基礎看護学(14)(基本的日常生活援助技術) [基礎看護学]
3)排泄の援助技術
(1)排泄行動のアセスメントと援助方法
・ 排泄行動の自立度については、尿意・便意の自覚、移動動作、排泄時の衣服の着脱、姿勢の保持、排泄後の始末などをアセスメントして判断します。
・ 排泄行動を自立させるための援助は、患者の意思を確認しながら段階的に進めるようにします。
・ 排泄には、年齢・性別、食事や水分摂取、運動、薬物の使用、環境の変化、ストレスなどが影響します。心理的ストレスなどは軽減できるよう援助し、他の要因にも配慮しながら生理的な排泄リズムに転換できるように援助します。
・ 高齢者や長期臥床の患者で、起立性的血圧や転倒の危険があると考えられる時はトイレまでの歩行に付き添うようにします。
・ 差し込み便器を使用する場合、排泄時に尿が飛散しないように、また便の後始末がしやすいようにトイレットペーパーを重ねて便器の底に敷いておきます。
・ 頻尿とは、1日の排尿回数が10回以上ある状態をいいます。
・ 頻尿は、膀胱の炎症、中枢性の疾患、老化などが原因となります。
・ 一般に摂取した水分量は、尿に40〜60%、便に4%、不感蒸泄に36%に割合で排泄されます。
・ 便意は、直腸内圧40〜50mmHgでおこります。
・ 便秘には、大腸の機能的障害によるものと器質的障害によるものがあります。
・ 症候性便秘の原因は、腸の癒着や腫瘍による閉塞機転によるものが多いのですが、腹腔内臓器の炎症による癒着、近接臓器の腫瘍による圧迫や、内分泌疾患、神経疾患などに起因することもあります。
(2)排泄物の観察
・ 排泄物のアセスメントは、量・性状・回数・間隔や排泄時の随伴症状などの観察データを参考にします。
・ 膀胱容量は約500mLですが、尿意は通常200〜300mLでおこります。
・ 健康成人の1日の尿生成量は、1000〜1500mLです。
・ 健康人の尿比重は、1.010〜1.030です。
・ 成人の排尿回数は、1日4〜6回です。
・ 成人の排便量は1日100〜250g程度です。
・ 成人の排便回数は、1日1〜2回です。
(3)自然な排泄を促す援助方法
・ 自然排尿を促す援助として、水音を聞かせる、微温湯を外陰部にかけます。臀部の膀胱神経叢のマッサージや温罨法などがあります。
・ 自然排便を促す援助として、十分な水分摂取と食物繊維を含む食事の摂取、腹部マッサージ、ウオッシュレットによる肛門刺激、腰背部への温罨法などがあります。
(4)床上排泄の援助方法
・ 床上排泄の患者の援助は、排泄パターンを知り、起床時、食事の前後、就眠前などに定期的に声をかけて、排泄の援助を依頼しやすくします。
・ 排泄時の体位は、腹圧がかかりやすいように上半身を挙上します。
・ 大部屋の場合は、特に臭気の除去や消音などの室内環境を調整する必要があります。
[設問] 排泄行動のアセスメントと援助方法について、正しい文を一つ選べ。
イ 排泄行動を自立させるための援助は、患者の意思を確認しながら、段階的に進める。
ロ 高齢者や長期臥床の患者の場合、自立を促すためにトイレまでの歩行に付き添うようなことは避ける。
ハ 排泄行動の自立度は、移動動作と排泄の後始末で評価する。
ニ 排泄には、年齢や性別、食事や水分摂取は影響するが、心理的ストレスの影響はほとんどない。
正解 (イ)
[設問] 成人では、一日尿量が何mL以上を多尿というか?
イ 3500mL ロ 3000mL ハ 2500mL ニ 2000mL
正解 (ハ)
[設問] 成人では、一日尿量が何mL以下を乏尿というか?
イ 800mL ロ 700mL ハ 600mL ニ 500mL
正解 (ニ)
[設問] 一般に摂取水分量の何%が尿として排泄されるのか?
イ 30%前後 ロ 35%前後 ハ 50%前後 ニ 65%前後 ホ 70%前後
正解 (ハ)
[設問] 便胃が起るのは、直腸内圧が何mmHgになったときか?
イ 10~20mmHg ロ 25~35mmHg ハ 40~50mmHg ニ 55~65mmHg
正解 (ハ)
[設問] 膀胱容量は成人の場合、どれくらいか?
イ 約350mL ロ 500mL ハ 650mL ニ 800mL
正解 (ロ)
[設問] 健康人の尿比重はどれくらいか?
イ 1.010~1.030
ロ 1.040~1.050
ハ 1.060~1.070
ニ 1.080~1.100 正解 (イ)
[設問] 成人の排便量は、一日どれくらいか?
イ 50~100g
ロ 100~250g
ハ 250~300g
ニ 300~450g 正解 (ロ)
[設問]