疾病の成り立ちと回復の促進 第54回(薬剤) [疾病の成り立ちと回復の促進]
e) ホルモン、ホルモン拮抗薬
ア) 糖質コルチコイド
・ プレドニソロンが最も使われます。
イ) 性ホルモン
・ アンドロゲンは乳癌に、エストロゲンは前立腺癌に、プロゲステロンは子宮癌に使われます。 LH-RH誘導体の徐放製剤であるリュープロレリンは乳癌、前立腺癌の両方に使われます。
ウ) 性ホルモン拮抗薬
・ エストロゲン受容体の部分アゴニストであるタモキシフェンは、乳癌や子宮癌の治療に使われます。
・ アンドロゲン受容体のアンタゴニストであるフルタミドは、前立腺癌に使われます。
f)生体応答修飾物質(BRM)
ア) インターフェロン(IFN)
・ アルキル化薬とともに慢性骨髄性白血病に使われます。
・ 多発性骨髄腫では長期的寛解を持続させるためにインターフェロンαが使われます。
イ) インターロイキン-2(IL-2)
・ 腫瘍細胞に対するT細胞の反応を誘導、増強します。
・ 進行した悪性黒色腫、腎細胞癌に使われます。
ウ) フィルグラスチム(遺伝子組み換えG-CSF)
・ 癌の化学療法などでおこる顆粒球減少を予防、治療するために投与されます。
エ) サルグラモスチム(遺伝子組み換えGM-CSF)
・ 急性骨髄性白血病の化学療法導入による白血球減少の治療に使われます。
g)分子標的治療薬
ア) イマチニブ
・ 腫瘍細胞の細胞増殖と生存に不可欠なチロシンキナーゼを抑制します。
・ 単独で慢性骨髄性白血病に使われ、顕著な寛解能を示します。
イ) ゲフィチニブ
・ 上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害薬で、癌細胞の増殖に関与するシグナル伝達を遮断します。
・ 非小細胞肺癌、頭頸部扁平上皮癌などに有効です。
ウ) モノクローナル抗体
・ ヒト化マウス単クローン抗体、トラスツズマブ、リツキシマブが、乳癌、B細胞リンパ腫に使われます。
エ) その他
・ L-アスパラギナーゼ: 急性白血病,悪性リンパ腫などに使われます。
・ ヒドロキシ尿酸: 悪性黒色腫、慢性骨髄性白血病に使われます。
・ ミトタン: 副腎皮質腫瘍に使われます。
・ トレチノイン: 急性前骨髄球性白血病に使われます。
[設問] 乳癌に使われる性ホルモン拮抗薬は次のどれか? 一つ選べ。
イ プレドニソロン
ロ アンドロゲン
ハ タモキシフェン
ニ フルタミド 正解 (ハ)
[設問] 前立腺癌に使われる性ホルモン受容体アンタゴニストは次のどれか? 一つ選べ。
イ プレドニソロン
ロ タモキシフェン
ハ アンドロゲン
ニ フルタミド 正解 (ニ)
[設問] 乳癌と前立腺癌の両者に使われることのあるものは次のどれか? 一つ選べ。
イ アンドロゲン
ロ エストロゲン
ハ リュープロレリン
ニ プロゲステロン 正解 (ハ)
[設問] 多発性骨髄腫の維持療法に使われるのはどれか? 二つ選べ。
イ プレドニソロン
ロ インターフェロン
ハ メトトレキサート
ニ ブスルファン
ホ ブレオマイシン 正解 (イ、ロ)