基礎看護学(16)(基本的日常生活援助技術) [基礎看護学]
5)衣生活の援助技術
(1)衣生活を調整する能力のアセスメントと援助方法
・ 病衣の目的は、「体温調節」「皮膚の生理機能を助ける」「皮膚を外界から守る」ことです。
・ 病衣の着脱援助に関するアセスメントの視点は、「着脱行動がどの程度自力ができるか」 「環境の温湿度に適しているか」 「皮膚機能を妨げている要因はないか」 「着衣に満足感があるか」 などです。
(2)病衣の選択
・ 病衣は、常に清潔に保つ必要があるので、汚れが目立つ色を選び、汚れたらすぐ交換でき、洗濯に強いものを選びます。 デザインや色などは、療養に差し支えない範囲で個人の嗜好に合わせ、自由に選択できることで、心理的満足感を味わうことができます。
・ 病衣の材質は、木綿がよいのですが、糊付けすると通気性や汗の吸収を妨げ、肌触りを悪くし、皮膚を傷つけることもあるので気をつける必要があります。
・ 四肢に機能障害がある患者、体位交換の必要な患者、失禁のある患者では、上下別のセパレートタイプのものがよいとされています。 また着脱が容易にできるようゆとりのある形を工夫し、障害部位を圧迫しない材質を選ぶようにします。
・ 衣服気候とは、皮膚と衣類間の温湿度のことで、伝導、輻射、対流、発汗によって調整されます。 衣服気候を左右する病衣の条件は、含気性、通気性、保温性、透湿性(吸湿放湿性)・吸水性が挙げられ、外気温と比較して変動が少ない条件にすることで、快適な体表温度を保つことができます。
(3)寝衣の交換
・ 病衣の交換を介助する際は、患者の体位を安定させて行い、短時間ですませるようにします。四肢の着脱では、手・肘関節、足・膝関節をしっかり支えて行う必要があります。
・ 病衣のしわは、体重による圧迫で褥瘡の原因となるので、身体の下になる部分にしわを作らないように注意します。
・ 一部介助の場合は、残存機能を活用し、可能な限り自立を支え、関節可動域を維持するようにします。
[設問] 病衣の選択に関する記述で正しいものを一つ選べ。
イ 病衣には、汚れの目立たないものを選ぶ。
ロ 病衣の材質は木綿がよいが、糊づけすると通気性や汗の吸収を妨げるので注意が必要である。
ハ 四肢に機能障害がある患者では上下がつながったワンピースタイプのものがよい。
ニ 病衣の衣服気候を左右するのは、通気性だけである。
正解 (ロ)
[設問] 寝衣の交換について正しいものを一つ選べ。
イ 片麻痺のある患者では、健側から脱がせるようにする。
ロ 片麻痺のある患者では、健側から着せるようにする。
ハ 病衣のしわは、身体の下になる部分のものは気にする必要はない。
ニ 一部介助の患者でも、疲れないように、全面的に看護者が交換を行う。
正解 (イ)