
・ 再発予防のため、消化されない食品(昆布、きのこ類など)は避けるようにします。
[設問] 低位前方切除術に関して正しい記述を一つ選べ。
イ 横行結腸の術式である。
ロ ストーマ造設が必要となる。
ハ 便の貯留機能が低下し、便意がなくなることが多い。
ニ 頻便のために肛門痛や肛門周囲皮膚炎がおこりやすくなる。
正解 (ニ)
成人看護学(84)(排泄機能障害を持つ患者の看護) [成人看護学]
4)排便機能障害への主な看護
(1)大腸ファイバースコープ、直腸診時の援助
・ 直腸診では、患者が截石位または左側にシムス位がとれるように援助します。
・ 直腸診では、患者に排便時と同様に腹圧をかけてもらうと検者の指が挿入しやすくなります。
・ 直腸診では、挿入した指が直腸壁に圧をかけ便意がおこることがあることを説明しておきます。
(2)人工肛門造設術後の合併症予防と生活指導
(A)人工肛門造設術後の合併症予防と生活指導
・ ストーマサイトマーキングは立位で行います。
・ ストーマの異常(出血、壊死、脱落、ヘルニア)を早期に発見するために、ストーマの色、浮腫、出血、脱出、疼痛を観察します。
・ ストーマ周囲の皮膚では、発赤、びらん、掻痒感を観察し、異常がみられれば、皮膚保護剤を変更してみます。
・ 手術後は早期離床を行い、肺合併症、術後イレウス、縫合不全を予防します。
・ 骨盤腔内の手術操作で、神経因性膀胱を生じた場合は、間欠的自己導尿を指導します。
・ 骨盤腔内の手術操作で、男性は勃起障害、射精障害が生じ、女性は膣の狭小化、会陰部痛や性交痛が生じることがあります。 そのため、不安や苦痛が解決できるように援助する必要があります。
・ 定期的な排便を希望する場合は、浣腸排便法を指導します。
・ 下痢をもたらす食品、ガスや悪臭を発生しやすい食品は避けるように指導します。
・ 衣類は、ストーマを締め付けるものでなければ制限はありません。 ストーマがベルトライン上にある時は、サスペンダーを使用します。
・ 銭湯や温泉に行くときは、入浴用の小さなパウチの装着が有用です。
・ 腹圧が極度に上昇する運動や作業は避けてもらいます。
・ 性生活では、性交の前にパウチを空にしておきます。
・ 永久ストーマ造設の場合、障害年金と身体障害者福祉法の適応がありますので、身体障害者手帳やストーマ用装具の交付が受けられることを説明しておきます。
[設問] 人工肛門造設術の際のストーマサイトマーキングを行う体位はどれか?
イ 左側臥位 ロ 仰臥位 ハ 立位 ニ シムス位
正解 (ハ)
[設問] 骨盤腔内の手術操作で起きやすい合併症は次のどれか? 二つ選べ。
イ 尿路感染症 ロ イレウス ハ 勃起障害 ニ 射精障害 ホ 褥瘡
正解 (ハ、ニ)
成人看護学(83)(排泄機能障害を持つ患者の看護) [成人看護学]
(3)機能障害の程度と原因
・ 機能障害には便秘と下痢があります。そして、便秘には機能性便秘と器質性便秘があり、下痢には急性下痢と慢性下痢があります。 急性下痢は、感染性下痢と非感染性下痢(中毒性下痢など)に分けられます。
(4)心身・日常生活への影響とコントロール
・ 下痢は塩分と水分の欠乏を招き、脱水を誘発します。
・ 下痢による不快感は、空腹中枢を抑制し、食欲低下による低栄養状態をひきおこすこともあります。
・ 下痢便には消化液や塩類が含まれていて、下痢が続くと、肛門部や肛門周囲の皮膚びらんがおきやすくなります。
・ 下痢の時は、便意が頻回となり、睡眠不足につながり、昼間の集中力や注意力の低下の原因となります。
・ 下痢の時の食事は、消化のよいものにし、食物繊維の多いもの、冷たい飲食物、生ものは避けるようにします。
・ 腹部への寒冷刺激を避けるため、腹巻きを着用し、クーラーの冷気が直接身体に当たらないようにします。
・ 下痢の際は、脱水予防のため、塩分と糖分が含まれている飲料を摂取するようにします。
・ 肛門部の洗浄、坐浴を行い、油性の軟膏を使ってびらんを予防します。
・ また、下痢の原因に応じた止瀉薬を使用します。
[設問] 下痢の患者の食事に適切なものを一つ選べ。
イ 消化のよいもの
ロ 食物繊維の多いもの
ハ 冷たく冷やしたもの
ニ 生もの 正解 (イ)
成人看護学(82)(排泄機能障害を持つ患者の看護) [成人看護学]
3)排便障害の観察とアセスメント
(1)排便パターン・動作・行動、便性状の観察
(2)正常な排便状態と便の性状
・ 排便は、1日に1〜2回、胃・結腸反射が生じやすい朝食後に多くみられます。
・ 排便時間は、便意を感じ、排便動作をとってから5〜10分以内となります。
・ 便の色が黄褐色なのはウロビリノーゲンを含むためです。
・ 臭いは、インドール、スカトール、硫化水素によるものですが、食事内容や疾病によって異なってきます。
・ 便の量は1日約100〜250g前後で、軟らかく有形で、粘液・血液・膿の付着や混入はありません。
・ 排便後、残便感がみられることはありません。
[設問] 便の色は何によるものか? 下記より一つ選べ。
イ インドール ロ ビリルビン ハ ウロビリノーゲン ニ アンモニア
正解 (ハ)
[設問] 便臭は次の何によるものか? 二つ選べ。
イ インドール ロ スクロース ハ スカトール ニ ウロビリン ホ ペプチド
正解 (イ、ハ)
成人看護学(81)(排泄機能障害を持つ患者の看護) [成人看護学]
(5)脊髄損傷による排尿障害への訓練と援助
(A)脊髄損傷による膀胱機能への影響
・ 脊髄損傷直後の急性期は膀胱の反射が消失するため、膀胱は弛緩したままで排尿不能となります。
・ 排尿障害は損傷された部位で相違であり、S2からS4より上では、自動性膀胱、それより以下では自律性膀胱となります。
(B)排尿障害への援助
・ 急性期には、恥骨上穿刺による膀胱瘻の造設または尿道カテーテル留置による排尿管理となるため、無菌操作、挿入部の清潔保持、十分な尿量確保などによる感染予防が重要です。
・ 自動性膀胱の場合、下腹部周囲や大腿を刺激して排尿を促し、自律性膀胱の場合、用手的排尿を促します。
・ 尿道カテーテルを長期に留置すると、感染の危険が高くなりますので、早期に間欠的導尿法に移行します。
・ 排尿状態を観察するために、患者に水分摂取量と排尿量を記録してもらいます。
・ 尿道周囲組織の強化のため、膣・直腸を収縮・弛緩させる訓練を行います。
・ 腎・尿路系の結石を予防するために多量の水分を摂取し、1日2000mL以上の尿量が確保されるように指導します。
(6)腹圧性尿失禁の運動訓練と生活指導
・ 腹圧性尿失禁は、経産婦や中高年の肥満女性におこりやすい失禁の型です。
・ 腹圧性尿失禁の原因は、骨盤底筋群の筋力低下であるとされます。
・ 腹圧性尿失禁は、咳・くしゃみ・体動による腹圧が上昇したときにおこります。
・ 効果的な運動訓練には、骨盤底筋訓練があります。 毎日数回肛門と膣を数秒間縮めたり緩めたりすることを繰り返し行います。
・ 便秘や肥満は、尿失禁を悪化させるので、改善するよう指導します。
(7)間欠的自己導尿法
(A)間欠的自己導尿法とは
・ 間欠的自己導尿とは、カテーテルを使って、患者自ら膀胱に貯留している尿を定期的に排出する方法です。
・ これを行うには、患者が自分の疾患を受け入れ、導尿の目的を理解していることが必要です。
・ 間欠的自己導尿の長所は、自然排尿の可能性の拡大、社会生活の拡大、2次的な皮膚障害の予防ができることです。
(B)間欠的自己導尿法の実際
・ 導尿する前には、必ず流水と石鹸で手を洗います。
・ カテーテル挿入時には、潤滑剤を使用します。
・ 男性の場合は、ペニスの先端を消毒して上向きにさせ、カテーテルを挿入します。
・ 女性では、小陰唇を広げ、尿道口を確認してからカテーテルを挿入します。
・ カテーテル挿入後は、尿が出なくなるまで、下腹部を圧迫します。
・ 自己導尿セットを使うときは、導尿終了後カテーテルを消毒薬に浸しておきます。
・ カテーテルを浸した消毒薬は適宜交換し、カテーテルは1、2週間に1度ガス滅菌します。
[設問] 胸髄損傷でおこる排尿障害は次のどれか?
イ 自動性膀胱
ロ 自律性膀胱
ハ 自発性膀胱
ニ 自主性膀胱 正解 (イ)
[設問] 腎・尿路系の結石を予防するためには、一日尿量はどれくらいがよいか?
イ 1000mL前後
ロ 1200mL前後
ハ 1500mL前後
ニ 2000mL以上 正解 (ニ)
[設問] 腹圧性尿失禁がおこりやすいのは次のどれか?
イ 幼児
ロ 思春期の肥満女性
ハ 20歳代の痩せた女性
ニ 経産婦や中高年の肥満女性 正解 (ニ)
成人看護学(80)(排泄機能障害を持つ患者の看護) [成人看護学]
(3)膀胱留置カテーテル時の管理
・ 尿失禁患者に対しては、カテーテル留置で汚染を防ぐことができます。
・ 手術のため、術中・術後の安静時や尿量の観察が必要な場合や、下部尿路の手術後の創部の安静が必要な場合にカテーテル留置が行われます。
・ カテーテルは無菌操作で挿入し、固定水用ルートから滅菌蒸留水を注入して先端を膨らませます。
・ 経時的に尿流出状態を観察し、疼痛、屈曲、尿道口からの尿漏れの有無、固定状態を観察します。
・ 尿の逆流を防ぐため、蓄尿バッグは常に膀胱より低い場所に設置します。
・ 水分制限のない場合は、飲水を促し、尿量が1500mL以上維持できるようにします。
(4)脳卒中による排尿障害への訓練と援助
・ 脳卒中による排尿障害の急性期では、弛緩性膀胱により排尿筋の収縮力低下し尿閉をきたしやすくなります。
・ 脳卒中による排尿障害の回復期では、無抑制膀胱により尿意を我慢できなくなることが多くなります。
・ 認知・記憶障害による失禁の場合の援助は、「排尿リズムを把握してトイレに誘導する」 「トイレの入り口やドアに目印をつけて場所を示す」 「排泄方法がわからない場合には、その都度手を添えて動作を説明する」 などとなります。
・ 失語症がある場合、排尿のサインを決めておくか、患者の排尿のサインを把握し、トイレに誘導します。
[設問] 膀胱留置カテーテル時の畜尿バッグの位置はどれが正しいか?
イ 膀胱より高くする。
ロ 膀胱と同じ高さにする。
ハ 膀胱より低くする。
ニ どの位置でもかまわない。 正解 (ハ)
[設問] 膀胱留置カテーテルの場合、水分制限がない患者では、尿量はどれくらいにするか?
イ 1000mL未満
ロ 1000~1200mL
ハ 1300~1500mL
ニ 1500mL以上 正解 (ニ)
成人看護学(79)(排泄機能障害を持つ患者の看護) [成人看護学]
2)排尿機能障害への主な看護
(1)尿流量動態検査、膀胱鏡検査時の看護
・ 患者の緊張をほぐし、羞恥心に配慮することが重要です。
・ 検査時は、無菌操作に努めます。
・ 硬性鏡が使用されることが多く、患者は下半身を脱衣し、検査台で截石位をとります。
・ 膀胱鏡検査後には、出血に注意します。
・ 膀胱鏡検査後は数日間、膀胱刺激症状(下腹部不快感、排尿痛、残尿感)が残ることを説明し、水分を十分にとり、尿量を増やすようにします。
(2)尿路変更術後の合併症予防と生活指導(尿路ストーマ造設術患者中心に)
・ 腎臓で生成された尿を、生理的な経路を通らずに、病変部より上流で体外に誘導する方法を尿路変更といいます。 皮膚瘻造設術や回腸導管などがあります。
・ 膀胱全摘術+回腸導管術を受けた患者では、循環不全や栄養状態の低下があると、術後早期にストーマ壊死をおこすことがあるので、ストーマの色や大きさの変化に注意します。
・ ストーマ周囲の皮膚の状態に合ったパウチを選択し、皮膚障害(びらん、発赤)や尿漏れをおこさないようにします。
・ 患者がストーマ造設によるボデイイメージの変化を無理なく受容できるように、十分な時間をかけながらストーマケアの自立を促します。
・ 退院後は、イレウス予防のため排便のコントロールが重要です。 また、結石や尿路感染予防のため、水分摂取を指導します。
・ 尿路ストーマ造設術を受けた患者は、身体障害者福祉法の適用、障害年金の受給が認められます。
[設問] 膀胱鏡検査で患者がとる体位はどれか?
イ 載石位 ロ 仰臥位 ハ 腹臥位 ニ 側臥位
正解 (イ)
[設問] 尿管を十数センチの腸管セグメントに吻合し、腸管を介して腹壁にストーマを作成し、安定した尿路ストーマが形成されるのは次のどれか?
イ 腎瘻 ロ 尿管皮膚瘻 ハ 膀胱瘻 ニ 回腸導管
正解 (ニ)