人体の構造と機能 第35回(心臓・血管系〔循環器系〕の構造と機能) [人体の構造と機能]
《機能と生理》
A)肺循環
・肺動脈は、静脈血を肺に送り、ガス交換(二酸化炭素を酸素に交換)を行います。
・肺静脈は、ガス交換後の動脈血を左心房に送ります。
・肺動脈圧は9~24mmHg(平均15mmHg)くらいです。
・肺動脈の血流速度は40cm/秒で、肺尖部で遅く、肺底部で速くなります。
B)体循環
・動脈系は、全身に動脈血を送り、全身臓器でガス交換(酸素を二酸化炭素と交換)を行っています。また、栄養素を含めその他の物質を運搬しています。
・静脈系は、ガス交換後の静脈血を右心房に送ります。
・成人における循環血液量は、体重の7%です。
C)血圧
・血圧は循環する血液が血管壁に及ぼす圧力です。
・心臓が収縮し心室から血液を圧出する時の動脈中の血圧が収縮期(最大)血圧で、心臓が拡張し心房へ静脈血が流入する時の動脈中の血圧が拡張期(最小)血圧になります。
・収縮期血圧と拡張期血圧の差を脈圧と言います。
・全身の血圧は、心臓の拍出量と血管運動によって保たれています。
D)血管運動の調節機構
・血管運動の調節機構には、神経性と内分泌性(液性)がある。
・血管運動の神経性調節は、自律神経によって行われていますが、中枢は延髄の血管運動中枢になります。
・交感神経から分泌されるノルアドレナリンは、交感神経のα受容体を刺激し、末梢血管を収縮させますが、骨格筋の動脈と冠動脈ではβ受容体が刺激されて血管は拡張し、骨格筋や心筋の活動の高まりを支えることになります。
・大動脈弓(だいどうみゃくきゅう)や頸動脈にある圧受容器が血圧の上昇を感知すると、血管は反射的に拡張します。これは迷走神経(副交感神経)反射です。
・大動脈や頸動脈にある化学受容器が血液中の二酸化炭素の増加や酸素の欠乏によって刺激されると、末梢血管は収縮します。
・血管運動の内分泌性調節に関与するのは、副腎髄質から出るアドレナリン、腎臓から出る酵素レニンによってつくられるアンギオテンシンI、アンギオテンシンII(レニン‐アンギオテンシン系)、下垂体後葉ホルモン(バゾプレシン)です。
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