在宅看護論(2)(看護の継続性) [在宅看護論]
2. 看護の継続性
1)施設と在宅を結ぶ看護
(1)退院計画
・ 米国病院協会のガイドラインには、退院計画とは「患者とその家族が、適切な退院後のケアプランをつくるのを助けるために、利用可能でなくてはならない、部門を越えた病院全体としてのプロセス」と定義されています。
・ 退院計画の過程は、「退院後にケアが必要となる患者を早期に特定する」→「患者および家族への教育」→「患者・家族のアセスメント」→「計画の策定」→「計画の調整と実施」→「退院後のフォローアップ」からなるものです。
(2)退院指導
・ 退院指導とは、退院する患者とその家族に対して、退院後の生活が安心・快適に送れるように、入院中に看護職や関係者によって指導することです。
・ 指導内容には「日常生活について」「疾患について」「医療処置について」「社会復帰、社会資源の活用について」などがある。
・ 退院指導は、患者や家族の理解度、能力などに合わせて、わかりやすい言葉で、実習など取り入れて行うと効果的です。
(3)継続看護を担う部署と職種
・ 継続看護では、病院の病棟から外来へ、病院から在宅や福祉施設への移行支援だけでなく、在宅から病院へ、施設から在宅や病院への移行支援も重要です。
・ 地域連携室、地域医療室、看護相談室などが病院内に設置され、継続看護を担う部署とされます。それらの部署は診療所、在宅介護支援センター、訪問看護ステーション、福祉施設などと連絡をとり、連携を図ることになります。
・ 病院内での継続看護を担う職種としては、退院調整看護師が配置され、病棟看護師との連携により退院調整を行います。
・ 生活や経済的な問題に対しては、社会福祉士やソーシャルワーカーが対応することになります。
・ 在宅での継続看護は在宅介護支援センターが行い、在宅介護支援専門員が介護保険制度の活用を中心に関係機関との連携、サービスの調整を図ることになります。
・ 訪問看護ステーションの看護師は、病院の受け持ち看護師と看護サマリーや病棟訪問などで連携をとり、継続看護を実践します。
(4)施設と地域の連携システム
・ 病診連携とは、病院と地域の診療所との施設の共同利用や検査依頼、患者の紹介などを行う連携システムです。在宅看護に関わる内容では、患者の退院時にかかりつけ医の紹介や治療方針、再入院時の調整を図っています。
・ 地域ケアシステム
[設問] 退院指導に関して正しい説明を一つ選べ。
イ 退院指導とは、退院する患者とその家族に対して、退院後の生活が安心・快適に送れるようにするものである。
ロ 退院指導の内容には、医療処置については含まれない。
ハ 退院指導の内容には、日常生活についてのみとする。
ニ 退院指導は、専門用語を使い、間違いのないように伝える必要がある。
正解 (イ)
[設問] 退院後の患者の生活や経済的問題に対して主に業務を行うのはどれか? 一つ選べ。
イ 地域連携室
ロ 退院調整看護師
ハ 社会福祉士やソーシャルワーカー
ニ 在宅介護支援センター 正解 (ハ)
在宅看護論(4) (在宅看護の特徴)へ ⇒ http://shiratorik-kango.blog.so-net.ne.jp/2013-06-01