成人看護学(23)(栄養摂取・代謝障害を持つ患者への看護) [成人看護学]
13.栄養摂取・代謝障害をもつ患者への看護
1)咀嚼・嚥下障害の観察とアセスメント
(1)歯・舌・口腔・喉頭の観察
・ 歯の噛み合わせ、義歯の有無、歯肉の状態を観察し、咀嚼運動の評価を行います。
・ 舌の凹凸や舌苔、乾燥の有無を観察し、舌を突き出したときの偏倚の有無を観察しますが、偏倚する側の舌下神経の麻痺があることになります。
・ 口角からの流涎の有無、口角を横に開いた時の左右差などから顔面神経障害の有無がわかります。
・ 軟口蓋や口蓋垂の偏りをみて、口蓋垂が偏るカーテン徴候があれば、偏った側と反対側の舌咽神経の障害があることになります。
・ むせがみられる時は、嚥下の前・中・後のいずれの時期かをアセスメントします。
(2)嚥下テスト
・ スクリーニング嚥下検査には、反復唾液飲み込みテストと水飲みテストがあります。 反復唾液飲み込みテストでは、高齢者で30秒に空嚥下が3回以上できれば正常とされます。 水飲みテストでは、30mLの水を5秒以内に飲み込めたら正常と判定されます。
・ ビデオX線透視検査は、造影剤を含んだものを嚥下し、ビデオにX線上の嚥下運動を記録する検査ですが、患者が十分にリラックスできるように環境を整えます。
・ 誤嚥がひどい時やSpO2が90%以下となった時は、検査を中止します。
・ ビデオ内視鏡検査は、ファイバースコープを使って声門閉鎖機能、食塊の咽頭残留の状態を直視下に観察する検査です。
・ その他の検査として、嚥下圧測定検査や超音波エコー、フードテストななどがあります。
(3)咀嚼・嚥下障害の原因と程度
・ 嚥下障害には、静的障害と動的障害があります。 静的障害とは、炎症、腫瘍などによる通過障害で、動的障害とは、神経・筋疾患などによる機能的な運搬障害です。
・ 筋萎縮性側索硬化症などでみられる球麻痺では、液体より固形物の方が先に飲み込みにくくなるのに対し、多発性脳梗塞などでの仮性球麻痺では、液体の方が先に飲み込みにくくなります。
・ 一般的な嚥下障害の判定基準にフレミングの指数があり、10点以上が嚥下障害あり、2点以下はその可能性が低いと判定されます。
(4)心身・日常生活への影響
[設問] 患者が舌を突き出した時に左に偏倚(寄る)した。どの麻痺によるか?
イ 左顔面神経麻痺
ロ 左舌咽神経麻痺
ハ 右舌咽神経麻痺
ニ 左舌下神経麻痺
ホ 右舌下神経麻痺 正解 (ニ)
[設問] 患者の口蓋垂の動きをみると、挙上が左に寄る。どの神経麻痺があるか?
イ 左迷走神経麻痺
ロ 左舌咽神経麻痺
ハ 右舌咽神経麻痺
ニ 左舌下神経麻痺
ホ 右舌下神経麻痺 正解 (ハ)
[設問] 高齢者の反復唾液飲み込みテストでは、30秒に何回以上空嚥下ができれば正常といえるか?
イ 10回 ロ 5回 ハ 3回 ニ 1回 正解 (ハ)
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