疾病の成り立ちと回復の促進 第50回(薬剤) [疾病の成り立ちと回復の促進]
J)泌尿・生殖器作用薬
a) 子宮収縮薬
ア) オキシトシン
・ オキシトシンはペプチドなので胃腸で分解されるため、経口投与では無効です。
・ オキシトシンは分娩誘発、微弱陣痛(びじゃくじんつう)、弛緩性子宮出血などに使われます。
イ) プロスタグランジン
・ プロスタグランジンに対する子宮の感受性は、オキシトシン同様に増大します。
・ 妊娠末期の陣痛誘発、促進、分娩促進、分娩後の子宮弛緩、産褥(さんじょく)時の出血に対して使われます。
ウ) 麦角アルカロイド
・ 麦角アルカロイドの子宮平滑筋の収縮に関与するのは、主に5-HT受容体です。
・ 子宮平滑筋の運動性を増強します。
・ 分娩後の弛緩出血、産褥時の出血の調節や子宮復古(ふっこ)促進目的で使われます。
b)子宮運動抑制薬(子宮弛緩薬)
ア) アドレナリン作動性β2受容体刺激薬
・ 切迫流産、早産などに使われる。リトドリン、イソクスプリンが経口、注射で使われます。
イ) 硫酸マグネシウム
・ β2受容体刺激剤が使えないときに利用されます。
ウ) Ca拮抗薬
・ オキシトシンで誘発された収縮を抑制します。 早産の治療にニフェジピンの舌下投与が行われます。
[設問] 分娩誘発に使われるものを二つ選べ。
イ オキシトシン
ロ プロスタグランジン
ハ 麦角アルカロイド
ニ Ca拮抗薬
ホ 硫酸マグネシウム 正解 (イ、ロ)
[設問] 切迫流産に使われるのはどれか? 一つ選べ。
イ オキシトシン
ロ 麦角アルカロイド
ハ 抗コリン薬
ニ β2受容体刺激薬 正解 (ニ)
疾病の成り立ちと回復の促進 第49回(薬剤) [疾病の成り立ちと回復の促進]
c)カルシウム代謝調節薬
ア) 活性型ビタミンD3
・ ビタミンD補充の目的で投与されます。 副作用は過剰症で、高Ca血症、多尿、腎石灰化症、異所性石灰化、腎不全、腎結石などをきたします。 血中Ca2+濃度は、[Ca2+]×[無機リン]が一定になるように調節されています。
イ) 副甲状腺ホルモン
・ 副甲状腺ホルモンは破骨細胞を活性化し、骨吸収を増加させます。 また、腎臓でのCaの再吸収を刺激し、リン酸の排泄を促進します。
ウ) カルシトニン
・ 高Ca血症と骨粗鬆症に適用されます。 カルシトニンの注射が骨疼痛に持続的な鎮痛効果を示します。
エ) 骨粗鬆症治療薬
・ Ca製剤: 血中Ca値を回復し、副甲状腺ホルモンの分泌を抑え骨吸収を抑制します。
・ カルシトニン: 骨吸収抑制と鎮痛作用があります。
・ ビタミンD: 老人性骨粗鬆症のファーストチョイスです。
・ エストロゲン: 骨吸収抑制作用があります。
・ イプリフラボン: カルシトニンの合成と分泌を促進します。
・ ビスホスホネート系薬物: 破骨細胞の骨吸収を抑制します。
・ ビタミンK
・ チアジド系利尿薬: 腎遠位尿細管でのCaの再吸収を高めます。
・ PTHパルス療法
d)ビタミン
ア) 水溶性ビタミン
イ) 脂溶性ビタミン
[設問] 骨訴訟症治療薬の組み合わせの正しいものを一つ選べ。
イ Ca製剤・ビタミンD・カルシウム拮抗薬
ロ ビタミンD・エストロゲン・ビスホスホネート
ハ カルシトニン・ステロイド・ビタミンD
ニ ビタミンD・ビスホスホネート・ニコチン酸誘導体
正解 (ロ)
[設問] 水溶性ビタミンと適応症の組み合わせで正しいものを一つ選べ。
イ ビタミンB1 --- ペラグラ
ロ ビタミンB6 --- 壊血病
ハ ビタミンB12 --- 末梢神経炎
ニ ビタミンC --- アルコール性神経障害 正解 (ハ)
[設問] 脂溶性ビタミンと適応症の組み合わせで正しいものを一つ選べ。
イ ビタミンA --- 夜盲症
ロ ビタミンD --- 不妊症
ハ ビタミンE --- 出血傾向
ニ ビタミンK --- 骨軟化症 正解 (イ)