在宅看護論(11 )(在宅における生活支援の方法と技術) [在宅看護論]
3)清潔
(1)清潔のアセスメント
(2)入浴
・ できる限り入浴させるべきであるが、全身状態、入浴に対するニーズ、身体的負担を考慮して決めます。入浴が困難と思われる場合は、部分浴で対応します。
・ 入浴の過程では、まず浴室への移動です。療養者のADLを考慮して、歩行、車椅子移動、シャワーキャリーの使用などから移動法を選択します。
・ 療養者のADLと浴室の構造上、入浴が無理な場合は、住宅改造、入浴リフト、訪問入浴サービスの利用など社会資源の利用を考慮します。
・ 入浴用の椅子やシャワーチェアーなど入浴補助用具も活用し、自分でできるところは自分でしてもらうようにしながら援助していきます。
・ 浴室での自己を防ぐため、浴槽に手すりをつけたり、腰掛け板を利用したり、滑り止めマットを使ったりと、安全面にも気を配ります。
・ 入浴時間は10〜15分程度の短時間とし、入浴後は水分補給、爪のケアなど実施します。
(3)清拭
・ 全身状態、治療方針などから入浴ができない時は、清拭を行います。
・ 清拭には、全身清拭と部分清拭があり、療養者の疲労度などをみながら全身か部分かを決めて行います。
・ 在宅での清拭では、自宅のタオルを使い、お湯や電子レンジで蒸しタオルをつくるなどして行い、療養者にも自分でできるところは自分でやってもらうようにします。
・ 不必要な露出はできる限りさけてプライバシーに配慮する必要があります。
・ 訪問看護師が一人ではできないような場合、家族やヘルパーと一緒に行って清拭を指導します。
(4)足浴
・ 部分浴の一つで、爽快感は提供できます。
・ 足に白癬などがある場合は、看護者はゴム手袋を着用し、看護者への2次感染を防止します。 また、療養者が通所介護などの社会資源を利用している場合は、処置方法を通知し連携を図り、他の事業所のスタッフなどへの2次感染を防止します。
・ 足浴で使う防水シートは、ゴミ袋やピクニックシートで代用することもできます。
(5)口腔ケア
・ 口腔ケアは、う歯や歯周病を予防し、口腔内が清潔となり、その結果肺炎の予防にもつながります。
・ 義歯の装着があればはずしてもらい、口腔内はうがいで洗浄し、歯肉用歯ブラシで歯肉をブラッシングし、綿棒、スポンジなども使って口腔全体をケアします。
・ 口腔ケアは、療養者が安楽で安全な体位で行い、うがいが不可能な場合は吸引しながら行います。
・ う歯や歯周病がある場合は、訪問歯科診療サービス導入を考慮し、訪問歯科医や歯科衛生士と連携し、最適な口腔ケア方法と用具について検討します。
[設問] 在宅療養者の入浴に関して正しいものを一つ選べ。
イ 入浴は療養者のQOLを高めるので、マンパワーを動員してでも行うようにする。
ロ 療養者の浴室への移動では、ADLに関係なく、安全を考慮して車椅子移動で行う。
ハ 入浴中は、安全第一で、介護者と看護者がすべて対処するようにする。
ニ 入浴時間は10~15分程度の短時間とする。
正解 (ニ)