小児看護学(33)(さまざまな状況にある子供と家族への看護) [小児看護学]
(3)計画手術と緊急手術
・ 子供の手術では、緊急性の高いものと、予定を立てて計画的に手術に臨むケースがあり、前者を緊急手術、後者を計画手術といいます。
・ 緊急手術では、説明して理解を得る時間がないため、母子ともに心理的な準備ができずに手術に臨み、強い不安と動揺を余儀なくされます。 術後は、子供の発達に合わせてわかりやすい言葉で説明し、子供と家族の持つ不安の軽減を図ることが重要です。
・ 計画手術では、予め手術について子供にわかりやすく説明を行い、幼少児にもウソをついたりはしないようにします。
(4)日帰り手術
・ 近年、子供の日帰り手術が多く行われるようになり、子供と家族のQOLや入院期間の短縮にとっての利点が認められています。
・ 日帰り手術は、外鼠径ヘルニアや扁桃肥大、扁桃炎などが代表的な疾患です。 日帰り手術は、術当日の朝に入院し、同日夕方に退院、帰宅します。 そのため、術前に必要な諸検査を実施した上で、家族および子供には術前日から当日にかけての絶飲食などについて十分に説明します。
・ 日帰り手術後は、痛みや出血など、異常の早期発見のための観察点を説明するとともに、退院時に家庭での処置や食事、安静、入浴などの日常生活上の諸注意についてわかりやすく説明しておくことが必要です。
(5)子供と家族の準備状態の把握とプリパレーション
・ 子供は、手術前に不安になっている母親の気持を敏感に感じ取ります。 したがって、母親や家族の不安な気持をよく理解して不安の軽減に努め母親が少しでも落ち着いた気持で子供と接することができるように援助します。
・ 病室は、大部屋にして、子供同士の関係をつくるようにし、早期から入院環境に慣れることができるように努めます。
・ 麻酔医や手術室あるいはICUの看護師が病室を訪れて、子供と家族に直接説明することで、手術前後の不安感を和らげることができるように配慮する場合もあります。
(6)周手術期における子供の安全・安楽への援助と家族への援助
・ 共通する術前指示として絶飲食があります。 最終の水分摂取以降に誤って飲食することがないように注意します。
(7)退院への指導・援助と継続看護
・ 退院は、必ずしも、その疾患の全治を意味するわけではなく、次回の手術までの家庭での養育期間として、数ヶ月あるいは数年間を外来通院という形で継続していかなければならないケースもあります。
・ 手術によって、全治あるいは早期に全治が期待される場合は、創部の消毒、安静や食事、入浴、あるいは、外出や通園・通学など退院後の生活上の注意点について詳しく説明します。
・ 継続看護では、入退院を繰り返すことを余儀なくされる子供とその家族に対する入院中の看護と、退院後の外来を中心とした看護との連携が特に重要になってきます。
[設問] 予定を立てて計画的に手術に臨む場合、何というか?
イ 緊急手術 ロ 予定手術 ハ 計画手術 ニ 日帰り手術
正解 (ハ)
[設問] 入院期間の短縮や子供の家族のQOLにとって利点があるのは、次のどれか?
イ 緊急手術 ロ 予定手術 ハ 計画手術 ニ 日帰り手術
正解 (ニ)
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