成人看護学(6)(成人の特性や能力に応じたアプローチ) [成人看護学]
3.成人の特性や能力に応じたアプローチ
1)自立した存在
(1)セルフケア能力
・ オレムは、「セルフケアとは個人が生命、健康および安寧を維持する上で、自分自身のために積極的に行う実践である」と述べています。
・ セルフケアを可能にする条件・要因として 「セルフケアをやりたいという欲求を認識する力」 「セルフケアを行うための知識と技能」 「やりとげようとする動機づけ」 「決定し実行に移すこと」 「継続すること」 「状況を見極め判断する能力と柔軟に対応する能力」 「セルフケアをやる場合に自分と家族と地域生活の関連する面を調整する能力」 が挙げられます。
・ セルフケア行動への動機づけに関わる要因として 「保健信念の形成」 「保健感覚の形成」 「保健規範の形成」 があります。
(2)自己効力感
・ 自己効力感とは、心理学用語で、ある目標を達成するための能力が自分にはあるという感覚のことで、カナダ人心理学者バンデユーラが提唱したものです。
・ 自己効力感を生み出す源泉となるのは、「達成経験」 「代理体験」 「言語的説得」 「生理的情緒的高揚」 とされます。
2)独自の信念や行動パターンを持つ存在
(1)コンプライアンスの促進要因
・ コンプライアンスとは、患者が医療などの専門家から健康のために必要だと勧められた指示や指導に従うことを意味し、指示を守らないことをノンコンプライアンスといいます。
・ コンプライアンスの促進要因としては、「医療者による十分な説明と情報の提供」 「信頼関係の樹立」 「患者に合った実行可能な方法」 「経済的負担の軽減」 があります。
(2)成人教育の原理
・ ノールズは成人学習の特色を挙げていますが、それは「目的がはっきりしている」 「自己指導性がみられる」 「それまでの経験が学習資源となる」 「学習の準備状態、つまりレデイネスに達している」 「実用的なものを望む」 「動機は満足感を得ることである」 というものです。
3)家庭・職場で責任ある役割を担う存在
(1)役割葛藤、役割交代
・ 人間は、発達の段階に応じて役割の変化を体験し、適応していきます。そのことを役割交代といいます。
[設問] 心理学用語「自己効力感」を提唱したのはだれか?
イ セリエ ロ バンデューラ ハ ノ―ルズ ニ マズロー
正解 (ロ)
[設問] 自己効力感を生みだす源泉の一つで、「誰かが何かを達成するのを観察する」のは次のどれか?
イ 達成体験 ロ 代理経験 ハ 言語的説得 ニ 生理的情緒的高揚 ホ 想像的体験
正解 (ロ)
[設問] 患者が医師の指示や指導に従わないことを何というか?
イ コンプライアンス ロ ノンコンプライアンス ハ コンペティション ニ インフォームドコンセント
正解 (ロ)
成人看護学(7) (健康の保持・増進、疾病の予防に向けた看護)へ ⇒ http://shiratorik-kango.blog.so-net.ne.jp/2013-06-20