基礎看護学(13)(基本的日常生活援助技術) [基礎看護学]
4.基本的日常生活援助技術
1)環境を整える技術
(1)病室環境の調整
・ 人間が生命を維持し健康を回復するには生活環境を整えることが大切です。生活環境を構成する因子には、採光や照明、色彩、音、室内気候などがあります。
・ 室内気候を整えるには、温度、湿度、気流の調整が必要となります。
(2)病室の整備
・ 病床は清潔で障害物がなく安全であるとともに、プライバシーが保護され、精神的な安楽が得られるよう整える必要があります。
・ ベッドは患者の病気の種類や回復段階・生活の自立度などに応じて、マットレスの種類やベッドの高さ、必要なリネンなどを選択します。 転落の危険があるときは、ベッド柵を取り付けます。
・ ベッドは安全面と安楽面に配慮し、目的に応じ、クローズドベッドやオープンベッドにします。
2)食生活の援助技術
(1)健康な食生活
・ 豊かな食生活を送れば、身体的な健康が維持されるだけでなく、心理的にも安定します。
(2)栄養状態の評価
・ 栄養状態は、摂取する脂肪、蛋白質、糖質、ビタミン、ミネラルの量とそれらのバランスによって変化するものです。
・ 栄養状態の評価の方法は、身体計測、血液生化学的検査、食事調査が主なものであり、これらに環境要因や心理状態を加えて評価することになります。
・ 身体計測では、身長、体重、体脂肪率、骨格筋量を測定します。
・ 血液生化学的検査では、血清蛋白、窒素平衡、総リンパ球などが指標となります。
(3)摂食行動の評価と援助方法
・ 摂食行動の評価には、摂食能力の評価が必要です。
・ 食事援助方法の選択にあたっては、必要な栄養が安全においしく食べられるように、患者の摂食能力を観察・評価して、個々に応じた援助方法の選択を行います。
(4)病人の食事
・ 食事は、個人の嗜好を尊重することや調理方法、食事時間などへ配慮が必要です。
(5)経管栄養法
・ 経管栄養法は、経口的に食物や水分を摂取できない患者に、消化管内に挿入した管を用いて栄養物を注入する方法です。
・ 経管栄養法には、経鼻経管栄養法と瘻管栄養法があります。
・ 経鼻経管栄養法では誤挿入や誤嚥、長期挿入では併発症など問題が発生するので、長期になる場合は胃瘻や腸瘻などを造設する必要があります。
・ 注入食の温度は、胃や腸管への刺激を少なくするため、37〜38℃とし、注入速度は個々の状態によるが、一般的には100mL/30分に調節します。
・ 注入中の体位は、半座位またはセミファウラー位とし、逆流を防ぐようにします。
・ 経鼻栄養チューブを留置する場合、チューブ内の食物腐敗を防止するための温湯の注入や、使用物品の清潔な取り扱いなど、清潔面での管理を確実に行うことが大切です。
(6)経静脈栄養法
・ 経静脈栄養法は、経口的に栄養摂取ができない場合や栄養が不十分な場合などに、直接血管内に栄養を注入する方法です。
・ 中心静脈栄養法とは、中心静脈カテーテルから糖質、アミノ酸、電解質、ビタミンなどの栄養素を長期間確実に補給する方法です。
・ 正確に輸液を行うには、指示された滴下速度を調整し、管理することが必要となります。 また、カテーテル刺入に伴う感染を防止するため、薬剤の準備の際の無菌操作や刺入部位の観察や管理を適切に行う必要があります。
[設問] 病室環境の調整に関する文で正しいものを一つ選べ。
イ 病室環境は、住居とは違うので診療に便利なように調整されればよい。
ロ 室内気候は温度と湿度だけの調整にしぼる。
ハ 病床は清潔で障害物がなく、プライバシーが保護され、精神的な安楽が得られるように整える。
ニ ベッドはすべてオープンベッドにする。
正解 (ハ)
[設問] 経鼻での栄養チューブの挿入に際して参考となる鼻孔から胃噴門までの長さは次のどれか?
イ 25~35cm ロ 35~45cm ハ 45~55cm ニ 55~65cm
正解 (ハ)
[設問] 経鼻栄養チューブの挿入時の体位は通常どれか?
イ 半座位 ロ 端座位 ハ 起座位 ニ 側臥位
正解 (イ)
[設問] 中心静脈栄養でよく使われるのは、鎖骨下静脈以外ではどれか? 二つ選べ。
イ 大腿静脈 ロ 正中静脈 ハ 内頸静脈 ニ 上大静脈 ホ 下大静脈
正解 (イ、ハ)
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