成人看護学(2)(成人の特徴) [成人看護学]
2)現代の生活状況
(1)家族形態と機能
・ 家族とは夫婦を中核として、その近縁の血縁者が居住をともにしている小集団であり、その成員は心理的に強い絆で結ばれています。 近年は夫婦とその未婚の子供という核家族が家族形態の主流となっています。
・ 核家族化は年々進み、2011年の1世帯あたりの平均世帯人員は2.58人です。
・ 家族の形態は多様化し、その中で特に高齢者世帯の増加が目立っています。
・ 初婚の年齢は年々遅くなっていて、2010年は男30.5歳、女28.8歳となっています。
・ 生涯未婚率も上昇し、2010年には男性20.14%、女性10.61%に達しています。
(2)職業の種類と就業環境
・ 終身雇用システムや年功序列の賃金システムが崩壊しつつあります。
・ 1985年男女雇用機会均等法が制定され、さらに1997年の改正で、昇進・配置などでの女性差別の禁止も盛り込まれました。
・ 女性の就業形態としては、家事や育児に支障がないパートタイム労働が多く、子育てが終わってからの再就職も多くなっています。
・ 労働安全衛生法にもとずく労働者の心身両面にわたる健康保持推進措置をトータル・ヘルスプロモーション(THP)といいます。
(3)生活習慣・生活様式
・ 喫煙は男性では減少しているが、女性は横ばいであり、未成年者の喫煙が増加しています。
・ 飲酒習慣が男性では減少傾向にありますが、女性では増加しています。
・ 肥満者の割合は特に男性で増加し、30〜65歳の約3割が肥満になります。
・ 食生活では、脂肪と食塩の摂取が増加し、加工食品および外食も増加しています。 また、朝食抜き、偏食、不必要なダイエットが増えています。
・ ダイエットをきっかけに拒食症や過食症といった摂食障害をおこすことがあります。
・ 住居では気密性の高い住宅になったため、ダニの発生や閉鎖環境によるストレスが増えています。
・ 身体活動は減り、運動不足が進んでいます。
(4)人生や健康に関わる意識
・ 健康に対する意識は、健康や疾病に関連した日常行動や生活習慣の中に表れます。
・ 2000年から「21世紀における国民健康づくり運動」(健康日本21)が開始され、生活習慣や生活習慣病を9つの分野に分けて取り組んでいます。
・ 2003年、健康日本21を推進するため、健康増進法が施行されました。
・ 2012年、健康増進法は全面改正され、2013年4月から適用されています。 この基本的方針は、21世紀の我が国において少子高齢化や疾病構造の変化が進む中で、生活習慣および社会環境の改善を通じて、子供から高齢者まですべての国民がともに支え合いながら希望や生きがいを持ち、ライフステージ(乳幼児期、青壮年期、高齢期などの人の生涯における各段階をいう)に応じて、健やかで心豊かに生活できる活力ある社会を実現し、その結果、社会保障制度が持続可能なものとなるよう、国民の健康増進の総合的な推進を図るための基本的事項を示し、平成25年度から平成34年度までの二十一世紀における第二次国民健康づくり運動(健康日本21第二次)を推進するものとされています。
・ 新たな健康増進法の目標は、「健康寿命の延伸と健康格差の縮小」 「主要な生活習慣病の発症予防と重症化予防の徹底」 「社会生活を営むために必要な機能の維持及び向上」 「健康を支え、守るための社会環境の整備」 「栄養・食生活、身体活動・運動、休養、飲酒、喫煙および歯・口腔の健康に関する生活習慣および社会環境の改善」 とされています。
[設問] 2011年の1世帯あたりの平均世帯人数は次のどれか?
イ 3.05人 ロ 2.75人 ハ 2.62人 ニ 2.58人 正解 (ニ)
[設問] 2010年の女性の初婚年齢は次のどれか?
イ 30.5歳 ロ 29.9歳 ハ 28.8歳 ニ 28.2歳 正解 (ハ)
[設問] 2010年の男性の生涯未婚率は次のどれか?
イ 20.14% ロ 17.32% ハ 12.45% ニ 10.61% 正解 (イ)
[設問] 労働安全衛生法に基づく労働者の心身両面にわたる健康保持推進措置を何というか?
イ トータルヘルスケア
ロ トータルヘルスプロモーション
ハ トータルヘルスデザイン
ニ トータルヘルスコンサルティング 正解 (ロ)
[設問] 次の文で正しいものを一つ選べ。
イ 喫煙は男性では増加傾向が続いている。
ロ 未成年の血縁は増加している。
ハ 飲酒習慣は男性では増加傾向が続いている。
ニ 飲酒習慣は女性では減少傾向が続いている。
正解 (ロ)
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