母性看護学(2)(母性看護の概念) [母性看護学]
2)母性看護と倫理
(1)妊婦褥婦・胎児および新生児の権利と擁護
・ 減数手術の危険にさらさないために日本産婦人科学会は 「多胎妊娠予防のために、体外受精に際して移植する胚数を3個までに限る」 という多胎妊娠に関する見解を発表しています(1995年)。
☆多胎妊娠について: 本邦において3胎以上の多胎出生率は、1984年以降、急激に増加しています。 原因は、不妊
治療によるものです。 排卵誘発薬が用いられることや、体外受精に際して、妊娠率を上げるために、移植する胚を増
やすことによるとされています。
・ 非配偶者間人工授精の被実施者は法的に婚姻している夫婦で、しかも非配偶者間人工授精によって挙児を希望するものを対象としています。 そして、心身ともに妊娠・分娩・育児に耐えうる状態にあり、非配偶者間人工授精以外の
医療行為では妊娠成立の見込みがないと判断されたものとするとされています (日本産婦人科学会の精子・卵子の商業化を規制するため 『非配偶者間人工授精と精子提供』 に関する見解、1997年)。
・ WHOの「クローン技術に関する決議」を受けて、わが国では 「人間の尊厳の侵害」 と 「安全性」 からクローン人間作りを禁止する 「ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律」 が2000年11月に制定され、2001年6月から施行となりました。
(2)自己決定の尊重
・ 自己決定のための看護援助としては、受けようとする検査や選択肢およびその結果についての正確な情報提供、選択にあたってのサポート、自己決定権が自分自身にあることの保障、自己決定後のフォローアップ、があります。
(3)プライバシーの保護
・ 母性看護の領域におけるプライバシー保護としては、特に次のことに留意する必要があります。
「現在のパートナーが過去の妊娠、分娩歴を知らない場合がある」 「家族歴や過去の妊娠、分娩歴をパートナー以外の家族には秘密にしていることがある」 「素肌や外性器の露出に伴う羞恥心がある」
[設問] 1984年ころから、3胎以上の多胎出生率が急激に増加したが、その理由は何か?
イ 放射能汚染 ロ 高齢出産の増加 ハ 不妊治療 ニ 原因不明
正解 (ハ)
[設問] 減数手術は、普通妊娠何か月までに行われるか?
イ 2か月 ロ 3か月 ハ 4カ月 ニ 5か月
正解 (ロ)
[設問] 減数手術をなくすために、日本婦人科学会は、多胎妊娠予防のために体外受精に際しての移植する胚数を制限する見解を1995年に発表しているが、その制限する胚数とは何個までか?
イ 1個 ロ 2個 ハ 3個 ニ 4個 ホ 5個
正解 (ハ)
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