人体の構造と機能 第87回(感覚器系) [人体の構造と機能]
B)脈絡膜、毛様体・虹彩
・脈絡膜、毛様体、虹彩は眼球の血管膜であって、ブドウ膜とも呼ばれるものです。
・脈絡膜には血管が多く、網膜を栄養しています。
C)虹彩
・虹彩は、色素細胞に富んでいて、色素が多いと黒、褐色といった眼の色になり、少ないと灰色、緑色となり、さらに少ないと青い目になるのです。虹彩には瞳孔散大筋と瞳孔括約筋があります。
D)網膜
・網膜には、感覚細胞である視細胞があって、視細胞には杆状体と錐状体があります。
・網膜には、神経節細胞があり、その線維は有髄神経で髄鞘は乏突起膠細胞が形成しています。
・網膜には、中央にやや濃く見える中心窩があって、やや外側には視神経乳頭があります。中心窩の視細胞は錐状体だけです。視神経乳頭部には、神経節細胞の線維が束となった視神経や網膜中心動静脈が通っています。
E)外眼筋
・眼球の外側には、眼球を動かす外眼筋が付着しています。外眼筋には、上直筋、下直筋、内側直筋、外側直筋、上斜筋、下斜筋があります。
[設問] 血管に富み、網膜を栄養するのはどれか? 一つ選べ。
イ 脈絡膜 ロ 強膜 ハ 硝子体 ニ 毛様体
正解 (イ)
[設問] 網膜の中心窩にある感覚細胞はどれか?
イ 水晶体 ロ 杆状体 ハ 錐状体 ニ 硝子体
正解 (ハ)
[設問] 網膜にある神経節細胞の神経線維の髄鞘をつくっているのはどれか?
イ シュワン細胞 ロ 視細胞 ハ 色素細胞 ニ 乏突起膠細胞
正解(ニ)
人体の構造と機能 第86回(感覚器系) [人体の構造と機能]
13.感覚器系の構造と機能
1)概念
・体外の情報を集め、神経系に情報を送る機能を持っています。
・感覚器官としては、眼球(視覚)、耳(聴覚)、鼻腔粘膜(嗅覚)、舌(味覚)、皮膚(触覚、痛覚、温度覚)、骨格筋の筋紡錘、腱紡錘、関節周囲のルフィニ小体など(深部感覚)があります。
2)感覚系器官の構造と機能
(1)眼球
《構造》
A)眼球の位置
・眼球は、頭蓋骨の眼窩内に納まっています。
B)眼球の構成物
・眼球は眼球壁とその内容物で構成されています。
[設問] 感覚受容器であるルフィニ小体があるのは次のうちどれか?
イ 眼球 ロ 鼻腔粘膜 ハ 内耳 ニ 関節周囲や皮下組織
正解 (ニ)
人体の構造と機能 第95回(神経系の構造と機能)へ ⇒ http://shiratorik-kango.blog.so-net.ne.jp/2013-03-28-1
人体の構造と機能 第85回(運動器系) [人体の構造と機能]
(3)関節
《構造と機能》
・関節は二つの骨からなり、一方が関節頭、もう一方の骨が関節窩をつくっています。関節頭と関節窩の関節面は硝子軟骨(しょうしなんこつ)という関節軟骨に被われています。
・関節腔の滑液は、潤滑液の役目の他に、関節軟骨に栄養を与える役目も担っています。
・関節は、関節包に包まれていて、さらに靭帯で補強されています。
[設問] 関節に関する下記の文で、正しいものを一つ選べ。
イ 関節は、基本的には関節頭と関節窩で構成される。
ロ 関節頭と関節窩の関節面の骨は、そのまま滑液に接している。
ハ 関節腔の滑液は、潤滑液の役目だけを担うものである。
ニ 関節は関節包で包まれ、その上から滑膜が被っている。
正解 (イ)
人体の構造と機能 第84回(運動器系) [人体の構造と機能]
《機能と生理》
A)骨格筋同士の連携
・運動は、協同筋の収縮と拮抗筋の弛緩という合理的な筋群間の連動する活動によって可能となっています。
B)神経・筋連関
・運動神経から神経・筋接合部を介して伝えられる刺激によって骨格筋は収縮します。
・神経・筋接合部で放出されるアセチルコリンは、筋細胞側にある受容体に結合して、筋細胞膜の興奮が起きます。筋細胞膜の興奮は、T管を介して細胞内部に伝わることになります。
C)筋収縮のメカニズム
・筋細胞内に伝わった興奮は、小胞体からのCa2+の放出を引き起こします。
・Ca2+は、アクチンフィラメントにあるトロポニンCに結合し、アクチンフィラメントにあるトロポミオシンが回転することになります。回転が起きると、ミオシンフィラメント頭部の連結橋と結合し、その結果、連結橋にあるATPaseが活性化され、ATP→ADPへの変換が起き、エネルギーが発生し、アクチンフィラメントがミオシンフィラメントの間に滑り込んで収縮がおこります。
[設問] 次の文の( )に入るものはどれか?
神経筋接合部で放出される( )が筋細胞側の受容体に結合して筋細胞膜の興奮が起きる。
イ アドレナリン ロ ノルアドレナリン ハ ドパミン ニ アセチルコリン
正解 (ニ)
[設問] 筋収縮のメカニズムに関する次の文の( )に入るものはどれか?
筋細胞膜の興奮は、筋細胞膜のT管を介して細胞内部に伝わり、小胞体から( )の放出を引き起こす。
イ ナトリウムイオン ロ カリウムイオン ハ カルシウムイオン ニ クロールイオン
正解 (ハ)
人体の構造と機能 第83回(運動器系) [人体の構造と機能]
J)上肢の骨格筋
・肩から上腕骨にかけて三角筋が肩関節を覆っています。
補)三角筋は腋窩神経(えきかしんけい)が支配しています。
・上腕には、烏口腕筋、上腕二頭筋、上腕筋が前面に、上腕三頭筋が後面にあります。
・前腕には、前面に屈筋群、後面に伸筋群、そのほか回外筋と方形回内筋があります。
・手には、母指球の筋群、小指球の筋群、小臀筋があります。
K)臀部の骨格筋
・臀部には、大臀筋、中臀筋、小臀筋があります。
L)下肢の骨格筋
・大腿部には大腿四頭筋があり、大腿四頭筋は大腿直筋、中間広筋、内側広筋、外側広筋からなるものです。
補)大腿四頭筋は、大臀神経支配です。
・大腿の内転筋群には薄筋、恥骨筋、短内転筋、長内転筋、大内転筋があります。
・大腿の屈筋群には、大腿ニ頭筋、半膜様筋、半腱様筋があります。
補)大腿の屈筋群は脛骨神経の支配を受けています。
・下腿には、前脛骨筋、下腿三頭筋(腓腹筋とヒラメ筋)があって、下腿三頭筋は下端がアキレス腱となります。
[設問] アキレス腱をつくるのは、どれか? 二つ選べ。
イ ヒラメ筋 ロ 前脛骨筋 ハ 腓腹筋 ニ 半膜様筋 ホ 薄筋
正解 (イ、ハ)
[設問] 三角筋を支配する神経はどれか?
イ 正中神経 ロ 橈骨神経 ハ 尺骨神経 ニ 腋窩神経
正解 (ニ)
[設問] 大腿四頭筋を構成するのは、次のうちどれか?
イ 中間広筋 ロ 薄筋 ハ 半膜様筋 ニ 半腱様筋
正解 (イ)
人体の構造と機能 第82回(運動器系) [人体の構造と機能]
H)胸部の骨格筋
・胸部の骨格筋は、浅胸筋、深胸筋、横隔膜に分けられます。浅胸筋としては、大胸筋、その下の小胸筋、胸部側面にある前鋸筋、鎖骨下面の鎖骨下筋があり、深胸筋には肋骨挙筋、外肋間筋、内肋間筋、最内肋間筋、肋下筋、胸横筋があります。
I)腹部の骨格筋
・腹部は、外腹斜筋(がいふくしゃきん)、内腹斜筋(ないふくしゃきん)、腹横筋(ふくおうきん)、腹直筋(ふくちょくきん)で覆われています。
[設問] 浅胸筋に属するものはどれか? 一つ選べ。
イ 肋骨挙筋 ロ 外肋間筋 ハ 内肋間筋 ニ 鎖骨下筋
正解 (ニ)
[設問] 以下の筋で最も下層にあるのはどれか?
イ 腹横筋 ロ 内腹斜筋 ハ 腹直筋 ニ 外腹斜筋
正解 (イ)
人体の構造と機能 第81回(運動器系) [人体の構造と機能]
F)頭頸部の骨格筋
・頭頸部の骨格筋には、表情筋として前頭筋、鼻根筋、皺眉筋(しゅうびきん)、眼輪筋(がんりんきん)、笑筋(しょうきん)、口輪筋(こうりんきん)などがあります。
・咀嚼筋(そしゃくきん)として咬筋(こうきん)、側頭筋(そくとうきん)、外側翼突筋(がいそくよくとつきん)、内側翼突筋があります。
・耳後部から前頸部に斜めに走る胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)があり、頸部から肩にかけて僧帽筋があります。
G)呼吸筋
・呼吸筋には、肋間筋と横隔膜あります。
補)肋間筋は肋間神経の支配、横隔膜は横隔神経が支配しています。
[設問] 呼吸筋といわれるのは、次のうちどれか? 二つ選べ。
イ 大胸筋 ロ 浅胸筋 ハ 肋間筋 ニ 横隔膜 ホ 小胸筋
正解 (ハ、ニ)
[設問] 咀嚼筋といわれるのは、次のうちどれか? 二つ選べ。
イ 咬筋 ロ 側頭筋 ハ 口輪筋 ニ 鼻根筋 ホ 笑筋
正解 (イ、ロ)
人体の構造と機能 第80回(運動器系) [人体の構造と機能]
(2)骨格筋
《構造》
A)骨格筋の数
・身体には600余りの骨格筋があります。
B)骨格筋の部位の名称
・体幹に近い始まりの部位(起始)を筋頭(きんとう)、途中が筋腹(きんぷく)、終末の停止部を筋尾(きんび)といいます。筋頭と筋尾は結合識が多くて腱(けん)と呼ばれます。
C)協同筋と拮抗筋
・運動の際、協力して働くものを協同筋、拮抗するものを拮抗筋と呼びます。
D)筋線維、筋原線維と筋膜
・骨格筋は多数の筋線維(筋細胞)からなり、表面は筋膜で包まれています。
・筋線維は、複数の核w持つ大型細胞で、細胞内に筋原線維が内臓されています。
・筋原線維には、収縮蛋白であるアクチンとミオシンが長軸に沿って配列されています。これを顕微鏡でみると横紋状に見えるので、横紋筋と呼ばれています。
E)白筋(はっきん)と赤筋(せっきん)
・骨格筋には白筋と赤筋があって、赤筋にはミトコンドリアが多く、遅い収縮で疲れにくい筋といわれます。白筋は、逆に、速い収縮をしますが、疲れやすい筋といわれています。魚の白身と赤身も同じことです。
[設問] 白筋と比べて、赤筋の特徴と言われるのはどれか? 一つ選べ。
イ ミトコンドリアが少ない
ロ 収縮が速い
ハ 疲れにくい
ニ 骨格筋にある 正解 (ハ)
人体の構造と機能 第79回(運動器系) [人体の構造と機能]
《機能》
A)概略
・身体の支柱としての役割と、重要臓器の収納と防護、神経の運動系の端末である骨格筋と共同での運動器としての役割の他に、Ca2+の貯蔵庫、造血器官としての役割も持っています。
B)頭蓋骨
・頭蓋骨は、脳を収納し、防護する役割をもっています。
C)脊柱
・脊柱は、脊柱管をつくって、その中に脊髄を通して防護する役割をもっています。
・脊柱は、体幹の支柱としての役割も持っています。
・脊柱は、胸郭、骨盤の形成にも関与します。
D)肋骨
・肋骨は胸郭を形成して、胸部臓器を収納し、防護する役割を持っています。
E)骨盤
・骨盤は、腹部臓器を収納して、防護する役割を持っています。
・骨盤は、腰帯部を形成し、下肢と連結する役割を持っています。
F)肩甲骨と鎖骨
・肩甲骨は鎖骨とともに上肢帯をつくり、上肢の骨と連結する役割を持っています。
G)四肢の骨
・四肢の骨は、運動系の端末である骨格筋とともに運動機能の主役となっています。
人体の構造と機能 第78回(運動器系) [人体の構造と機能]
F)肩甲骨と鎖骨
・肩甲骨は扁平な逆3角形で、肋骨の後ろに位置し、肩甲骨の後面上方に肩甲棘(けんこうきょく)があって、その外側が肩峰(けんぽう)です。
・肩甲骨の外側縁は肥厚していて、上腕骨と肩関節をつくっています。
・肩甲骨は鎖骨とともに上肢帯(じょうしたい)をつくっています。
[設問] 上肢帯をつくる骨はどれか? 二つ選べ。
イ 上腕骨 ロ 肋骨 ハ 肩甲骨 ニ 胸骨 ホ 鎖骨
正解 (ハ、ホ)
G)四肢の骨
・上肢には上腕骨、橈骨(とうこつ)、尺骨(しゃっこつ)、手根骨(しゅこんこつ)、中手骨(ちゅうしゅこつ)、指骨(しこつ)があります。
・上肢の上腕部には上腕骨があり、前腕部には橈骨と尺骨があります。
・上腕骨は、上端部で肩甲骨と肩関節をつくります。
・上腕骨の下端部の上腕骨小頭は、橈骨と腕橈関節(わんとうかんせつ)を、上腕骨滑車は尺骨と腕尺関節(わんしゃくかんせつ)を形成しています。
[設問] 腕尺関節をつくるのは次のどれか? 二つ選べ。
イ 尺骨頭 ロ 上腕骨滑車 ハ 上腕骨小頭 ニ 橈骨頭 ホ 尺骨滑車切痕
正解 (ロ、ホ)
・手根骨には、舟状骨(しゅうじょうこつ)、月状骨(げつじょうこつ)、三角骨、豆状骨(ずじょうこつ)、大菱形骨(だいりょうけいこつ)、小菱形骨(しょうりょうけいこつ)、有頭骨(ゆうとうこつ)、有鈎骨(ゆうこうこつ)があります。
[設問] 手根骨に属するものを一つ選べ。
イ 中手骨 ロ 指骨 ハ 月状骨 ニ 立方骨
正解 (ハ)
・下肢には、大腿骨、膝蓋骨(しつがいこつ)、脛骨(けいこつ)、腓骨(ひこつ)、足根骨(そくこんこつ)、中足骨(ちゅうそくこつ)、趾骨(しこつ)があります。
・大腿部には、大腿骨があり、上端で寛骨臼と股関節をつくっています。
・下腿部には、脛骨と腓骨があり、脛骨は下腿の内側に位置し、上端で腓骨と脛腓関節(けいひかんせつ)をつくっています。
・足根骨には、距骨(きょこつ)、踵骨(しゅうこつ)、舟状骨、内側楔状骨(ないそくきつじょうこつ)、中間楔状骨、外側楔状骨、立方骨があります。踵骨は、足根骨の中で、最大のもので、アキレス腱が付着します。