疾病の成り立ちと回復の促進 第44回(薬剤) [疾病の成り立ちと回復の促進]
f)血液凝固抑制因子
ア) アンチトロンビン(抗トロンビン)
・ 活性化された凝固因子Iia、Xa、IXa、Xia、XIIa因子などの活性を失わせます。
イ) ヘパリン
ウ) ワルファリン
・ ワルファリンはビタミンKに拮抗し、ビタミンKの存在を必要とする複数の凝固因子の生成を抑えます。
エ) ヒルジン
・ 抗トロンビン作用を持ちます。
オ) アルガトロバン
・ 脳梗塞急性期の治療に使われます。
カ)ダビガトラン: トロンビンの競合阻害作用を持っています。
キ)エンドキサバン、リバーロキサバン、アビキサバン: トロンビンの活性化を促進する第Xa因子を阻害します。
g)血栓溶解薬
ア) プラスミノーゲンアクチベータ
・ ウロキナーゼ: プラスミノーゲンからプラスミンを生成します。
・ ナサルプラーゼ: ウロキナーゼの不活性型前駆物質
・ 組織プラスミノーゲンアクチベータ(t-PA): 脳梗塞超急性期の治療薬
h) 止血薬
ア) ビタミンK: ワルファリンの拮抗薬
イ) 血漿凝固因子: 第VIII因子(血友病A使う)、第IX因子(血友病Bに使う)、乾燥ヒトフィブリノーゲンがあります。
ウ) トロンビン、組織トロンボプラスチン: 出血性疾患、出血性潰瘍、手術時に使います。 静注は禁忌。
エ) 抗プラスミン薬: イプシロン-アミノカプロン酸、トラネキサム酸など
オ) 外用止血薬: アルギン酸ナトリウム、酸化セルロース、ゼラチン、蜜蝋があります。
カ) セリンプロテアーゼ阻害薬
[設問] ワ―ファリンは何に拮抗して凝固因子の生成を抑えるのか?
イ ビタミン A
ロ ビタミン B1
ハ ビタミン C
ニ ビタミン K 正解 (ニ)
[設問] ワ―ファリン服用中の患者で、その効果をみるためにされる検査項目は次のどれか?
イ 出血時間
ロ プロトロンビン時間
ハ 凝固時間
ニ 活性化部分トロンボプラスチン時間 正解 (ロ)
疾病の成り立ちと回復の促進 第43回(薬剤) [疾病の成り立ちと回復の促進]
G)血液および造血器に作用する薬剤
a) 造血因子
ア)エリスロポイエチン
・ 赤血球産生を刺激する糖蛋白であり、ホルモン、サイトカインです。
・ 腎性貧血や自己血輸血のための採血の際に使われます。
イ)顆粒球コロニー刺激因子
・ 好中球前駆細胞の分化・増殖促進作用を持つ、糖蛋白のサイトカインです。
・ 骨髄移植や癌化学療法や再生不良性貧血に伴う好中球減少症に使われます。
ウ) マクロファージコロニー刺激因子
・ ヒト単球系前駆細胞に作用して、その分化・増殖を促進し、単球とマクロファージからなるコロニーを形成させるサイトカインです。
b)鉄欠乏性貧血治療薬: 吸収されやすいFe2+が硫酸第一鉄の形でフィルムで覆った鉄剤が内服で使われます。
c)巨赤芽球性(きょせきがきゅうせい)貧血治療薬: ビタミンB12の注射剤
d)鉄芽球性(てつがきゅうせい)貧血治療薬: ビタミンB6製剤
e) 抗血小板薬: 脳梗塞治療薬、予防薬として使われます。
ア) アスピリン
・ 血小板のトロンボキサンA2(TXA2)生成抑制を期待して使われます。
イ) クロビドグレル
・ 比較的新しい薬剤です。 血小板の活性化を抑制し、血小板の凝集を抑制します。 また、フィブリノーゲンが結合するのを抑制する作用も持っています。
ウ) チクロピジン
・ 血小板凝集と顆粒放出を抑制します。 血小板減少性紫斑病、無顆粒球症および重篤な肝障害などの副作用がおこることがあります。
エ) ジピリダモール
オ) シロスタゾール
・ 抗血小板作用と血管拡張作用を示します。
カ) プロスタサイクリン誘導体
・ 抗血小板作用と血管拡張作用を示します。
キ) オザグレル
・ 脳梗塞急性期に使われます。
[設問] 腎性貧血に使われるものを二つ選べ。
イ エリスロポイエチン
ロ 顆粒球コロニー刺激因子
ハ マクロファージコロニー刺激因子
ニ 鉄剤
ホ ビタミンB12 正解 (イ、ニ)
[設問] 抗血小板薬を二つ選べ。
イ ワーファリン
ロ アスピリン
ハ シロスタゾール
ニ へパリン
ホ ウロキナーゼ 正解 (ロ、ハ)