小児看護学(31)(さまざまな状況にある子供と家族への看護) [小児看護学]
5)先天的な問題をもつ子供と家族
(1)先天異常の種類と特徴
・ 先天異常には、胎児期の死亡や発育遅滞、先天奇形、機能・知能障害、生殖障害などがあります。
・ 先天異常の原因は、遺伝要因と環境要因との相互作用によるものが約60%、遺伝子疾患および染色体異常が約30%、環境要因が約10%です。
・ 先天異常の頻度は、およそ5〜10%と推定されており、そのうち形態異常を示すものを奇形といいます。
・ 妊娠期間における異常の発生時期によって、胚芽病と胎児病とに分けられます。 前者は妊娠初期(3ヶ月あるいは12週までの胎芽期)での異常の発生、後者はそれ以降のものをいいます。
・ 出世前診断では、羊水検査、臍帯血、胎児血検査による遺伝子・染色体検査、超音波検査、母体血清マーカー試験(AFP)などによって様々な出生前診断が可能となっています。 さらには、体外受精での受精卵診断や胎児治療も行われるようになっています。
(2)家族の健康障害への理解と子供の受容に対する看護
・ 出生前診断を行う場合、疾患の種類や症状、成長・発達などに関しての正確な情報の提供と説明が行われ、家族が十分に理解できるようにする必要があります。
・ 早期からの子供との面会、抱っこや触れるなどのスキンシップを促すことが大切です。 しかし、あくまでも両親の気持を十分に配慮、尊重した上で、焦らずにその意思を確認しながら進めていかなければなりません。
(3)子供の養育に必要な家族の心理的準備とケア技術獲得への援助
・ 家族が子供を養育するにあたって看護師は、受容に至るプロセスの各段階で両親の理解を確認・調整し、医師による説明の場を設ける。 そして、必要に応じて説明を加えるなどの調整役を果たし、精神的なサポートを行うことで家族の心理的準備を援助します。 また、近年では、遺伝相談の場や遺伝カウンセラーとして看護職が臨床心理士など、他のスタッフと協力してサポートにあたることが増えています。
・ 子供に異常があるとわかった後の両親、特に母親への精神的なサポートは、長期的な視点に立って取り組む必要があります。 子供の病気の原因に対する自責の念は、医療者をはじめ他者に向けられることもありますが、両親との信頼関係を築き、感情の表出ができるような関係づくりに努めます。
[設問] 受精後3週から12週(8週)までを何と呼ぶか? 下より選べ。
イ 受精卵期 ロ 胚芽期 ハ 胎芽期 ニ 胎児期
正解 (ハ)
[設問] 胎児期の造血は、主にどこで行われるか?
イ 骨髄 ロ 卵黄嚢 ハ 肝臓 ニ 膵臓
正解 (ハ)
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