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在宅看護論(1)(在宅看護の対象者とその生活) [在宅看護論]

1. 在宅看護の対象者とその生活

1)在宅看護の対象者

(1)疾病を持つ人と家族

・ 介護を要する人、または継続して療養が必要となる人が患っている疾病として多いのは、脳血管疾患、糖尿病、心疾患、癌などの生活習慣病となっています。 その他に高齢者には骨粗鬆症や外傷による骨折や認知症が多くみられ、壮年期では神経難病や癌が多くなります。

・ 在宅看護の対象者は、高齢者が多くを占めます。

・ 健康状態は、疾病の回復期、慢性期、リハビリ期、終末期まで、幅広いのが特徴です。

・ 核家族化と少子高齢化により、家族規模が小さくなり、平均世帯人員は1995年以降3人を下回っています。 特に高齢者の夫婦のみの世帯、単独世帯が著しく増加しています。 

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(2)障害を持つ人と家族

・ 障害者は、身体障害者福祉法で身体障害者、知的障害者福祉法で知的障害者、精神保健福祉法で精神障害者が規定されています。

・ 2006年の18歳以上の在宅の身体障害者数は3,483,000人と推計されています (身体障害者実態調査、厚生労働省)。 種類別では、肢体不自由がトップで50.5%、心臓、肺、腎臓などの内臓の機能障害による内部障害が30.7%、聴覚言語障害が9.8%、視覚障害が8.9%となっており、近年内部障害が増加しています。

・ 在宅の知的障害児(者)数は、419,000人(2005年現在)、精神障害者保健福祉手帳の取得者数は558,475人(2007年)です。

・ 1998年からヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害(以下エイズ)が身体障害者の範囲に取り入れられました。

・ 在宅看護の対象となる障害者に多い疾患は、脳性小児麻痺、筋ジストロフィー、脳梗塞後遺症、閉塞性肺疾患(以下COPD)、パーキンソン病、脊髄小脳変性症、筋萎縮性側索硬化症、エイズなどがあります。

・ 障害者の家族は、長期間にわたって介護を担っていることから、健康管理などの援助の対象者になります。

(3)生活自立が困難な人と家族

・ 生活自立が困難な人とは、疾病や障害あるいは老化により自立が困難な要介護者で、何らかの援助を受けることで自立した生活を営むことができる状態の人々をさします。

・ 介護保険では、要支援1、2や要介護1、あるいは寝たきり度のランクJ、ランクA、痴呆度のランクIあるいはIIの人達です。

・ 生活の状態では、1人暮らしや高齢夫婦世帯の場合は、療養支援とともに生活支援が不可欠になります。

・ 支援が必要となる疾患として多いのは、脳血管疾患の後遺症、神経筋難病、精神障害、軽度の認知症、腰痛や膝関節痛などです。

・ このような状態の人達には早期に適切なセービスや支援を導入して生活自立の維持を目指す必要があり、家族に対してもその方向での指導が必要となります。

2)対象者の生活

(1)生活様式と価値観

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・ 適切な運動・身体活動は、生活習慣病の予防やストレスの解消に有効で、運動習慣者(週2回以上かつ1回30分以上の実施で1年以上持続した者)の割合は、男女とも20代と30代で低く、50歳以上では30%程度みられます。

・ 栄養状態は、エネルギーの過剰摂取が問題となる糖尿病や、脂肪のとり過ぎによる肥満、心疾患、また塩分のとり過ぎによる高血圧が問題となっています。

・ 社会生活のストレスによる壮年期のうつ状態や自殺が問題となっています。

・ 個人とその家族の生活は、環境、つまり地域の人口構成、地理的条件、サービス体制などの社会的条件や、その地域特有の生活習慣や信条、人間関係により、大きな影響を受けます。

・ 現代人の生活の価値観は、家の維持存続から、個人の幸福追求へと変化しています。

・ 高齢者とその家族の価値観の変化

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[設問] 要介護状態の原因となる疾病で最も多いものを選べ。

イ 認知症  ロ 認知症  ハ 骨折  ニ 脳血管疾患

                          正解 (

[設問] 在宅看護における看護援助として最もふさわしいものを一つ選べ。

イ 療養者の日常的介護

ロ 療養者の食事や清潔援助

ハ 介護をする家族の精神的、身体的健康管理と介護負担の解消

ニ 療養者の服薬管理              正解 (

[設問] 国民栄養調査において、「運動習慣あり」と分類されるのは次のどれか?

イ 1回30分以上、週2回以上、1年以上運動を継続

ロ 1回30分以上、週1回以上、1年以上運動を継続

ハ 1回60分以上、週2回以上、半年以上運動を継続

ニ 1回60分以上、週1回以上、半年以上運動を継続       正解 (

[設問] 2008年の調査で、運動習慣が最も少なかった世代は次のどれか?

イ 20~29歳  ロ 30~39歳  ハ 40~49歳  ニ 50~59歳

                                         正解 (

 

 在宅看護論(2) (看護の継続性)へ ⇒ http://shiratorik-kango.blog.so-net.ne.jp/2013-05-30

在宅看護論(4) (在宅看護の特徴)へ ⇒ http://shiratorik-kango.blog.so-net.ne.jp/2013-06-01

在宅看護論(9) (在宅における生活支援の方法と技術) ⇒ http://shiratorik-kango.blog.so-net.ne.jp/2013-06-04

在宅看護論(13) (在宅における医療管理を必要とする人と看護) ⇒ http://shiratorik-kango.blog.so-net.ne.jp/2013-06-07

在宅看護論(19) (在宅療養者の状態別看護) ⇒ http://shiratorik-kango.blog.so-net.ne.jp/2013-06-11-1



 


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基礎看護学(25)(看護の役割と機能を支える仕組み) [基礎看護学]

基礎看護学(1) (看護の基礎となる概念)へ ⇒  http://shiratorik-kango.blog.so-net.ne.jp/2013-05-11-1
 

5)専門職能団体の活動

(1)専門職集団としての役割と機能

・ 専門職とは、「理論的知識に基づいた知識や技術を有し」 「その獲得のために教育を受けていること」 「国家ないしそれに代わる団体によって行われる試験を通過していること」 「営利を目的とするのでなく、公共の利益を重視してサービスの提供が行われること」 「職業団体があり、倫理綱領などを持ち、集団としての自立性を持つ」 ものをいいます。

・ プロフェッショナルとは、専門職といわれる職業に従事している人で、スペシャリストとは特定の分野において特別な知識や技能を備えている人、専門家をさします。

・ 看護の専門職能団体としては、日本看護協会、国際看護師協会、国際助産師連盟などがあります。

・ 看護の専門職能団体である日本看護協会の役割は、看護実践のための行動 指針や職務の範囲を明確にし、実践の評価の枠組みを提示することです。

6)看護行政

(1)看護職員の確保

・ 看護職員の確保は、国の重要政策の1つです。

・ 現在、国レベルで看護行政を行っているのは、厚生労働省医政局看護課です。

・ 1992年に看護師等の確保を促進する法律「看護師等人材確保法」が施行され、看護職の質・量両面からの充実、強化が始まりました。

・ 再就職促進対策として中央と都道府県にナースセンターを設置し、潜在的看護職員の再就業を就職先の紹介や就職前教育をすることにより支援しています。

(2)看護職員の資質の向上

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・ 1996年に保健婦助産婦看護婦学校養成所指定規則の一部が改正され、在宅看護論の新設などによる統合カルキュラムが導入されました。

・ 行政が看護職員資質向上のために実施するものとして、実習指導者講習会、訪問看護師養成講習会、看護教員養成講習会、訪問看護師指導者研修会などがあります。

(3)看護実践の質の向上

・ 1996年より日本看護協会は看護実践のため、専門看護師、認定看護師の資格認定を行っています。

・ 専門看護師は、特定の専門看護分野の知識・技術も高めた看護師で、その役割は、実践、相談、調整、倫理調整、教育、研究とされています。

・ 認定看護師は、特定の分野において、熟練した看護技術と知識を使って水準の高い看護実践を行う看護師で、役割は、実践、指導、相談とされています。

7)国際協力

(1)国際交流

・ 広義の国際協力の中に、国際交流と狭義の国際協力があり、国際交流には、2国間交流と多国間交流があります。

・ 国際交流とは、行政上の調整、技術・情報交換、人的交流などを行うことです。

・ 2国間交流では、米国、ドイツ、イギリス、フランス、中国などとそれぞれ人材交流、情報提供、共同研究などを行っています。

・ 多国間交流では、国際連合(UN)、世界保健機関(WHO)、国際癌研究機関、国際労働機関(ILO)、経済協力開発機構(OECD)、国連児童基金(UNICEF)などを通じて、行われています。

(2)国際協力

・ 国際協力とは、開発途上国に対して、我が国が有する人的・物的・技術的資源を提供し、当該国での向上を図ることです。

・ 開発途上国に対する協力としては、政府、民間のそれぞれが中心となる国際保健医療協力があり、これには国際協力事業団(JICA)による青年海外協力隊などの専門員の派遣などが含まれます。 その他、国際赤十字にる国際協力もあります。

・ 国際機関への協力は、世界保健機構(WHO)を通じて、伝染病対策、プライマリーヘルスの行動計画、エイズ蔓延防止活動、予防接種事業等に協力しています。 経済協力開発機構(OECD)を通じては環境問題、消費者保護、社会保障などの分野で協力しており、国際看護婦協会(ICN)にも加盟し(1949年)、協力しています。

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