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基礎看護学(17)(基本的日常生活援助技術) [基礎看護学]

6)活動・運動の援助技術

(1)活動・運動の能力のアセスメントと援助方法

・ 人間は本来、活動と休息、覚醒と睡眠という生体リズムを持ち、疲労やエネルギー消耗を回復させています。

・  活動・運動能力は、患者の疾患や安静の程度、治療、日常生活の自立度、関節可動域、疼痛の有無、年齢などの身体的側面と、身体を動かすことに対する気持ちや意識、意思をうまく伝えられないなどの精神・心理的側面の影響を受けます。

・ 姿勢によるエネルギー消費は、立位→座位→臥位の順に低くなるため、立位が最も疲れやすいことになります。

立ちくらみ.png

・ 自分で運動できない人には、関節拘縮を予防する目的で他動的に運動が必要です。

(2)体位交換

・ 声かけをしながら静かに患者の体位を変換し、ベッドの中央部に位置するように、安定させます。

・  患者の基底面積が小さくなるほどベッドとの摩擦が小さくなり体位変換がしやすくなります。

・  側臥位にした時には、患者の腰と膝を曲げ基底面積を広くとり、安定した体位にします。

側劾.png

・  ファウラー位では、上半身がずり落ちやすいためベッドの足元を少し上げるか、枕を膝下に挿入します。

・ ベッドと患者の身体の生理的湾曲の空間に枕と補助用具を用いることで姿勢は安定します。

・ 良肢位を保ち、衣服や寝具のしわによる圧迫を防ぐようにします。

・ 麻痺側や点滴部位が圧迫されないようにします。

・ 患者の安全・安楽を考慮して無理をせず、適正な看護者の人数を確保するよう心がけます。

(3)床上移動

・ 自分から遠くへ患者を移動させるより、自分の方へ移動させる方が力は少なくて済みます。

シーツ移動.png

(4)車椅子への移動・移送

・ 車椅子への移動・車椅子からの移動では、必ず車椅子のブレーキをかけるように心がけます。その後は、フットレストを上げ、患者の移動が最小ですむような位置に車椅子を配置します。

・ 片麻痺がある患者の場合、車椅子の移動する際は、健側に車椅子を配置します。

・ 移送時にはフットレストに足を乗せ、タイヤ部分に上肢が当たらないように注意しながら静かに進みます。

・ 車椅子で急な下り坂を下る時は、蛇行して進むか、後ろ向きに下ります。

(5)輸送車への移動・移送

・ 輸送車(ストレッチャー)への移動・輸送車からの移動では、必ずブレーキ(ストッパー)をかけておきます。

・ ベッドと輸送車間の移動では、平行に配置します。

・ 輸送車での移送時には、患者の頭部が下肢よりも下がらないように注意します。

(6)レクリエーション

・ レクリエーションは闘病意欲を高め、治療によい作用をもたらすといわれています。

・ 入院中に行われるレクリエーションは限界がありますが、読書や編み物、散歩、囲碁、将棋、四季の行事や音楽会などは、気分転換や生きる意欲を高めます。

[設問] 床上安静の人が急に立位になった時に、起きやすいのは次のどれか? 一つ選べ。

イ 貧血

ロ 高血圧

ハ 顔面紅潮

ニ 起立性低血圧           正解 (

[設問] 体位交換に関する正しい説明は次のどれか? 一つ選べ。

イ 患者の体位は看護者側のベッドの端に位置するように安定させる。

ロ 患者の基底面積は大きいほど、体位交換はしやすくなる。

ハ 側臥位にしたときは、患者の腰と膝を曲げ、基底面積を広くとって、安定した体位にする。

ニ 体位交換は、患者のプライバシーを守るため、多少負担があっても一人の看護者が行うようにする。

                             正解 (

[設問] 車椅子への移動・移送について正しい記述を一つ選べ。

イ 車椅子への移動では、必ずブレーキをかける。

ロ 片麻痺がある患者では、患側に車椅子を配置する。

ハ 車椅子で急な下り坂を下りるときは、前向きに下る。

ニ 車椅子で下り坂を下りるときは、蛇行してはならない。     正解 (

[設問] ベッドとストレッチャー間の移動の場合、両者の配置は次のどれがよいか?

イ 直角にする。

ロ 平行にする。

ハ 45度の斜めに配置する。

ニ どの配置でもかまわない。       正解 (