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疾病の成り立ちと回復の促進 第46回(薬剤) [疾病の成り立ちと回復の促進]

b) 視床下部ホルモンと脳下垂体ホルモン

ア) 視床下部ホルモン

・ ソマトスタチン: 成長ホルモン放出を抑制、甲状腺刺激ホルモン、グルカゴン、インスリン、ガストリンの放出を抑制します。 末端肥大症(まったんひだいしょう)(GH分泌亢進)の治療に使われます。 製剤としては酢酸オクトレオチドが使われています。

イ) 下垂体前葉ホルモン

・ 成長ホルモン(GH): 視床下部ホルモンGRH(成長ホルモン放出ホルモン)により上昇し、ソマトスタチンにより低下します。 下垂体小人症(かすいたいしょうにんしょう)(成長ホルモン分泌不全)の治療に使われます。 製剤としてはヒト成長ホルモン、ソマトロピン(遺伝子組み換え)が使われます。

ウ) 下垂体後葉ホルモン

・ 抗利尿ホルモン(ADH): 視床下部で産生され下垂体後葉で分泌されるホルモンで、尿崩症の治療に使われます。 製剤としては、バゾプレシン、酢酸デスモプレシンが使われます。

ADH.png

・ オキシトシン: 視床下部で産生、下垂体後葉で分泌。陣痛誘発(じんつうゆうはつ)に使われます。

c)副腎皮質ホルモン

ア)副腎皮質刺激ホルモン

・ 副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)は、ACTH受容器に結合し、副腎皮質ホルモンの産生と分泌を高めます。

イ)糖質コルチコイド

・ 糖質コルチコイドは、炎症反応と免疫反応を抑制して、防御作用を果たします。

・ 副作用として、クッシング症候群(易(い)感染、満月様顔貌、野牛肩、耐糖能異常、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)など)がおこります。

グルココルチコイド.png

ウ)鉱質コルチコイド

・ Na+、水の保持、K+の排泄(血圧上昇、浮腫、低カリウム血症)

[設問] 末端肥大症に使われるものはどれか? 一つ選べ。

イ 成長ホルモン

ロ バゾプレッシン

ハ オキシトシン

ニ ソマトスタチン      正解 (

[設問] 糖質コルチコイドの副作用を二つ選べ。

イ 消化性潰瘍   ロ 低カリウム血症   ハ 骨粗鬆症  ニ 末端肥大症  ホ 尿崩症

                 正解 () 


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疾病の成り立ちと回復の促進 45回(薬剤) [疾病の成り立ちと回復の促進]

H)ホルモン剤、内分泌疾患治療薬

a) 糖尿病治療薬

ア) インスリン

インスリンの投与法.png

・ 超速効型: インスリンリスプロは、通常の結晶インスリンの約2倍の速度で血液循環に入ります。作用発現は15分以内で、最大作用時間も短く、作用持続も4,5時間くらいです。 インスリンアスパルト、インスリンリスプロ、インスリングルリジンがあります。

・ 速効型: レギュラーインスリン注射液は、速効型で、高血糖性昏睡での緊急時に点滴にて静脈内に注入します。 作用発現には30分から1時間くらいを要し、作用は5~8時間くらい持続します。

・ 中間型: NPHインスリン(イソフェンインスリン)。以前はインスリンの基礎分泌の補充のために使われていたが、最近では持効型にとって代わられつつあります。

・ 持効溶解型: インスリン・グラルギン、インスリン・デテミルがあり、インスリンの基礎分泌の補充に使われます。 作用の持続はほぼ24時間で、1日1回の皮下注射が行われます。

・ 混合型: 超速効型あるいは速効型と中間型を混ぜたもの。

・ インスリンの副作用: 低血糖、過敏症、神経症状、注射部位の変化

イ) 経口糖尿病薬

・ スルホニル尿素誘導体(SU薬): インスリン分泌を促進します。 トルブタマイド、グリベンクラミド、クロルプロパミド、グリメピリド、グリクラシド など。

・ ビグアナイド系: ブドウ糖を分解する嫌気性解糖系(けんきせいかいとうけい)を促進します。 ブホルミン、メトホルミン。

・ チアゾリジン誘導体: インスリンの感受性を増強します。 ピオグリタゾン など。

・ α-グルコシダーゼ阻害薬: 消化管でのグルコース、フルクトースなどの単糖類(たんとうるい)への分解を抑制します。食後高血糖の改善を目的として投与されます。 アカルボース、ボグリボース、ミグリトール。

・ DPP‐4阻害薬: 血糖が上昇した時にインスリン分泌を高め、グルカゴン分泌を抑える作用を持っています。 シタグリプチン、ビルダグリプチン、アログリプチン、リナグリプチン、テネリグリプチン、アナグリプチンなど。

・ 速効型インスリン分泌促進薬: 速やかにインスリン分泌を高める作用を持っています。 ナテグリニド、ミチグリニドカルシウム水和物、レバグリニド。

経口糖尿病薬.png

ウ) 糖尿病合併症治療薬

・ 末梢神経障害に対して: メキシレチン、エパルレスタット、プレガバリン

・ 腎症に対して: イミダプリル

[設問] インスリンが経口投与できない理由は何か? 一つ選べ。

イ 固形にできないから

ロ 胃腸の蛋白分解酵素で分解されてしまうから

ハ 苦味が強いから

ニ 傾向では吸収されないから              正解 (

[設問] 最大作用時間は2時間ほどで、食直前の投与で食後の血糖上昇を抑えるものは次のどれか?

イ 超速効型インスリン

ロ 速効型インスリン

ハ 中間型インスリン

ニ 混合型インスリン              正解 () 

[設問] 低血糖の初期症状はどれか? 一つ選べ。

イ 冷や汗

ロ けいれん

ハ 意識消失

ニ ろれつが回らない            正解 (

[設問] 血糖上昇に反応してインスリン分泌を促す経口糖尿病薬はどれか? 一つ選べ。

イ スルフォニルウレア薬

ロ ビグアナイド系

ハ α‐グルコシダーゼ阻害薬

ニ DPP‐4阻害薬             正解 (


 


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