基礎看護学(19)(診療に伴う技術) [基礎看護学]
5.診療に伴う技術
1)診察・検査
(1)診察・検査時の看護師の役割
(A)診察時の役割
・ 患者の不安や苦痛を最小限にし、診察を受けやすい雰囲気をつくるように努めます。
・ 患者のニーズを看護師なりに把握し、医師の業務を補助します。
(B)検査時の役割
・ 患者に具体的な検査の説明をし、協力が得られるようにします。
・ 患者の検査時の身体的苦痛を最小限にとどめるように配慮します。
・ 検査が正しく行えるよう介助します。
・ 検査後の症状を観察し、異常があればただちに医師に報告し対処します。
・ 検査成績の結果を正しく読み取り、患者の状態の変化を予測し、回復過程を推定しながら、より適切なケアを計画・実践します。
(2)患者の心理
・ 患者は、診察・検査の結果によってその後どうなっていくのか不安を抱いています。検査の中には不快感や苦痛が伴うものがあるので、診察・検査の内容を理解するのを助け、援助していく必要があります。
(3)検査時の看護
(A)尿検査
・ 新鮮尿は、早朝起床後に採取します。
・ 尿沈渣検査には新鮮尿を使うため、前部尿道の細菌などの混じる最初の尿は捨てさせ、その後に出る中間尿を採取することになります。
・ 蓄尿の場合、開始時までの尿は捨て、それ以後の24時間の尿をすべて集めます。全尿をよく攪拌し、その一部を提出します。
(B)便検査
・ 潜血検査の場合、検出する血液は糞便中に均等に分布しているわけではないので、糞便の複数の部分から採取し母指頭大とします。
・ 一般に肉を多く摂取した場合はアルカリ性に傾き、糖質・脂質を多く摂取した場合に酸性に傾いています。
(C)喀痰検査
・ 起床時に、含嗽(うがい)をして口腔内の食物残渣や常在菌が混入するのを防いでから、咳とともに喀出したものを採取します。
(D)血液検査
・ 血液学的検査・生化学的検査・血清学的検査・細菌学的検査などがあります。
・ 血液培養検査は、血液中の病原微生物を同定するために行うので、無菌的に採取し、採取後はただちに検査に出します。検体は孵卵器(37℃)に保存します。
(E)腰椎穿刺検査
・ 腰椎穿刺は、クモ膜下腔に穿刺し、脳脊髄液を採取する検査です。
・ 穿刺部位は、腸骨稜がL4-5棘突起間の高さであることを目安に、L3-4またはL4–5で穿刺します。
・ 髄液採取後は、頭部を水平にして安静を保ってもらいます。
(F)X線検査(消化管造影)
・ 上部消化管造影: 検査前12時間は禁飲食となります。
・ 下部消化管造影(注腸造影): 前日は低残渣食、その後検査まで12時間は禁飲食とし、下剤を投与します。脱水予防と排便を促す目的で1L以上の水分補給を促します。
(G)CT検査
・ 腹部CTの場合や造影剤使用のCTの場合は、検査前禁食となります。
・ 検査時は ヘアピン、メガネ、義歯、装飾品、補聴器などを外します。
・ 造影剤を点滴投与しながらCT検査を行う場合は、造影剤に対する過敏症の既往やヨードテストを確認します。
(H)MRI検査
・ ヘアピン、メガネ、義歯、装飾品などの金属類を外してもらいます。
(I)内視鏡検査(消化管内視鏡検査)
・ 上部消化管(胃): 前日の21時以降、禁飲食、咽頭麻酔をした場合、誤嚥防止のため検査終了後2時間は禁飲食とします。
・ 下部消化管(大腸): 3日前から繊維の少ない食事にし、前日は低残渣食、その後検査まで12時間は禁飲食とし下剤を投与します。脱水予防と排便を促す目的で、1L以上の水分補給を促します。
(J)心電図検査
・ 深呼吸や会話は基線の動揺を招くので避けてもらいます。
・ 緊張したり、無理な体位をとったり、寒さで震えたりすると筋電図が記録されてしまいます。
(K)超音波検査
・ 腹部の検査の場合、前日21時から絶食(水分可)にする場合があります。
・ 泌尿器科の検査の場合、排尿を我慢してもらい膀胱に尿を充満させて検査します。
(L)呼吸機能検査
・ 呼吸困難や咳嗽が激しい患者で、検査に耐えられない場合には医師に報告します。
・ 立位が無理な場合は座位で行い、その旨を記録します。
[設問] 検査時の看護者の役割について正しいものを一つ選べ。
イ 患者に対して、検査の具体的な説明は避ける。
ロ 検査時の患者の苦痛に対しては、医師の指示を待ち、自ら苦痛を和らげるような働きかけはしない。
ハ 検査後の症状を観察し、異常があれば医師に直ちに報告して対処する。
ニ 検査結果を読み取り、患者の状態変化を予測するようなことは避ける。
正解 (ハ)
[設問] 尿検査について正しいものを一つ選べ。
イ 入院患者の新鮮尿は早朝起床後に採取する。
ロ 尿沈渣検査では、前部尿道の細菌などの混じる最初の尿を採取する。
ハ 畜尿では開始時までの尿は捨て、それ以後の12時間の尿をすべて集める。
ニ 尿沈渣検査では、排尿する全尿を採取する。
正解 (イ)
[設問] 腰椎穿刺について正しい記述を一つ選べ。
イ 腰椎穿刺では、クモ膜下腔に穿刺する。
ロ 腰椎穿刺の部位は、L1‐2とする。
ハ 髄腋採取後に安静は特に必要ない。
ニ 腰椎穿刺では、下肢を伸展し、背中はそらす体位をとらせる。
正解 (イ)
基礎看護学(24) (看護の役割と機能を支える仕組み)へ ⇒ http://shiratorik-kango.blog.so-net.ne.jp/2013-05-28-1
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