成人看護学(1)(成人の特徴) [成人看護学]
1. 成人の特徴
1)生涯発達の特徴
(1)身体の発達と衰退
・ 青年期の死亡原因の上位は不慮の事故と自殺です。
・ 30代から45歳くらいまでを壮年期といい、それ以降60歳くらいまでを中年期といいます。 また、壮年期、中年期を合わせて中年期、成人期と呼ぶ場合もあります。 60歳から65歳くらいまでを向老期といいます。
・ 視力は30歳くらいから低下し、40歳過ぎからは近くを見るための機能が落ち老眼となります。
・ 呼吸機能を示す肺活量は20歳頃ピークに達し、30歳以降急激に低下します。
(2)心理社会的発達
・ 中年期は社会的・市民的責任を最も大きく期待される時期です。
・ 多くは青年期に結婚し、壮年期では子育て、中年期で子供が成人する時期にあたります。
・ 壮年期では、生活行動様式と意識の多様性が現れます。
(3)性的自己の発達
・ 思春期では、第2次性徴が発現し、性器の発育や性機能の成熟がおこります。 女子では皮下脂肪が増加し、体全代に丸みが生じ、骨盤は拡大し、乳房は発達し、月経が始まります。
・ 壮年期以降、性機能は徐々に低下します。 女性では女性ホルモンの分泌が減少し、月経が停止し閉経となります。
・ 更年期とは、卵巣機能が衰退し始めてから停止する時期をいい、50〜51歳の閉経をはさんだ前後10年くらいの期間をいいます。
・ 更年期障害とは、更年期の女性におこる自律神経失調症を中心とするさまざまな症状からなる症候群のことです。
・ 生物学的な男女の区別とは別に、社会文化的につくられる男らしさ、女らしさをジェンダーといいます。
・ セクシュアリテイとは、生物学的な性だけでなく、心理・社会的側面も包括し、性を通して人間を全体的にとらえようというものです。
[設問] 向老期とは次のどれか?
イ 45~50歳 ロ 50~55歳 ハ 55~60歳 ニ 60~65歳
正解 (ニ)
[設問] 肺活量がピークに達するのは次のどれか?
イ 15歳 ロ 20歳 ハ 30歳 ニ 35歳 ホ 40歳 正解 (ロ)
[設問] EHエリクソンのいう「モラトリアム期間」とは次のどれか?
イ 13~20歳くらい
ロ 20~25歳くらい
ハ 25~30歳くらい
ニ 30~35歳くらい 正解 (イ)
[設問] 生物学的な男女の区別とは別に、社会文化的につくられる男らしさ、女らしさを何と呼ぶか?
イ フェミニズム
ロ ジェンダー
ハ レイシズム
ニ セクシュアリズム 正解 (ロ)
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在宅看護論(23)(在宅療養者の状態別看護) [在宅看護論]
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5)生活自立困難者
(1)自立度のアセスメント
・ 日常生活動作(ADL)の他に、手段的日常生活動作(IADL)に関するアセスメントが重要です。
・ 療養者および家族の生活能力やセルフケア能力についてのアセスメントを行うとともに、住居や周辺地域などの環境にも目を向け、自立を阻害する要因がないかについてのアセスメントも行います。
・ 費用負担の面からサービス導入の困難さが生じている場合もあるので、経済面からのアセスメントも重要です。
・ 1人暮らしで家族の支援がない場合、家事の負担、緊急時の不安などがあることが多く、心理的側面からのアセスメントを行います。
(2)人間関係の調整
・ QOLを維持・向上させるためには、社会との交流が重要な要素となります。
・ 閉じこもりは、1人暮らしの高齢者の場合、認知症や寝たきりにつながることにもなります。
・ 家族に問題が生じている場合、家族関係の調整が必要となります。
・ 様々なサービスを利用している場合は、関係機関の連携・協同のためのチームづくりが求められます。
(3)社会資源の活用
・ 介護サービスの基盤強化のために介護保険法が一部改正され、介護予防・日常生活支援総合事業が創設されました。 これは、要介護認定において「要支援」と「非該当」を行き来するような高齢者に対して、切れ目のない総合的なサービスを提供することを可能とします。