疾病の成り立ちと回復の促進 第36回(薬剤) [疾病の成り立ちと回復の促進]
C)循環器系に対する薬剤
a) 虚血性心疾患の治療薬
ア)硝酸薬(しょうさんやく)
・ 投与方法と代謝: 硝酸薬ニトログリセリンは舌下(ぜっか)投与されます。 経口投与すると門脈により肝臓に運ばれ速やかに脱ニトロ化されグリセリンに代謝され無効となります。 この場合、血中半減期は2〜8分と極めて短いものです。 テープ剤の形で皮膚から吸収させる方法もとられています。
・ 作用機序
・ 臨床効果: 狭心症の発作時の治療に有効。テープ剤では、狭心症の予防効果があり、また血圧上昇を抑える作用も持っています。
イ)β遮断薬: 心臓のβ受容体を遮断し、心拍数と収縮力を減少させ、心筋酸素消費量を抑える作用を持っています。 労作性狭心症(ろうさせいきょうしんしょう)に使われることが多いようです。
ウ)カルシウム拮抗薬
・ カルシウム拮抗薬の作用: 心筋のCa2+電流を抑制する作用を持っています。 冠動脈拡張作用、全身血管を拡張して血圧を下げる作用も強い薬剤群です。
・ カルシウム拮抗薬のいろいろ: ベラパミル、ニフェジピン、ジルチアゼム、フルナリジンなどが第1世代のカルシウム拮抗薬です。 ニカルジピン、ニソルジピンなどが第2世代のカルシウム拮抗薬で第1世代に比べて副作用が減り、効力が高くなっています。 アムロジンなどは第3世代のカルシウム拮抗薬で、作用発現が緩徐で作用時間が長くなります。
・ 臨床応用: 狭心症、高血圧症、冠動脈・脳動脈硬化症に有効です。
エ)その他の狭心症治療薬
・ ジピリダモール、ジラゼプ、トラピジル などがあります。
[設問] ニトログリセリンが舌下投与されるのはなぜか? 正しいものを一つ選べ。
イ 胃で吸収されにくいから
ロ 副作用として、消化器症状が出やすいため
ハ 胃腸で吸収されると門脈で肝臓に運ばれ、速やかに脱ニトロ化され無効となるため
ニ 嚥下障害の患者でも服用しやすい剤形につくられたため
正解 (ハ)
[設問] ニトログリセリンの投与で、最終的に血管拡張作用を持つのは次のどれか?
イ 二酸化炭素 ロ 酸素 ハ 一酸化窒素 ニ 一酸化炭素 ホ 二酸化窒素
正解 (ハ)
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