成人看護学(12)(障害への適応と社会復帰への看護) [成人看護学]
8.障害への適応と社会復帰への看護
1)障害受容への援助
(1)障害受容と価値の変換
・ 障害受容過程としては、コーンやフィンクの危機モデルにデンボとライトによる障害の価値転換理論を組み合わせて理解する方法がよく用いられています。
・ 価値転換理論では身体障害を不幸と位置づけ、不幸を「価値あるものの喪失または欠損」と説明し、障害者がこの不幸から立ち直るには価値観の転換が必要だとしています。
(2)障害受容への影響因子
・ 障害受容には、「障害の程度と性質」 「障害前性格」 が大きく影響するといわれています。
・ 障害受容を阻害する障害前性格として、「身体的関心が強い」 「物事にこだわる」 「過度に依存的」 「余裕がない」「強迫的」が挙げられます。
・ 内部障害者(内臓の障害)に比べ、身体障害者は障害受容がよくないといわれています。
・ 障害の重症や障害による疼痛、異常感覚の持続は、障害受容を阻害します。
・ 障害受容はバランスのとれた自我の強さがあると促進されます。
(3)障害受容の段階に応じた援助
・ ショック状態
・ 回復への期待の段階
・ 悲嘆の段階
・ 防衛の段階
・ 最終適応では、将来の見通し、リハビリテーションや社会資源などの情報提供を積極的に行っていきます。
[設問] コーンの危機モデルでの障害を受容適応するための正しい過程を選べ。
イ ショック → 回復への期待 → 悲嘆 → 防衛 → 最終適応
ロ ショック → 悲嘆 → 回復への期待 → 防衛 → 最終適応
ハ ショック → 防衛 → 悲嘆 → 回復への期待 → 最終適応
ニ ショック → 悲嘆 → 防衛 → 回復への期待 → 最終適応
正解 (イ)
[設問] 障害受容を阻害する障害前性格は次のどれか? 二つ選べ。
イ 身体的関心が強い。
ロ 物事にこだわらない。
ハ 自立的
ニ 強迫的
ホ 余裕がある。 正解 (イ、ニ)
[設問] 障害受容の「回復への期待」の段階での援助で正しいものを一つ選べ。
イ 温かい誠実で思いやりの態度で付き添い、見守る。
ロ 軽率な励ましはせず、正しい情報を提供して情緒的サポートを行う。
ハ 十分嘆き悲しむことができるよう感情表出を促す。
ニ ささやかな成功に対しても称賛するようにする。 正解 (ロ)
成人看護学(14) (慢性的な経過をたどる健康障害への看護)へ ⇒ http://shiratorik-kango.blog.so-net.ne.jp/2013-06-27