在宅看護論(8)(在宅看護の特徴) [在宅看護論]
5)チームケアの重要性
(1)在宅チームケアの意義
・ 療養者・家族のニーズは生活全般にわたっており、多様です。それに応えるには保健・医療・福祉の専門職、地域住民、ボランテイアなど多くの人の参加と協力によるチームケアが必要となります。
(2)他職種との連携・協同
・ 地域で療養する人を支える職種としては、医師、歯科医師、歯科衛生士、保健師、看護師、助産師、介護支援専門員、薬剤師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、医療ソーシャルワーカー、精神保健福祉士、ホームヘルパー、社会福祉士などがあります。
・ 連携とは、異なる組織や職種が1つの目標に向かって、互いに連絡を取り協力し合うことで、協同とは同じ目標に向かって協力して働くことです。
・ ケアチームのメンバーは、ケアの目標や療養者・家族の状況についての情報を共有していくことが重要です。
・ 情報を共有し、サービスの調整・統合を図っていく方法として、療養者の居宅に連絡ノートを設置して各々のサービス提供時に記入する、電話で相談・報告する、必要時にはカンファレンスを開催するなどの方法があります。
6)ケアマネジメントと看護の役割
(1)ケアマネジメントの概念
・ ケアマネジメントとは、療養者・家族のニーズに応じて必要なサービスを調整することであるが、広義には既存のサービスを改善する、必要なサービスを開発するなど地域の包括的なケアシステムの構築までもが含まれることもある。ケースマネジメント、ケアコーデイネーションは、類義語、同義語です。
・ ケアマネジメントが目指すものは、療養者・家族が社会資源を効果的に活用することで、QOLの高い自立した生活を送れるよう援助することです。
(2)ケアマネジメントの過程
(3)社会資源の利用
・ 社会資源とは、生活上の諸要求の充足や問題解決を目的として、利用できる各種の制度・施設・機関・団体および人々の知識、技術などの物的・人的諸要素を総称したものです。
・ 社会資源をその供給主体からみると、行政や社会福祉協議会などの営利を目的としない機関、民間の企業、および地域の組織や団体によって提供される 「フォーマルな社会資源」 と家族や親戚、友人、近隣、ボランテイアによって提供される 「インフォーマルな社会資源」 に分類できます。
・ 援助者は、療養者の居住地域の社会資源について内容や、利用者負担額、手続きの方法などの詳細を知っておく必要があります。
・ 社会資源の利用についての最終的な意思決定は、療養者・家族が行うため、援助者は療養者・家族の望む生活を把握し、それを支える社会資源の内容や利用条件を明確に提示します。
(4)サービスの調整
・ 療養者・家族に多様な関係機関や職種が関わっている場合、各サービス提供者がばらばらにサービスを提供するのではなく、連携・統合した形での提供が重要です。
・ そのためには、ケアチームの中でケアマネジメントを行う担当者(ケアマネジャー)を明確にする必要があります。
・ サービスの調整は、 療養者・家族が初めてサービスを活用する場合、 モニタリングの結果、療養者・家族の状況が変化した時、 ニーズが充足されていないことが発見された場合 に行います。
・ 調整するのは、サービスケアの内容、サービスの利用回数・時間・曜日、サービス提供者の役割分担などです。ケアマネジアーは、療養者・家族のニーズを各サービス提供者に正確に伝え、意見交換しながらこれらの調整にあたります。
・ サービス調整の場として、カンファレンスを開けば、専門職、ボランテイアなど関係者が情報を共有することができて、良好なチームワークを構築する機会ともなります。
(5)介護保険との関連
・ 介護保険制度では、法律で制度化された介護支援専門員がケアマネジャーとしての役割を果たすことになります。
・ 介護保険制度における「ケアマネジメント」は、対象者が要支援または要介護認定を受けた人に限定され、利用できる社会資源も介護保険制度の中で規定され、本来の「ケアマネジメント」の概念より狭いものとなっています。
・ 介護支援専門員は、定期的に利用者と面接を行い、居宅サービス計画の立案時やその他適宜サービス担当者会議を開き、利用者の状態の把握とサービスの調整、評価を行っていきます。
[設問] 在宅チームケアについて正しい説明を一つ選べ。
イ チームケアを行うためには、チーム内での対等な協力関係が必要である。
ロ チームケアでは、専門職に限った連携が必要となる。
ハ チームケアのメンバーが療養者の情報を共有することは重要ではない。
ニ チームケアのメンバーには原則として医師は入らない。
正解 (イ)
[設問] 狭義のケアマネジメントとは何か? 最もふさわしいものを以下より選べ。
イ 医療機関からの情報の入手
ロ 療養者と家族へのサービスの調整
ハ 訪問看護ステーションへの紹介
ニ 療養者の苦情処理 正解 (ロ)