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疾病の成り立ちと回復の促進 第8回(病態のいろいろ) [疾病の成り立ちと回復の促進]

C)変性

a)変性とは?

・ 組織、細胞の傷害機転により出現した機能障害によって組織、細胞内に正常ではみられない物質が沈着したり、正常でもみられるが量が過剰に沈着することがありますが、これを変性と呼びます。

b)細胞の変性

ア)混濁腫脹: 細胞の腫脹して、細胞質内が白く混濁してみえることがあります。 これは酸素欠乏により多数のミトコンドリアが膨化したためにみられるもので、ヒ素中毒や熱性伝染病、慢性の貧血などの際にみられるものです。

イ)空胞変性: 細胞内のミトコンドリアや小胞体が膨化し空胞化しておこるもので、中毒、感染症でみられます。

空胞変性.png

ウ)脂肪変性: 細胞の脂質の酸化障害により大小の脂肪滴が細胞質内に多数出現した状態で、肝、腎、心筋などの実質臓器でみられ、慢性貧血、うっ血、中毒などでおこるものです。

エ)粘液変性: 腺上皮細胞でみられる所見で、粘液の細胞内での貯留が高度となっておこるものです。

粘液変性.png


オ)硝子滴変性: 細胞質内に硝子様小顆粒(しょうしようしょうかりゅう)が細胞質内に充満してみられるもので、硝子様小顆粒は細胞質内に蛋白が過剰に再吸収されたものです。 糸球体腎炎やネフローゼで腎臓の近位尿細管上皮にみられます。

カ)グリコーゲン変性: 肝臓や横紋筋のようなグリコーゲンを含む臓器の細胞で、グリコーゲンを分解する酵素に異常を生じたときにグリコーゲンが沈着しておこるものです。

c)細胞間質の変性

ア)硝子変性: 硝子質(しょうししつ)と呼ばれる物質が結合組織や血管壁に沈着、蓄積しておこります。 これは、動脈硬化のおこっている血管壁などにみられます。

イ) フィブリノイド変性: フィビリンを含んだ血漿成分が血管壁などに沈着したもので、膠原病などでみられます。

ウ)アミロイド変性: 硝子質に似たアミロイドと呼ばれる糖蛋白が組織間隙や血管周囲に異常沈着するものです。

エ)結合識性粘液変性: 結合組織に粘液の貯留をきたすもので、間質組織由来の腫瘍である線維腫、粘液腫、脂肪肉腫などでおこりやすいといわれます。

[設問] 印環(いんかん)細胞がみられるのはどの変性か。

イ 空胞変性   ロ 脂肪変性   ハ 粘液変性   ニ グリコーゲン変性

                             正解 (



 


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