在宅看護論(13 )(在宅における医療管理を必要とする人と看護) [在宅看護論]
5.在宅における医療管理を必要とする人と看護
1)在宅医療と社会制度
(1)在宅医療と診療報酬制度
・ 在宅医療を推進することは、在院日数の短縮、医療機関の機能分化・連携の推進と並ぶ、我が国の医療体制の主要な課題となっています。
・ 医師の訪問診療において算定できる診療報酬には、「寝たきり老人在宅総合診療料」 「在宅療養指導管理料」 などがあります。 「在宅療養指導管理料」 には、在宅自己注射指導管理料、在宅自己腹膜灌流指導管理料などの医療行為を指導・管理する点数が含まれています。
・ 訪問看護ステーション、病院・診療所が行う訪問看護は、「医療保険で行う場合」 [介護保険で行う場合] があり、各々で報酬・利用者負担が異なっています。
(2) 訪問看護師の医療行為
・ 訪問看護は、主治医の指示によるもので、訪問看護指示書の内容に沿ってケアや医療処置が行われます。
・ 訪問看護において看護師が行うことができる医療行為は、保健師助産師看護師法に規定されている 「診療の補助」 となっています。
・ 具体的には、人工呼吸法、中心静脈栄養療法(IVH)、経管栄養法、膀胱留置カテーテルなどに関する医療処置があり、静脈注射も含まれます。
・ 訪問看護は、施設内看護と違い、高度な判断力と知識・技能が求められ、医師との緊密な連携が重要となります。
2)薬物療法
(1)服薬状況の把握
・ 療養者・家族が適切に服薬管理できるよう援助します。
・ 服薬の状況、副作用の有無、重複投与の有無、配合禁忌、投与薬剤に影響する飲食物、などのチェックが必要です。
・ 小児の場合、体重から投与量が計算されるので、定期的な体重測定が必要となります。
・ 高齢者の場合、肝・腎機能が低下しているため副作用が出やすくなっています。また、服用も忘れることが多くなります。そのため、1回量包裝調剤をされることが多くなります。
・ 薬の飲み忘れがある場合は、服薬カレンダーの活用が有効なこともあります。
(2)医師および薬剤師との連携
・ 訪問看護師は、薬剤の効果や副作用、服薬管理に関する問題等について、医師や薬剤師と連携・協同して、安全で効果的な服薬ができるよう援助します。
・ 医療保険・介護保険では、薬剤師による訪問服薬指導(薬剤師居宅療養管理指導)が制度化されています。 これは、医師の許可と療養者もしくは介護者の希望のもと、居宅において在宅医療を受けている療養者宅を訪問し、服薬指導をするというサービスです。
[設問] 訪問看護に関する正しい文を一つ選べ。
イ 訪問看護は、看護師が独自におこなうものでケアや医療処置を行う。
ロ 訪問看護において看護師が行うことができるものは、保険師助産師看護師法に規定されない。
ハ 訪問看護で行う具体的なこととして、静脈注射も含まれる。
ニ 訪問看護は、看護師が独自に行うので、医師との連携は必要ではない。
正解 (ハ)
[設問] 高齢者は服薬がいい加減になりやすいので、よく行われる対処法はどれか? 一つ選べ。
イ 一回量包装調剤 ロ 隔日投与 ハ 薬剤粉砕による投与 ニ 約束処方
正解 (イ)
在宅看護論(19) (在宅療養者の状態別看護)へ ⇒ http://shiratorik-kango.blog.so-net.ne.jp/2013-06-11-1