精神看護(2)(精神の健康) [精神看護学]
2)精神の機能と構造
(1)意識と意識障害
・ 意識: 心の機能としては、意識、前意識、無意識があります。 この心の機能の中では、氷山の一角ともいえる意識は、自己と外界についての知覚や認知ができることであり、知覚、認知、思考、記憶などの精神活動をさしています。
・ 意識障害: 知覚や認知、記憶などの基本的な精神活動が持続的あるいは一過性に障害された状態をいいます。 単に意識の清明性が下がる意識混濁、複雑な意識混濁(意識の広がりが狭くなる意識狭縮と意識の構造の変化に伴い異常な判断をおこすものが混ざり合った状態)の2つに大別され、後者は意識変容と呼ばれます。
・ 意識の清明性: 意識の清明さが、清明から混濁へと移行する段階は3段階あり、清明に近い方から、それぞれ傾眠、嗜眠、昏睡に分類されます。
・ 意識変容: 意識混濁と異常な判断が複雑に混ざり合った状態です。 意識変容の代表例として、せん妄、もうろう状態、アメンチアがあります。
・ せん妄: 軽度〜中等度の意識混濁で、幻覚を伴い、不安や恐怖に襲われて、興奮し動き回るような状態のことです。アルコール依存症の離脱期、老人性認知症、手術後などでおこります。
・ もうろう状態: 意識混濁は軽く、意識野が狭くなることが特徴とされ、限定された範囲ではまとまった行動がとれますが、他の部分では注意が向けられない状態です。 てんかん、器質性疾患、心因反応などでおこります。
・ アメンチア: 意識混濁は軽度ですが、思考のまとまりのなさがみられます。 話がまとまらず、支離滅裂となります。 周囲の状況を一見理解しているようにみえますが、注意力は散漫で、「困った、困った」 などと言葉を発し、困惑状態にあります。 産褥精神病、せん妄の前段階、統合失調症の急性期におこるものです。
[設問] 高齢者が、手術のために入院し、病棟で興奮して混乱状態になった。 これは、何という状態か?
イ せん妄 ロ 傾眠 ハ てんかん ニ 統合失調症 ホ ヒステリー
正解 (イ)
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