SSブログ
小児看護学 ブログトップ
前の10件 | -

小児看護学(45)(さまざまな状況にある子供と家族への看護) [小児看護学]

 小児看護学を(1)から読みたい方はこちらからどうぞ ⇒ http://shiratorik-kango.blog.so-net.ne.jp/2013-08-30

(8)酸素療法

・ 明らかなチアノーゼや呼吸困難を伴う時に行われます。

・ 小児では、ウイルソン・ミキテイ症候群や慢性呼吸不全の症状のある子供たちが在宅酸素療法を受ける例が増えてきています。

・ 酸素療法における濃度や流量は、動脈血酸素ガスの値、パルスオキシメーターによる経皮的動脈血酸素飽和度の値などを参照しながら医師が指示を出します。

小児の鼻腔カニューラ.png

・ 意識レベルや呼吸筋の低下のある子供では、人工呼吸器による酸素療法が行われます。

・ 指示された酸素濃度・量が供給されるように、酸素吸入回路の折れや閉塞、漏れに気をつけます。

・ 酸素ボックスや保育器内で酸素を使用する時は、酸素濃度が正確に供給されているかを酸素濃度計で適宜測定します。 酸素濃度計のセンサーは子供の口元近くで測定するようにします。

・ 酸素使用中は、可燃性があるので火気を決して近づけてはいけません。

・ 酸素療法を行っている時は、日常安静時の呼吸数、心拍数、SpO2の値を把握しておきます。 これらが20%以上増加し、陥没呼吸、喘鳴、発熱の症状が出てきたら医師の診察を受けるようにします。

(9)緊急処置を受ける子供と家族の不安の緩和

・ 子供は、一般に、事故による突然の受傷に恐怖を抱き混乱状態になります。 感染や受傷部への支障をきたさない範囲で、馴染んでいるおもちゃや絵本を置き安心できる環境の調整を行います。

・ 受傷風景のフラッシュバックや悪夢に脅える子供もいます。 脅え混乱している時は、子供が愛着を抱いている養育者が傍にいることができるようにします。

・ 受傷部の処置を行い、疼痛の緩和を図ります。 処置で新たな不安を増すことがないように、 「処置にどのような肯定的な意味があるか」 を子供の理解しやすい言葉で説明するようにします。

・ 看護師は子供が受傷で抱いた恐怖を探査するようなことはせず、子供自身が遊びの中で自然に感情を表出し、コントロールできるようになるのを見守ることが大事です。

・ 子供の事故によって衝撃を受けた養育者の心理状態を理解し、支えとなる家族に同席してもらうように配慮します。

・ 家族には、受傷した子供が命の危機を脱した頃から、今後の治療や予後に対する不安が生じてきます。 その場合、病状・検査結果・必要な治療について十分説明を行う必要があります。

・ 家族は、後遺症の有無や治癒後の容姿の変化について不安を抱くものです。 家族がこれらの不安を表出し、日常生活での対処法や活用できる社会資源についての情報や支援を得ることができるようにします。

おわり.png

[設問] ウイルソン・ミキティ症候群がおこるものを選べ。

イ 低出生体重児  ロ 巨大児  ハ ダウン症候群  ニ 一卵性双生児

                           正解 (


小児看護学(44)(さまざまな状況にある子供と家族への看護) [小児看護学]

(6)乳幼児の意識レベル

・ 意識レベルの評価には3−3−9度方式(JCS)、乳幼児用に修正を加えた坂本の 「乳幼児用JCS」 などが用いられています。

乳児の意識レベル.png

・ 意識障害のある子供は、意識レベルの観察とともにバイタルサインの変化、四肢の動き、けいれん、麻痺、瞳孔反射、チアノーゼなどを観察します。 乳児では大泉門の状態、水分出納のバランスに気を付けます。

(7)吸引

・ 障害があり自力で十分に痰・鼻汁・気管内分泌物の排出を行えない時に、気道の閉塞や無気肺などを防ぐ目的で行われます。 吸引には、口腔内吸引、鼻腔内吸引、気管内吸引などがあります。

・ 口腔内・鼻腔内吸引は準清潔操作、気管内吸引は清潔操作で行います。 吸引は不快感や苦痛を伴いますので、必要な時に手際よく行うようにします。

・ 吸引チューブは挿入する時は、鼻腔・気管粘膜を傷つけないように吸引圧をかけないで挿入し、吸引する時にチューブをゆっくり引きながら圧をかけます。

・ 口腔・鼻腔の吸引圧は20cmHgですが、新生児や低出生体重児の吸引は10〜15cmHgで行います。 粘膜を傷つけますので、分泌物が粘稠で思うように吸引できなくても、吸引圧をむやみに上げるのは避けます。

・ 1回の吸引時間は10秒くらいとし、分泌物を引き終わらない時は、子供の呼吸数・心拍数・顔色をみながら適当な間隔をおいて再度吸引するようにします。 生理食塩水を使用して洗浄する時の量は、0.2ml/kg/回を目安とします。

・ 吸引は刺激となり嘔吐を誘発しますので、哺乳・食事後の約30分は避けます。 分泌物が多い子供は、哺乳・食事前に吸引するようにします。

[設問] 「飲み物を見せると飲もうとする、あるいは乳首を見せると欲しがって吸う」は、坂本の「乳幼児用JCS」では次のどれか?

イ I-3  ロ II-10  ハ II-20  ニ II-30  ホ II-100

                              正解 (

[設問] 新生児での口腔・鼻腔の吸引圧は、どれが適切か?

イ 30~25cmHg  ロ 15~20cmHg  ハ 10~15cmHg  ニ 5~10cmHg

                              正解 (

[設問] 吸引の一回の吸引時間はどれくらいが適切か?

イ 30秒  ロ 20秒  ハ 15秒  ニ 10秒

                             正解 (



 


小児看護学(43)(さまざまな状況にある子供と家族への看護) [小児看護学]

(4)溺水と処置

・ 自宅の浴槽で溺れるケースが多いので、浴室へは1人では入れないようにします。

・ 溺れている場面に遭遇し、水から引き上げた時に、子供がすぐ泣くようなら心配はありません。 顔色がすぐれない、チアノーゼ、喘鳴などがみられたら肺への誤嚥の可能性もあるので、診察を受けさせるようにします。

・ 発見した時、意識があれば、低体温にならないように暖かくして病院へ行き、診察を受けさせます。

・ 発見した時、呼吸停止・心停止はなくても、意識がなければ、気道を確保して、人工呼吸をしながら至急病院へ行くようにします。

・ 呼吸停止・心停止があれば、気道を確保して、人工呼吸・心マッサージを行い至急病院へ搬送します。 低体温の時は、全身を適度に暖めながら皮膚のマッサージを行い末梢の循環をよくします。

(5)心肺蘇生法

・ 子供では、多くの場合、呼吸停止が心停止よりも先におきます。 脳などへの障害を最小限にするには、呼吸停止後4分以内に、有効な心肺蘇生(CPR)を行う必要があります。 脳の血流が10分以上遮断されると回復は不可能といわれてます。

・ 心肺蘇生のABCは、医師の到着を待たずに行う1次救命処置の基本であり、確実に行うようにします。

・ 低出生体重児では、気道の閉塞・中枢神経の未熟、低酸素などで容易に無呼吸発作(20秒以上の呼吸停止)を生じます。 顔色が蒼白となり、チアノーゼが出現し、呼吸を止めている時は、やさしく踵や足底を叩く、または児の背中・胸部をなでるなどしてみます。 気道が閉塞されている時は、吸引を行う必要があります。 たいていの場合は気道内の分泌物の除去で呼吸が開始します。 これで回復しない時は、バッグ&マスクで人工換気を行います。

・ 乳幼児では、呼びかけて肩を揺すり反応をみます。 反応がなければ、吸引装置を使用できる時は吸引を行います。 回復しなければ下顎を挙上して、呼吸が開始するか様子をみます。 呼吸停止を確認したら、気道を確保した状態で、子供の鼻をつまみながら口対口あるいは口で子供の口と鼻を覆って行う人工呼吸が必要となります。

・ 心マッサージ

心マッサージ.png
 

[設問] 新生児無呼吸発作は、何秒以上持続する呼吸停止のことをいうのか?

イ 10秒  ロ 15秒  ハ 20秒  ニ 25秒  ホ 30秒

                                    正解 (

[設問] 子供の心肺蘇生法は、次のどれで行うか?

イ 心マッサージ30回、人工呼吸2回をくりかえす。

ロ 心マッサージ20回、人工呼吸3回をくりかえす。

ハ 心マッサージ15回、人工呼吸4回をくりかえす。

ニ 心マッサージ10回、人工呼吸1回をくりかえす。

                                   正解 (


小児看護学(42)(さまざまな状況にある子供と家族への看護) [小児看護学]

(3)子供の熱傷の特徴・重症度および処置

・ 比較的広範囲に及ぶ子供の熱傷で多いのは、熱湯の中に落ちて受傷したものです。 また、受傷部位は、いろいろな物を探索して手を伸ばし握るためか、手掌、前腕に多くなります。

・ 小児の皮膚は薄く細胞外液が多いために、組織破壊が深部まで及びやすく、浮腫や水疱を形成しやすくなります。 そのため、熱傷の重症度の判定は難しく誤りやすくなります。

水道水で冷却.png

 

・ 受傷面積の評価には、Blockerのチャート、Lund and Browderのチャートなどが使用されます。

ブロッカーのチャート.png

・ 中等度以上の熱傷による体液喪失に伴う小児の腎臓への負担は大きく、末梢循環障害、腎機能低下などを数時間以内におこすことがあります。 ですから、頻脈、多呼吸、体温上昇、血圧上昇、チアノーゼ、尿量減少などに注意を払う必要があります。

[設問] 手指の熱傷の救急処置として正しいものを一つ選べ。

イ アイスノンで冷やす。

ロ 角氷で冷やす。

ハ 流水で冷やす。

ニ 冷シップ薬を貼付する。         正解 (

[設問] 乳幼児の熱傷をブロッカーのチャートで評価する場合、右下肢一本の範囲は何%となるか?

イ 10%  ロ 15%  ハ 20%  ニ 25%

                          正解 (


小児看護学(41)(さまざまな状況にある子供と家族への看護) [小児看護学]

12)救急処置が必要な子供と家族

(1)子供の事故

・ 小児の死因の1〜19歳までの第1位は、不慮の事故です。

・ 不慮の事故の年齢別推移をみると、乳児の事故では寝具やタオル・ぬいぐるみなどによる窒息が第1位(乳児の死亡総数における70.8%)、幼児では交通事故が第1位(幼児の死亡総数における37.5%)、第2位は溺死および溺水(26.0%)となっています。

(2)主な誤飲物質と処置

誤嚥.png

・ 誤飲の処置は、原則として直後は吐かせることですが、誤飲した物の種類によって処置が異なってきますので、誤飲物が何か必ず確認する必要があります。

・ ピーナッツやアーモンドなどは、気管内腔を完全に閉鎖していないので、呼吸状態は、それほど変わらないことがあります。 しかし、気管内で軟らかくなり、膨張し内腔を閉塞することになります。 また、取り出す時に粉砕された破片が肺胞に入り、炎症を強く引きおこしてくることもあります。 この場合、医療施設で適切な処置を行い、経過をみる必要があります。

・ 玩具・硬貨・安全ピンなどは、背部叩打法やハイムリック法で吐き出させることもできるが、大きさによっては気管粘膜を傷つけることもありますから注意を要します。

・ ベンジン・ガソリン・漂白剤などの各種薬品や洗剤は、嘔吐を誘発させることは禁忌ですから、110番などに連絡し、至急病院へ行く必要があります。 胃部・腹部の疼痛、悪心・嘔吐、血便・下痢などの症状、意識状態、けいれんの発現に注意する必要があります。

・ 小さく鋭利でないものは、消化管を通過して排泄される可能性が高いので、機嫌、食欲、腹痛の有無、腹満、排便の有無、便の性状などに気をつけて経過をみることになります。

[設問] 乳児の不慮の事故の原因で、最も多いものは次のどれか?

イ 窒息  ロ 交通事故  ハ 溺死  ニ 転落死

                                正解 (


小児看護学(40)(さまざまな状況にある子供と家族への看護) [小児看護学]

11)終末期にある子供と家族

(1)子供の死の概念

・ 幼児期の子供は、「動く」「動かない」で生死を判断しています。 また、死んで柩の中に横たわっている人を見ても、生き返り、また話をすることができるようになると考えます。  死は、眠りや別離と同じように理解するのです。

・ 学童前期の子供

終末期の子供.png

 

・ 学童後期から思春期前期になると、死は永久的な生の停止であり、普遍で避けがたい現象であることを理解できるようになります。 科学的な事実として死を認めるようになり、大人の死の概念に近くなってきます。

(2)死の不安と別離の不安

・ 「死の不安」については、自分自身が死ぬかもしれないという不安の他に、愛する者やペットの死についての不安があります。

・ 乳幼児の場合、緊密な愛着関係を築いている養育者が死ぬと、分離させられることへの激しい情緒反応をひきおこします。 また、「自分は捨てられた」 「自分が死んじゃえと言ったから」 「自分が悪い子だったから」 などと考えて、恐怖感につきまとわれることがあります。

・ 幼児は同胞の死で、「両親を占有できる嬉しさ」 「同胞の死を悲しむ両親の姿に対する不安」 「両親の自分への愛情回復についての不安」 など様々な思いが絡まり、複雑な気持になります。 しかし、一方、悲しみや不安を比較的早く忘れる傾向もあります。 死による喪失や不安より、興味のあるものに惹かれて葬儀場などで陽気に遊ぶ場合もあります。

・ 学童期では、自分自身の死の恐怖に動揺してしまうと、攻撃的な言動をとったり、抑うつ状態で表情が乏しく寡黙になったりすることがあります。

(3)子供への病気の説明

・ わが国では、現在、子供への病気の説明は、その多くが法定代理人である親に対して行われ、親の判断で子供に伝えるかどうかが決定され、親の決定に子供が従う場合が多いようです。

・ 親の承諾があり子供が理解できると判断すれば、インフォームドコンセントを行っている医師もいます。 子供が理解できる年齢の下限は、医療制度では7歳と考えられています。

(4)終末期にある子供の心身の状態と緩和ケア

終末期の子供のケア.png



(5)子供の死を看取る家族への関わりとケア

・ 子供を看取る家族は、心の準備をすることが難しく、その気持ちはとても辛いもので、ときには非常に強い情緒的反応が看護師などへの怒りの態度で表出されることもあります。

・ 家族の揺れる気持ちに添い、話を聞くことが大切です。

・ 両親が日頃から頼りにしている人や非常時にサポートを得ることができる人がいるかといった情報を集め、両親がサポートを受けることができるように調整します。

[設問] 科学的な事実として死を認めるようになるのは、いつ頃といわれているか? 以下より選べ。

イ 幼児期  ロ 学童前期  ハ 学童後期から思春期前期  ニ 思春期後期

                                        正解 (

                              


小児看護学(39)(さまざまな状況にある子供と家族への看護) [小児看護学]

10)痛みのある子供と家族

(1)子供の痛みの受け止め方

・ 新生児や乳児は、痛みをあまり感じないという考えが優勢な時代もありましたが、近年では、痛みを感じており、年少児が年長児よりも強い痛みを知覚することもあるといわれています。

・ 長期に及ぶ慢性的な疼痛は、子供にとって 「深い苦痛」 となり、抑うつ感を強め、行動発達の遅れを生じることがあるといわれています。

・ 子供は、痛みと病気の関連性を理解できずに 「自分が悪いことをした罰」 であると受け止めることがあります。

・ 看護師は、「痛みの程度は、痛みを経験している子供本人が正確に知っている」 ことを忘れてはいけません。

・ 子供は 「痛み」 で病気を知覚します。 また、痛みのために生命や生活を脅かされて、安全感や安心感を失い怯えます。

(2)痛みの表現法

・ 子供は痛みを啼泣、表情、体幹や上下肢の動きで表現します。

・ 乳児では、 触られると嫌がって泣く、 激しく泣いた後、しばらく泣き止むが、すぐに泣き出すといったパターンを繰り返す、 どんなにあやしても泣き止まないなどの時は、痛みを感じている可能性があります。

・ 年少児程、痛みの程度、状況を言葉で表現するのは難しいのですが、不機嫌になる、 「ウー、タ、タ、タ」 など痛みをその子供なりの言語で表現することができます。

(3)痛みの客観評価

・ 新生児の痛みの評価は、難しいとされていましたが、最近になって、その信頼性と妥当性が検証されたものが海外から出てきています。それには、呼吸様式、顔の表情、啼泣状態、腕の動き、足の動き、睡眠覚醒状態などの指標項目からなるNIPS(Neonatal Infant Pain Scale), PIPP(Premature Infant Pain Profile), FSPAPI(Face Scale for Pain Assessment of Preterm Infants), NIAPAS(Neonatal Infant Acute Pain Assessment scale) などがあります。

・ 乳幼児の場合、家族から子供の痛みに関する経験や認識についての情報を得て、アセスメントを行うことも必要です。

・ 言葉で表現することの難しい子供のセルフレポートとして、フェイススケール、単純記述スケールなどの開発が行われています。

フェイススケール.png

・ 鎮痛剤を使用している時は、呼吸数、脈拍、意識レベル、鎮静レベル、悪心・嘔吐、などの観察を行います。 この場合、使用している鎮痛剤の副作用を念頭に観察する必要があります。

(4)痛みの緩和の援助

・ 学童高学年や思春期では、疼痛が強度で長時間に及ぶ時には、鎮痛薬の持続静脈内注射による、子供自身がボタンを押して鎮痛薬の投与量を痛みに応じて増やす患者自己調節鎮痛法(PCA)による疼痛緩和が行われることもあります。

・ 鎮痛・鎮静療法を行っている時には、子供の機嫌、顔の表情、運動障害が生じていないか、まわりのことに興味を示しているか、集中できるか、睡眠障害が生じていないか、回りのことに興味を示しているか、集中できるか、睡眠障害はないかなどを観察します。

・ 子供自身による痛みへの対処行動について、子供や家族と話し合い、その対処行動を修正、あるいは促進して痛みの緩和を図ります。

・ 子供の体験している痛みを理解し、子供が痛みの意味や関連性、痛みの緩和についての見通しをもてるようにします。

・ 子供の注意を痛みからそらして、他のことに集中できるようにします。

泣く子.png

・ 学童高学年、思春期になれば、子供が自分でできる注意転換法やリラクゼーション法などの対処法を勧めます。

・ 反復して痛みを伴う処置を必要とする時は、辛い処置に耐えている子供の思いを慰めます。 また、なぜ処置を必要とするのか、子供の理解できる言葉で説明します。

[設問] 子供の痛みの受け止め方に関する説明で、正しいものを一つ選べ。

イ 新生児や乳児では、痛みはあまり感じていないといわれている。

ロ 長期にわたる慢性疼痛は、子供の行動の発達の遅れを引き起こす可能性がある。

ハ 子供は、痛みと病気の関連性を理解している。

ニ 子供は、痛みを経験していても痛みの程度を評価できない。

                                 正解 (




小児看護学(38)(さまざまな状況にある子供と家族への看護) [小児看護学]

(4)学校の受け入れ

・ 障害や疾病を持つ児童生徒の個々のニーズに合った適切な教育を行うために、環境を整え、子供の能力を最大限に伸ばし、社会的な自立をできる限り実現できるように特殊教育への努力が払われています。

特殊教育の場.png

・ 慢性疾患などのために長期にわたって医療あるいは生活管理を必要としている児童生徒は、病弱養護学校において、病状による困難を克服するための教育を受けています。

・ 病弱養護学校は、医療機関に併設しているもの、通常の小・中学校に設置されている特殊学級、および院内学級(慢性疾患の子供が入院している医療施設の場所による校区の学校に属する学級)があります。

・ 障害や疾病の状態が重度で通学が困難な児童・生徒は、養護学校などの教員が家庭および入院している病院や施設に訪ねて行われる訪問教育を受けることができます。

(5)長期的に治療を必要とする子供の発達とセルフケアの助長

・ 子供のセルフケアのニーズは、程度の差はみられますが、養育者による代行(世話)、支持や支援、教育、環境の調整などで補われて、満たされることになります。

・ 子供がセルフケア行動をとれるようになるには、子供と家族がそのセルフケア行動の意味と価値を理解する必要があります。 また、セルフケア行動を実施して効果を評価し、修正や変更を加えながら、継続して学習していく必要があります。

・ 子供の活動制限や食事制限、訓練などを家族メンバーが一緒に行い、普通の日常生活の一部として治療上の制限や訓練を認識できるようになることも大切です。

(6)家族のストレスの緩和・対処への支援

家族のストレスへの対処.png

 

 

[設問] 盲学校の対象となるのは、両眼の視力がおおむねいくつ未満か?

イ 0.1  ロ 0.2  ハ 0.3  ニ 0.4

                              正解 (

[設問] 聾学校の対象となるのは、両耳の聴力レベルがおおむねいくつ以上のものか?

イ 30dB  ロ 40dB  ハ 50dB  ニ 60dB

                             正解 (



小児看護学(37)(さまざまな状況にある子供と家族への看護) [小児看護学]

9)慢性期にある子供と家族

(1)小児慢性特定疾患治療研究事業

・ 1968年以降に行われてきた小児慢性特定疾患対策における対象疾患の大幅な拡大が行われ、1974年に「小児慢性特定疾患治療事業」として統合されました。

・ 対象年齢は、18歳未満の児童ですが、18歳以降も引き続き治療が必要と認められる場合は、20歳まで助成が延長されます。 その目的は、治療の確立と普及を図り、合わせて家族の経済的、精神的負担を軽減することにあります。 

小児特定疾患.png

(2)病気の時間的経緯と急性増悪

・ 慢性状態とは、疾病の進行、症状に著しい変化がみられず固定化し、長い経過をたどる、あるいは生涯において持続して機能低下をきたした状態のことです。

・ 経過は一様でなく、進行する時もあれば、予後不良の時もあります。 病状が潜行して自覚症状のないままに寿命を全うする時、あるいは再燃し急性増悪し、再び慢性期にいたることもあります。

(3)病気による子供と家族の生活の変化

・ 子供は、身体障害による機能低下や治療のために行われる制限で、日常の生活習慣が制限され、自己コントロール感の喪失を体験します。

・ 身体の外観や機能の変化で、これまでの自己像のゆがみや崩壊を生じることがあります。

・ 治療のための通院や入院のため、仲間からの疎外を感じ、生活のリズムの乱れや自発性の低下を生じることがあります。

・ 病気とともに生活する過程においては、その不安を乗り越え、適応するための新たな対処行動を身につけて自己の持つ能力を自覚し、成長につながる変化が生じることもあります。

[設問] 小児慢性特定疾患治療研究事業対象疾患の組み合わせを選べ。

イ 白血病・川崎病・ウイルソン病

ロ 副鼻腔炎・心室中隔欠損症・水腎症

ハ リンゴ病・糖原病・水痘

ニ 1型糖尿病・川崎病・膀胱炎

                   正解 (


小児看護学(36)(さまざまな状況にある子供と家族への看護) [小児看護学]

(3) 呼吸困難時のアセスメントと看護ケア

子供の肋骨.png

・ 肺胞は成長に伴いその数が増え、大きさも増していきます。 小児は成長途上のために排気量が少なく、体重あたりの換気量は成人の2倍必要です。

・ 乳幼児は、呼吸の苦しさを訴えることができないので、呼吸数の変化、異常呼吸の有無、脈拍数の変化、不整脈の有無、顔貌、チアノーゼ、四肢の冷感、体温の変化などの状態を細やかに観察して把握します。

・ 授乳・食事摂取後は、胃の膨満による横隔膜の挙上で呼吸が苦しくなり、嘔吐による気道の閉塞の危険性が高まることがあります。 排気を十分行い、安楽な体位にして一般状態に気をつけます。

(4)けいれん時のアセスメントと看護ケア

けいれん時のアセスメント.png

(5)生命徴候が危険な状況にある子供の観察とケア、および家族への援助

・ 子供の症状はささいに見えても重篤な疾患の初期であったり、緊急治療を要したりすることが少なくありません。 バイタルサイン、全身状態を観察して、緊急度を判断します。

・ 入院と同時に検査や治療処置で身体に侵襲や危害を受けて恐怖やストレスが高まります。 子供が少しでも安心できるように、子供の訴えに耳を傾け、子供が理解できる言葉で話すようにします。

家族への説明.png

・ 考えが混乱し、感情が動揺している時には、親は、子供の状態を否認したい気持ちもあり、疾患に関する説明を理解するのが難しくなります。 親の納得がいくまで、希望に沿い繰り返し説明する必要があります。

[設問] 小児の呼吸器の特徴として、正しいものを一つ選べ。

イ 肋骨は水平に走行する。

ロ 横隔膜は低位である。

ハ 排気量が大きい。

ニ 胸腔の拡張能が大きい。

                    正解 (

[設問] 小児のけいれんをおこす疾患で、最も多いものは、次のどれか?

イ 点頭てんかん

ロ 熱性けいれん

ハ 欠神発作

ニ ミオクロニー発作                  正解 (


前の10件 | - 小児看護学 ブログトップ