疾病の成り立ちと回復の促進 第51回(薬剤) [疾病の成り立ちと回復の促進]
c)排尿障害治療薬
ア) αブロッカー
・ 前立腺肥大や脊髄腫瘍での膀胱頸部の筋緊張による排尿障害の治療に使われます。
・ α1ブロッカーとして、プラゾシン、テラゾシン、タムスシンなどがあります。
イ) ムスカリン受容体遮断薬(抗コリン薬)
・ オキシブチニンが代表的な薬剤です。
ウ) 副交感神経作動薬
・ 手術後や脊髄損傷後にみられる尿閉の治療にコリン作動薬としてベタネコール、コリンエステラーゼ阻害薬としてネオスチグミンが使われます。
エ) 抗アンドロゲン薬
・ 前立腺肥大の抑制を目的に使われます。 黄体ホルモン誘導体のクロルマジノン、ゲストノロン、アリルエストレノールが使われます。
d)性機能障害治療薬
ア) 陰茎勃起(いんけいぼっき)の生理
・ 陰茎海綿体(いんけいかいめんたい)と陰茎海綿体に血流を供給する海綿体動脈が弛緩することによって陰茎勃起(いんけいぼっき)がおこります。 この弛緩に関与するのは非アドレナリン作動性、非コリン作動性(NANC)神経とされています。 この神経はNOを伝達物質とするNO作動性といわれています。 NOが遊離されると海綿体平滑筋細胞内のcGMPが上昇することで海綿体は弛緩し勃起がおこるのです。
イ)EDの治療薬
・ シルデナフィル、塩酸バルデナフィル、タダラフィルは陰茎海綿体のcGMPを分解する酵素であるホスホジエステラーゼV(PDE-V)の選択的阻害薬です。 これによりcGMPが上昇し陰茎海綿体の弛緩を増強することで勃起障害を改善します。 PDE-Vは血管平滑筋にも存在するのでニトログリセリンなどの硝酸薬との併用は過度の血圧低下をきたすことがあり、禁忌です。
[設問] 排尿に関するαブロッカーの作用を一つ選べ。
イ 排尿筋の収縮
ロ 内尿道括約筋の弛緩
ハ 外尿道括約筋の収縮
ニ 排尿筋の弛緩 正解 (ロ)
[設問] 排尿に関する抗コリン薬の作用を一つ選べ。
イ 排尿筋の収縮
ロ 外尿道括約筋の収縮
ハ 内尿道括約筋の収縮
ニ 外尿道括約筋の弛緩 正解 (ハ)
[設問] 排尿に関する副交感神経作動薬の作用を二つ選べ。
イ 排尿筋の収縮
ロ 内尿道括約筋の収縮
ハ 内尿道括約筋の弛緩
ニ 排尿筋の弛緩
ホ 外尿道括約筋の弛緩 正解 (イ、ハ)
[設問] 陰茎の海綿体動脈の弛緩に関与するのは次のどれか?
イ アドレナリン作動性神経
ロ コリン作動性神経
ハ GABA作動性神経
ニ NO作動性神経 正解 (ニ)
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