疾病の成り立ちと回復の促進 第13回(病態のいろいろ) [疾病の成り立ちと回復の促進]
(4)循環障害
A)循環障害とは?
・ 循環障害とは、血管あるいは血流に異変がおこり、支配下の組織、臓器、器官に何らかの障害がおこるものをいいます。
・ その異変とは、血液の流れが過剰になったり減少したりすることです。
B)局所循環障害
a)血管内の血流の変化
ア)充血:
・ 充血(じゅうけつ)とは小動脈、毛細血管に流入する動脈血の量が正常より増加した状態をいいます。(流入の過剰)
・ 充血の原因には、食後の消化管粘膜におこる機能的なもの(次図中段)や炎症で血管が拡張する炎症性充血(次図下段)などがあります。
・ 局所変化として、皮膚や粘膜は鮮紅色になり熱感を伴います。 機能的なものでは、静脈側からの血液の流出が機能しますが、炎症性のものでは、機能が不十分で4つの徴候(発赤(ほっせき)、熱感、腫脹、拍動痛)がみられます。
イ)うっ血
・ うっ血とは静脈血の流出が妨げられて毛細血管や静脈内に血液がうっ滞した状態をいいます。(流出の停滞)
・ うっ血の原因には、心臓の機能低下、静脈内腔の狭窄・閉塞(静脈血栓、静脈炎などによる)、静脈圧迫(妊娠時の子宮、腹水、腫瘍などによる)があります。
・ 局所変化として、チアノーゼ(血液中の還元ヘモグロビンの増加により皮膚や粘膜が青紫色に見える現象)、冷感、膨隆(水腫)、硬結(こうけつ)がみられます。
ウ)虚血
・ 虚血(きょけつ)とは組織や臓器に流入する動脈血量が減少した状態をいいます。
・ 虚血の原因は、動脈内腔の狭窄あるいは閉塞であり、動脈硬化、動脈炎、血栓形成、塞栓などによります。
・ 局所変化は、ゆっくりと虚血が進行する場合には副血行路(ふくけっこうろ)の形成がおこり、急に完全な虚血がおこった場合は組織の壊死がおこります。 虚血が一過性の血管壁の収縮によるものであれば、完全な回復もおこりえます。
[設問] 炎症性充血が機能性充血と異なる点は次のうちどれか? 一つ選べ
イ 動脈血の流入量の増加
ロ 静脈血の流出量の低下
ハ 動脈血の流入量の減少
ニ 静脈血の流出量の増加 正解 (ロ)
[設問] うっ血について述べたのは、次のうちどれか?
イ 拍動痛がみられる。
ロ チアノーゼがみられる。
ハ 発赤、熱感がみられる。
ニ 動脈血の流入量の増加がみられる。 正解 (ロ)
[設問] 虚血がゆっくりと進行した時にみられるものはどれか? 一つ選べ。
イ チアノーゼ
ロ 壊死
ハ 出血
ニ 副血行路 正解 (ニ)
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